本記事では、第二種電気工事士筆記試験のうち「平成26年度上期 問1~10」について解説する。
問1
最大値が148Vの正弦波交流電圧の実効値[V]は。
イ.85 ロ.105 ハ.148 ニ.209
解説
正弦波交流において、電圧の最大値をVm[V]とすると、電圧の実効値$V[\mathrm{V}]$は次式で求めることができる。
$$V=\frac{V_\mathrm{m}}{\sqrt{2}}$$
上式に$V_\mathrm{m}=148\mathrm{V}$を代入すると、実効値$V[\mathrm{V}]$は、
$$\begin{align*}
V&=\frac{V_\mathrm{m}}{\sqrt{2}}\\\\
&=\frac{148}{1.41}\\\\
&\fallingdotseq104.96\\\\
&\rightarrow\boldsymbol{\underline{105\mathrm{V}}}
\end{align*}$$
よって「ロ」が正解となる。
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調査中
問2
図のような回路で、端子$\mathrm{a-b}$間の合成抵抗$[\Omega]$は。
イ.$1$ ロ.$2$ ハ.$3$ ニ.$4$
解説
合成抵抗の計算の問題である。
まず、図1の枠①で囲った部分は、$2\Omega$が並列で2つ接続されているから、この部分の合成抵抗は、
$$\frac{2\times2}{2+2}=1\Omega$$
次に、図1の枠②で囲った部分は、$3\Omega$と$6\Omega$が並列で接続されているから、この部分の合成抵抗は、
$$\frac{3\times6}{3+6}=2\Omega$$
図1
したがって、図2の枠2つの直列になっている部分の合成抵抗は、
$$1+2=3\Omega$$
図2
最後に、図3の枠内の$6\Omega$と$3\Omega$との合成抵抗を求めると、
$$\frac{6\times3}{6+3}=\boldsymbol{\underline{2\Omega}}$$
図3
よって「ロ」が正解である。
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問3
図のような交流回路で、電源電圧$102\mathrm{V}$,抵抗の両端の電圧が$90\mathrm{V}$,リアクタンスの両端の電圧が$48\mathrm{V}$であるとき、負荷の力率$[\%]$は。
イ.$47$ ロ.$69$ ハ.$88$ ニ.$96$
解説
問題の図の交流回路において、流れる電流を$\dot{I}[\mathrm{A}]$,抵抗の両端の電圧を$\dot{V}_{\mathrm{R}}[\mathrm{V}]$,リアクタンスの両端の電圧を$\dot{V}_{\mathrm{L}}[\mathrm{V}]$,回路全体の電圧を$\dot{V}[\mathrm{V}]$とすると、ベクトル図は下記のようになる。
したがって、回路の力率$\cos\theta$は、
$$\begin{align*}
\cos\theta&=\frac{V_{\mathrm{R}}}{V}\\\\
&=\frac{90}{102}\\\\
&\fallingdotseq0.882\rightarrow\boldsymbol{88\%}
\end{align*}$$
よって「ハ」が正解となる。
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問4
電気抵抗$R[\Omega]$,直径$D[\mathrm{mm}]$、長さ$L[\mathrm{m}]$の導線の抵抗率$[\Omega\cdot\mathrm{m}]$を表す式は。
イ.$\displaystyle{\frac{\pi D^2R}{4L\times10^6}}$ ロ.$\displaystyle{\frac{\pi D^2R}{L^2\times10^6}}$ ハ.$\displaystyle{\frac{\pi DR}{4L\times10^3}}$ ニ.$\displaystyle{\frac{\pi DR}{4L^2\times10^3}}$
解説
抵抗率$\rho[\Omega\cdot\mathrm{m}]$ ,直径$D[\mathrm{mm}]$ ,長さ$L[\mathrm{m}]$の導線の電気抵抗$R[\Omega]$は、
$$R=\frac{4\rho L}{\pi D^2}$$
問題文では、直径$D$の単位が$[\mathrm{mm}]$なので、抵抗率$\rho[\Omega\cdot\mathrm{m}]$は、
$$\rho=\frac{\pi \left(D\times10^{-3}\right)^2R}{4L}=\boldsymbol{\frac{\pi D^2R}{4L\times10^6}}$$
よって「イ」が正解となる。
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類題
問5
図のような三相3線式回路の全消費電力$[\mathrm{kW}]$は。
イ.$2.4$ ロ.$4.8$ ハ.$7.2$ ニ.$9.6$
解説
図の交流回路において、合成インピーダンス$[\Omega]$は、
$$\sqrt{6^2+8^2}=\sqrt{100}=10\Omega$$
一相当たりの電流$[\mathrm{A}]$は、
$$\frac{200}{10}=20\mathrm{A}$$
1つの抵抗で消費する電力$[\mathrm{W}]$は、
$$6\times20^2=2400\mathrm{W}$$
したがって、三相回路での全消費電力は、
$$2400\times3=7200\mathrm{W}\rightarrow\boldsymbol{7.2\mathrm{kW}}$$
よって、「ハ」が正解となる。
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類題
問6
図のような三相3線式回路で、電線1線当たりの抵抗が$0.15\Omega$,線電流が$10\mathrm{A}$のとき、電圧降下$\left(V_\mathrm{s}-V_\mathrm{r}\right)[\mathrm{V}]$は。
イ.$1.5$ ロ.$2.6$ ハ.$3.0$ ニ.$4.5$
解説
図のような三相3線式回路において、抵抗$r$における電圧降下は$\sqrt{3}rI$で表される。
したがって、電圧降下$\left(V_\mathrm{s}-V_\mathrm{r}\right)[\mathrm{V}]$は、
$$V_\mathrm{s}ーV_\mathrm{s}=\sqrt{3}\times0.15\times10=\boldsymbol{2.6\mathrm{V}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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類題
問7
合成樹脂製可とう電線管(PF管)による低圧屋内配線工事で、管内に断面積$5.5\mathrm{mm^2}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)3本を収めて施設した場合、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は。
ただし、周囲温度は$30^\circ\mathrm{C}$以下、電流減少係数は$0.70$とする。
イ.$19$ ロ.$24$ ハ.$34$ ニ.$49$
解説
電技・解釈第146条に基づく、絶縁電線の許容電流は下表のとおりとなる。
単線の断面積 | 許容電流 |
---|---|
$2.0\mathrm{mm^2}$ | $27\mathrm{A}$ |
$3.5\mathrm{mm^2}$ | $37\mathrm{A}$ |
$5.5\mathrm{mm^2}$ | $49\mathrm{A}$ |
$8.0\mathrm{mm^2}$ | $61\mathrm{A}$ |
$14\mathrm{mm^2}$ | $88\mathrm{A}$ |
$22\mathrm{mm^2}$ | $115\mathrm{A}$ |
上表より、単線の断面積$5.5\mathrm{mm}$の許容電流は$49\mathrm{A}$であり、この電線を3本収めて施設する。
この電流値に、問題文で与えられた電流減少係数をかけると、
$$49\times0.70=34.3\mathrm{A}$$
電線の許容電流は7捨8入するので、
$$34.3\rightarrow\boldsymbol{34}\mathrm{A}$$
よって「ハ」が正解となる。
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問8
図のように、三相の電動機と電熱器が低圧屋内幹線に接続されている場合、幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値$[\mathrm{A}]$は。
ただし需要率は$100\%$とする。
イ.$75$ ロ.$81$ ハ.$90$ ニ.$195$
解説
電技・解釈第148条により、幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値$I_\mathrm{W}$を求める式は、下表のとおりとなる。
定格電流の合計比較 | 許容電流 |
---|---|
$I_\mathrm{H}\geq I_\mathrm{M}$の場合 | $I_\mathrm{W}\geq I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}$ |
$I_\mathrm{H}< I_\mathrm{M}$ かつ $I_\mathrm{M}> 50\mathrm{A}$の場合 | $I_\mathrm{W}\geq 1.1I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}$ |
$I_\mathrm{H}< I_\mathrm{M}$ かつ $I_\mathrm{M}\leq 50\mathrm{A}$の場合 | $I_\mathrm{W}\geq 1.25I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}$ |
電動機の定格電流の合計$I_\mathrm{M}$は、
$$I_\mathrm{M}=20+20+20=60\mathrm{A}$$
その他の負荷の定格電流の合計$I_\mathrm{H}$は、
$$I_\mathrm{H}=15\mathrm{A}$$
$I_\mathrm{H}<I_\mathrm{M}$で$I_\mathrm{M}> 50\mathrm{A}$の場合、表より$I_\mathrm{W}=1.1I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}$となるから、求める電流の最小値$I_\mathrm{W}$は、
$$I_W=1.1\times60+15=81\mathrm{A}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問9
図のように定格電流$60\mathrm{A}$の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して、$5\mathrm{m}$の位置に過電流遮断器を施設するとき、$\mathrm{a-b}$間の電線の許容電流の最小値$[\mathrm{A}]$は。
イ.$15$ ロ.$21$ ハ.$27$ ニ.$33$
解説
図のような分岐回路において、電技・解釈第149条により、原則として幹線の分岐点から$3\mathrm{m}$以下の場所に分岐開閉器を施設しなければならないが、分岐点からの電線の許容電流$I_\mathrm{W}$と幹線の過電流遮断器の定格電流$I_\mathrm{B}$の割合で、下表に示すように$3\mathrm{m}$を超える位置に施設することができる。
$I_B$に対する$I_W$の割合 | 施設位置 |
---|---|
$I_\mathrm{W}$が$I_\mathrm{B}$の$35\%$以上の場合 | 分岐点から$8\mathrm{m}$以下の位置 |
$I_\mathrm{W}$が$I_\mathrm{B}$の$55\%$以上の場合 | 施設位置に制限なし |
本問の場合、分岐回路の過電流遮断器を分岐点から$8\mathrm{m}$以下の位置に施設する場合であるため、$I_\mathrm{W}$は$I_\mathrm{B}$の$\boldsymbol{35\%}$以上にしなければならない。
上記より、許容電流の最小値は、
$$60\times0.35=\boldsymbol{21\mathrm{A}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問10
低圧屋内配線の分岐回路の設計で、配線用遮断器、分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして、適切なものは。
ただし、分岐点から配線用遮断器までは$3\mathrm{m}$,配線用遮断器からコンセントまでは$8\mathrm{m}$とし、電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また、コンセントは兼用コンセントではないものとする。
解説
電技・解釈第149条により、$20\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$1.6\mathrm{mm}$(または$2.0\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以下
$30\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$2.6\mathrm{mm}$(または$5.5\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以上$30\mathrm{A}$以下
でなければならない。
選択肢について検証すると、
- イは適切である。
- ロは電線の太さが不適切である。
- ハは定格電流$30\mathrm{A}$のコンセントなので不適切である。
- ニは定格電流$15\mathrm{A}$のコンセントなので不適切である。
よって「イ」が正解である。
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