本記事では、第二種電気工事士筆記試験のうち「平成29年度上期 問1~10」について解説する。
問1
図のような回路で、端子a-b間の合成抵抗[Ω]は。
イ.$2.5$ ロ.$5$ ハ.$7.5$ ニ.$15$
解説
a-b間の抵抗は右図のように$5\Omega$の抵抗が$2$つ並列接続された回路になるので、
$$\frac{(5\times5)}{(5+5)}=\frac{25}{10}=\boldsymbol{2.5[\Omega]}$$
よって「イ」が正解となる。
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問2
図のような交流回路で、電源電圧$204\mathrm{V}$,抵抗の両端の電圧が$180\mathrm{V}$,リアクタンスの両端の電圧が$96\mathrm{V}$であるとき、負荷の力率$[\%]$は。
イ.$35$ ロ.$47$ ハ.$65$ ニ.$88$
解答
抵抗とコイルが直列接続された回路の力率は、
$$\cos\theta=\frac{V_R}{V}=\frac{180}{204}\fallingdotseq0.88$$
力率の単位はパーセントなので、$0.88\times100=\boldsymbol{88\%}$
よって「ニ」が正解となる。
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問3
$\mathrm{A,B}$ $2$本の同材質の銅線がある。$\mathrm{A}$は直径$1.6\mathrm{mm}$,長さ$20\mathrm{m}$,$\mathrm{B}$は直径$3.2\mathrm{mm}$,長さ$40\mathrm{m}$である。
$\mathrm{A}$の抵抗は$\mathrm{B}$の抵抗の何倍か。
イ.$2$ ロ.$3$ ハ.$4$ ニ.$5$
解説
電線の抵抗は$R=\displaystyle{\frac{4\rho L}{\pi D^2}}$で求めることができる。
各銅線の抵抗は、
$$\begin{align*}
A&:\frac{4\rho\times20}{\pi\times(1.6\times10^{-3})^2}=\frac{80\rho}{2.56\pi}\times10^6\\\\
B&:\frac{4\rho\times40}{\pi\times(3.2\times10^{-3})^2}=\frac{160\rho}{10.24\pi}\times10^6
\end{align*}$$
2つの抵抗の比を求めると
$$\frac{\displaystyle{\frac{80\rho}{2.56\pi}\times10^6}}{\displaystyle{\frac{160\rho}{10.24\pi}\times10^6}}=\boldsymbol{2}$$
よって「イ」が正解となる。
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問4
図のような交流回路で、負荷に対してコンデンサ$C$を設置して、力率を$100\%$に改善した。
このときの電流計の指示値は。
イ.零になる。
ロ.コンデンサ設置前と比べて変化しない。
ハ.コンデンサ設置前と比べて増加する。
二.コンデンサ設置前と比べて減少する。
解説
負荷と並列にコンデンサを接続すると、コンデンサに進み電流$I_\mathrm{C}$が流れ、負荷に流れる遅れ電流$I_\mathrm{L}$を打ち消す。
このとき、回路に流れる電流はコンデンサを設置すると減少する。
よって「ニ」が正解となる。
類題
問5
図のような三相3線式$200\mathrm{V}$の回路で、$\mathrm{c-o}$間の抵抗が断線した。
断線前と断線後の$\mathrm{a-o}$問の電圧$V$の値$[\mathrm{V}]$の組合せとして、正しいものは。
イ.断線前$116$ 断線後$100$
ロ.断線前$116$ 断線後$116$
ハ.断線前$100$ 断線後$116$
ニ.断線前$100$ 断線後$100$
解説
断線前の$R$両端の電圧は三相回路の相電圧なので、
$$V=\frac{200}{\sqrt{3}}\fallingdotseq\boldsymbol{116\mathrm{V}}$$
断線後は、図のように単相$200\mathrm{V}$回路となる。
$R$両端の電圧は分圧の式より、
$$V=\frac{R}{R+R}\times200=\boldsymbol{100\mathrm{V}}$$
よって「イ」が正解となる。
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問6
図のように、電線のこう長$10\mathrm{m}$の配線により、消費電力$1500\mathrm{W}$の抵抗負荷に電力を供給した結果、負荷の両端の電圧は$100\mathrm{V}$であった。
配線における電圧降下$[\mathrm{V}]$は。
ただし、電線の電気抵抗は長さ$1000\mathrm{m}$当たり$5.0\Omega$とする。
イ.$0.15$ ロ.$0.75$ ハ.$1.5$ ニ.$3.0$
解説
回路に流れる電流$I$は
$$I=\frac{1500}{100}=15\mathrm{A}$$
また、$10\mathrm{m}$の電線1本の電気抵抗は、
$$\frac{5}{1000}\times10=0.05\Omega$$
単相2線式回路の電圧降下は、
$$V=2rl=2\times0.05\times15=\boldsymbol{1.5\mathrm{V}}$$
よって「ハ」が正解となる。
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問7
金属管による低圧屋内配線工事で、管内に直径$2.0\mathrm{mm}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)2本を収めて施設した場合、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は。
ただし,周囲温度は$300^\circ\mathrm{C}$以下、電流減少係数は$0.7$とする。
解説
電技解釈第146条により、直径$2.0\mathrm{mm}$の単線の許容電流は$35\mathrm{A}$なので、この電流値に電流減少係数をかけると、
$$35\times0.7=24.5\mathrm{A}$$
電線の許容電流は7捨8入するので、
$$24.5\rightarrow\boldsymbol{24}\mathrm{A}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問8
図のように、三相の電動機と電熱器が低圧屋内幹線に接続されている場合、幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値$[\mathrm{A}]$は。
ただし需要率は$100\%$とする。
イ.$70$ ロ.$74$ ハ.$80$ ニ.$150$
解説
電動機の定格電流の合計$I_M$は、
$$I_M=10+30=40\mathrm{A}$$
その他の負荷の定格電流の合計$I_H$は、
$$I_H=15+15=30\mathrm{A}$$
電技解釈第148条により、幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値$I_W$を求める式は、$I_H<I_M$で$IM\leq 50\mathrm{A}$の場合、$I_W=1.25I_M+I_H$となる。
$$I_W=1.25\times40+30=80\mathrm{A}$$
よって「ハ」が正解となる。
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問9
低圧屋内配線の分岐回路の設計で、配線用遮断器、分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして、不適切なものは。
ただし,分岐点から配線用遮断器までは$3\mathrm{m}$,配線用遮断器からコンセントまでは$8\mathrm{m}$とし、電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また、コンセントは兼用コンセントではないものとする。
解説
電技解釈第149条により、$30\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$2.6\mathrm{mm}$(または$5.5\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以上$30\mathrm{A}$以下
でなければならない。
よって、「ロ」は$30\mathrm{A}$回路に$2.0\mathrm{mm}$の電線を使用しているので不適切である。
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問10
図のように定格電流$50\mathrm{A}$の配線用遮断器で保護された低圧屋内幹線からVVRケーブル太さ$8\mathrm{mm^2}$(許容電流$42\mathrm{A}$) で低圧屋内電路を分岐する場合、$\mathrm{a-b}$間の長さの最大値$[\mathrm{m}]$は。
ただし、低圧屋内幹線に接続される負荷は、電灯負荷とする。
イ.$3$ ロ.$5$ ハ.$8$ ニ.制限なし
解説
幹線の過電流遮断器の定格電流を$I_B$,分岐点から電線の許容電流を$I_W$とすると、$I_B$に対する$I_W$の割合は、
$$I_W\div I_B=42\div 50=0.84\rightarrow84\%$$
電技解釈第149条により、分岐点からの電線の許容電流$I_W$が幹線の過電流遮断器の定格電流$I_B$の$\boldsymbol{55\%}$以上の場合は、分岐回路の過電流遮断器を分岐点から$8\mathrm{m}$を超える位置(制限なし)に施設できる。
本問は$55\%$以上なので「ニ」が正解となる。
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