本記事では、第二種電気工事士筆記試験のうち「平成26年度下期 問1~10」について解説する。
問1
消費電力が500Wの電熱器を、$1$時間$30$分使用したときの発熱量[kJ]は。
イ.$450$ ロ.$750$ ハ.$1800$ ニ.$2700$
解説
消費電力$P[\mathrm{W}]$の電熱器を、$t$秒使用したときの発熱量$W[\mathrm{J}]$は、$W=Pt$で表される。
問題文では、使用時間は$1$時間$30$分となっているので、
$$t=\left(60+30\right)\times60=5400\mathrm{s}$$
したがって、発熱量$W[\mathrm{kJ}]$は、
$$W=500\times5400=2700000\mathrm{J}\rightarrow\boldsymbol{2700\mathrm{kJ}}$$
よって「ニ」が正解となる。
類題
問2
図のような直流回路に流れる電流$I[\mathrm{A}]$は。
イ.$1$ ロ.$2$ ハ.$4$ ニ.$8$
解説
次の図のように、合成抵抗を順に計算していく。
まず、①の部分の計算をすると、$4\Omega$の抵抗が並列で2つあるから、この部分の合成抵抗は$2\Omega$となる。
次に、②の部分の計算をすると、$2\Omega$の抵抗が直列で2つあるから、合成抵抗は$4\Omega$となる。
さらに、③の部分の計算をすると、$4\Omega$と$4\Omega$の抵抗が並列となっていることから、合成抵抗は$2\Omega$となる。
したがって、残りの$2\Omega$は直列となっているから、回路全体の合成抵抗は$4\Omega$となる。
電流$I$はオームの法則により、
$$I=\frac{16}{4}=\boldsymbol{4\mathrm{A}}$$
よって、「ハ」が正解となる。
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問3
直径$2.6\mathrm{mm}$,長さ$20\mathrm{m}$の銅導線と抵抗値が最も近い同材質の銅導線は。
イ.直径$1.6\mathrm{mm}$,長さ$40\mathrm{m}$
ロ.断面積$8\mathrm{mm^2}$,長さ$20\mathrm{m}$
ハ.直径$3.2\mathrm{mm}$,長さ$10\mathrm{m}$
ニ.断面積$5.5\mathrm{mm^2}$,長さ$20\mathrm{m}$
解説
抵抗率$\rho[\mathrm{\Omega\cdot mm^2/m}]$,長さ$l[\mathrm{m}]$,断面積$A[\mathrm{mm^2}]$とした場合、銅導線の抵抗$R[\Omega]$は、
$$R=\frac{\rho l}{A}[\Omega] ・・・(1)$$
断面積$A[\mathrm{mm^2}]$を直径$D[\mathrm{mm}]$の円とした場合、$A[\mathrm{mm^2}]$は、
$$A=\rho\frac{\pi D^2}{4}[\mathrm{mm^2}] ・・・(2)$$
$(2)$式を$(1)$式へ代入すると、
$$R=\frac{4\rho l}{\pi D^2}[\Omega] ・・・(3)$$
問題の銅導線の抵抗$R[\Omega]$は、$(3)$式より、
$$R=\frac{4\rho\times20}{\pi\times2.6^2}=3.77\rho[\Omega]$$
一方、イ・ロ・ハ・ニの抵抗値$R_1,\ R_2,\ R_3,\ R_4[\Omega]$は、
$$\begin{cases}
R_1&=\displaystyle{\frac{4\rho\times40}{\pi\times1.6^2}}&\fallingdotseq19.9\rho[\Omega]\\\\
R_2&=\displaystyle{\frac{20\rho}{8}}&\fallingdotseq2.5\rho[\Omega]\\\\
R_3&=\displaystyle{\frac{4\rho\times10}{\pi\times3.2^2}}&\fallingdotseq1.24\rho[\Omega]\\\\
R_4&=\displaystyle{\frac{20\rho}{5.5}}&=3.64\rho[\Omega]\end{cases}$$
以上の結果より、$\boldsymbol{R_4=3.64\rho\Omega}$が最も近い値となる。
よって「ニ」が正解となる。
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類題
問4
図のような三相負荷に三相交流電圧を加えたとき、各線に$20\mathrm{A}$の電流が流れた。
線間電圧$E[\mathrm{V}]$は。
イ.$120$ ロ.$173$ ハ.$208$ ニ.$240$
解説
図の$\mathrm{Y}$結線の抵抗負荷で、線電流を$I_l[\mathrm{A}]$,相電流を$I_p[\mathrm{A}]$,相電圧を$E_p[\mathrm{V}]$とした場合、$I_p=I_l=20\mathrm{A},\ E=\sqrt{3}E_p[\mathrm{V}]$となるから、回路の抵抗を$R[\Omega]$とすると、線間電圧$E[\mathrm{V}]$は、
$$\begin{align*}
E&=\sqrt{3}RI_p\\\\
&\fallingdotseq1.73\times120\\\\
&=207.6\mathrm{V}\\\\
&\fallingdotseq\boldsymbol{208\mathrm{V}}
\end{align*}$$
よって「ハ」が正解となる。
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問5
単相$200\mathrm{V}$の回路に、消費電力$2.0\mathrm{kW}$,力率$80\%$の負荷を接続した場合、回路に流れる電流$[\mathrm{A}]$は。
イ.$7.2$ ロ.$8.0$ ハ.$10.0$ ニ.$12.5$
解説
単相交流回路の電圧を$V[\mathrm{V}]$,電流を$I[\mathrm{A}]$,力率を$\cos\theta$とすると、消費電力$P[\mathrm{W}]$は次式となる。
$$P=VI\cos\theta[\mathrm{W}]$$
上式より、電流$I [A]$は、
$$I=\frac{P}{V\cos\theta}=\frac{2000}{200\times0.8}=\boldsymbol{12.5\mathrm{A}}$$
よって、「ニ」が正解となる。
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問6
図のような単相3線式回路で、電線1線当たりの抵抗が$r[\Omega]$,負荷電流が$I[\mathrm{A}]$,中性線に流れる電流が$0\mathrm{A}$のとき、電圧降下$\left(V_\mathrm{s}-V_\mathrm{r}\right)[\mathrm{V}]$を示す式は。
イ.$rI$ ロ.$\sqrt{3}rI$ ハ.$2rI$ ニ.$3rI$
解説
図の単相3線式回路で、中性線の電流が0の場合、抵抗$r$における電圧降下は$rI$,電力損失は$2rI^2$となる。
したがって、電圧降下$\left(V_\mathrm{s}-V_\mathrm{r}\right)[\mathrm{V}]$は、
$$V_\mathrm{s}-V_\mathrm{r}=\boldsymbol{rI}$$
よって「イ」が正解となる。
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類題
問7
図のような三相3線式回路で、線電流が$10\mathrm{A}$のとき、この電線路の電力損失$[\mathrm{W}]$は。
ただし、電線1線の抵抗は$1\mathrm{m}$当たり$0.01\Omega$とする。
イ.$20$ ロ.$35$ ハ.$40$ ニ.$60$
解説
問題の図の三相3線式回路で、電線1線当たりの抵抗値を$r[\Omega]$,線電流を$I[\mathrm{A}]$とすると、電力損失$P[\mathrm{W}]$は、$P=3\times I^2r$である。
電線の長さは$20\mathrm{m}$であるから、その抵抗値は$r=0.01\times20=0.2\Omega$であるから、電力損失$P[\mathrm{W}]$は、
$$P=3\times10^2\times0.2=\boldsymbol{60\mathrm{W}}$$
よって「ニ」が正解となる。
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問8
図のような単相3線式回路で、消費電力$100\mathrm{W}$,$500\mathrm{W}$の2つの負荷はともに抵抗負荷である 。
図中の×印点で断線した場合,$\mathrm{a-b}$間の電圧$[\mathrm{V}]$は。
ただし、断線によって負荷の抵抗値は変化しないものとする。
イ.$33$ ロ.$100$ ハ.$167$ ニ.$200$
解説
×点で断線した場合、下図のような単相$200\mathrm{V}$回路となる。
$\mathrm{a-b}$間の電圧$V$は分圧の式より、
$$V=\frac{100}{100+20}\times200=\frac{100}{120}\times200=\boldsymbol{167\mathrm{V}}$$
よって「ハ」が正解となる。
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問9
金属管による低圧屋内配線工事で、管内に直径$2.0\mathrm{mm}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)4本を収めて施設した場合、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は。
ただし、周囲温度は$30^\circ\mathrm{C}$以下、電流減少係数は$0.63$とする。
イ.$17$ ロ.$22$ ハ.$30$ ニ.$35$
解説
直径$2.0\mathrm{mm}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)の許容電流は$35\mathrm{A}$である。
電流減少係数が$0.63$であるから、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は、
$$35\times0.63=22.05\mathrm{A}\rightarrow\boldsymbol{\underline{22\mathrm{A}}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問10
低圧屋内配線の分岐回路の設計で、配線用遮断器、分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして、適切なものは。
ただし、分岐点から配線用遮断器までは$3\mathrm{m}$,配線用遮断器からコンセントまでは$8\mathrm{m}$とし、電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また、コンセントは兼用コンセントではないものとする。
解説
電技・解釈第149条により、$20\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$1.6\mathrm{mm}$(または$2.0\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以下
$30\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$2.6\mathrm{mm}$(または$5.5\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以上$30\mathrm{A}$以下
でなければならない。
選択肢について検証すると、
- イは適切である。
- ロは電線の太さが不適切である。
- ハは定格電流$30\mathrm{A}$のコンセントなので不適切である。
- ニは定格電流$15\mathrm{A}$のコンセントなので不適切である。
よって「イ」が正解である。
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