第二種電気工事士筆記試験解答・解説【令和3年度下期(午後) 問1~10】

本記事では、第二種電気工事士筆記試験のうち「令和3年度下期(午後) 問1~10」について解説する。

問1

図のような回路で、電流計Ⓐの値が2Aを示した。

このときの電圧計Ⓥの指示値[V]は。

 

 

イ.$16$  ロ.$32$  ハ.$40$  ニ.$48$

 

解説

問題の図の接続点として、点$\mathrm{a,\ b,\ c}$を下図のように定め、回路全体に流れる電流を$I[\mathrm{A}]$,回路の各電流を$I_1,\ I_2,\ I_3[\mathrm{A}]$とする。

 

 

点$\mathrm{a-b}$間の電圧$V_{\mathrm{ab}}[\mathrm{V}]$は、

$$V_{\mathrm{ab}}=8\times2=16\mathrm{V}$$

 

したがって、回路の各電流$I_1,\ I_2,\ I_3$は、

$$\begin{cases}
I_1&=\displaystyle{\frac{16}{4+4}}=2\mathrm{A}\\\\
I_2&=2\mathrm{A}\\\\
I_3&=\displaystyle{\frac{16}{4}}=4\mathrm{A}\\\\
\end{cases}$$

 

ゆえに、電流$I[\mathrm{A}]$は、

$$\begin{align*}
I&=I_1+I_2+I_3\\\\
&=2+2+4\\\\
&=8\mathrm{A}
\end{align*}$$

 

求める電圧計の指示値$V_{\mathrm{bc}}[\mathrm{V}]$は、

$$V_{\mathrm{bc}}=4\times8=\boldsymbol{32\mathrm{V}}$$

 

よって「ロ」が正解となる。

 

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類題

 

問2

抵抗率$\rho[\Omega\cdot\mathrm{m}]$ ,直径$D[\mathrm{mm}]$ ,長さ$L[\mathrm{m}]$の導線の電気抵抗$[\Omega]$を表す式は。

イ.$\displaystyle{\frac{\rho L^2}{\pi D^2}\times10^6}$  ロ.$\displaystyle{\frac{4\rho L}{\pi D^2}\times10^6}$  ハ.$\displaystyle{\frac{4\rho L^2}{\pi D}\times10^6}$  ニ.$\displaystyle{\frac{4\rho L}{\pi D}\times10^6}$

 

解説

抵抗率$\rho[\Omega\cdot\mathrm{m}]$ ,直径$D[\mathrm{mm}]$ ,長さ$L[\mathrm{m}]$の導線の電気抵抗$R[\Omega]$は、

$$R=\frac{4\rho L}{\pi D^2}$$

 

問題文では、直径$D$の単位が$[\mathrm{mm}]$なので、

$$R=\frac{4\rho L}{\pi \left(D\times10^{-3}\right)^2}=\boldsymbol{\frac{4\rho L}{\pi D^2}\times10^6}$$

 

よって「ロ」が正解となる。

 

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類題

 

問3

消費電力が$500\mathrm{W}$の電熱器を、$1$時間$30$分使用したときの発熱量$[\mathrm{kJ}]$は。

イ.$450$  ロ.$750$  ハ.$1800$  ニ.$2700$

 

解説

消費電力$P[\mathrm{W}]$の電熱器を、$t$秒使用したときの発熱量$W[\mathrm{J}]$は、$W=Pt$で表される。

 

問題文では、使用時間は$1$時間$30$分となっているので、

$$t=\left(60+30\right)\times60=5400\mathrm{s}$$

 

したがって、発熱量$W[\mathrm{kJ}]$は、

$$W=500\times5400=2700000\mathrm{J}\rightarrow\boldsymbol{2700\mathrm{kJ}}$$

 

よって「ニ」が正解となる。

 

類題

 

問4

単相$200\mathrm{V}$の回路に、消費電力$2.0\mathrm{kW}$,力率$80\%$の負荷を接続した場合、回路に流れる電流$[\mathrm{A}]$は。

イ.$7.2$  ロ.$8.0$  ハ.$10.0$  ニ.$12.5$

 

解説

単相交流回路の電圧を$V[\mathrm{V}]$,電流を$I[\mathrm{A}]$,力率を$\cos\theta$とすると、消費電力$P[\mathrm{W}]$は次式となる。

$$P=VI\cos\theta[\mathrm{W}]$$

 

上式より、電流$I [A]$は、

$$I=\frac{P}{V\cos\theta}=\frac{2000}{200\times0.8}=\boldsymbol{12.5\mathrm{A}}$$

 

よって、「ニ」が正解となる。

 

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類題

 

問5

図のような三相3線式回路に流れる電流$I[\mathrm{A}]$は。

 

 

イ.$8.3$  ロ.$11.6$  ハ.$14.3$  ニ.$20.0$

 

解説

回路の一相当たりの電圧$E$は、

$$E=\frac{200}{\sqrt{3}}=115.47\mathrm{V}$$

 

一相に流れる相電流$I_p$は、

$$I_p=\frac{115.47}{10}=11.55\mathrm{A}$$

 

$\mathrm{Y}$回路の線電流$I$は相電流$I_p$と等しいので、

$$I=I_p=11.55\fallingdotseq\boldsymbol{11.6\mathrm{A}}$$

よって「ロ」が正解となる。

 

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類題

 

 

問6

図のような単相2線式回路において、$\mathrm{c -c’}$間の電圧が$100\mathrm{V}$のとき、$\mathrm{a-a’}$間の電圧$[\mathrm{V}]$は。

ただし、$r$は電線の電気抵抗$[\Omega]$とする。

 

 

イ.$102$  ロ.$103$  ハ.$104$  ニ.$105$

 

解説

回路に流れる電流を図のとおり$I_1[\mathrm{A}]$、$I_2[\mathrm{A}]$と定める。

 

$\mathrm{a-b}$間および$\mathrm{b-b’}$間の電圧降下$[\mathrm{V}]$は、

$$\begin{cases}
\left(I_1+I_2\right)r&=\left(5+10\right)\times0.1&=1.5\mathrm{V}\\\\
I_2r&=10\times0.1&=1.0\mathrm{V}
\end{cases}$$

 

したがって、$\mathrm{a-a’}$間の電圧$[\mathrm{V}]$は、

$$1.5+1.0+100+1.0+1.5=\boldsymbol{105\mathrm{V}}$$

 

よって「ニ」が正解となる。

 

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類題

 

問7

図のような単相3線式回路において、電線1線当たりの電気抵抗が$0.2\Omega$,抵抗負荷に流れる電流がともに$10\mathrm{A}$のとき、配電線路の電力損失$[\mathrm{W}]$は。

 

 

イ.$4$  ロ.$8$  ハ.$40$  ニ.$80$

 

解説

図において、各抵抗負荷に流れる電流は等しいため、中性線に流れる電流は$0\mathrm{A}$となる。

 

したがって、電線路の電力損失$W[\mathrm{W}]$は、

$$\begin{align*}
W&=0.2\times10^2+0.2\times10^2\\\\
&=20+20\\\\
&=\boldsymbol{40\mathrm{W}}
\end{align*}$$

 

よって「ハ」が正解となる。

 

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類題

 

問8

金属管による低圧屋内配線工事で、管内に断面積$3.5\mathrm{mm^2}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)3本を収めて施設した場合、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は。

ただし、周囲温度は$30^\circ\mathrm{C}$以下、電流減少係数は$0.70$とする。

イ.$19$  ロ.$26$  ハ.$34$  ニ.$49$

 

解説

電技解釈第146条により、直径$3.5\mathrm{mm}$の単線の許容電流は$37\mathrm{A}$なので、この電流値に電流減少係数をかけると、

$$37\times0.7=25.9\mathrm{A}$$

 

電線の許容電流は7捨8入するので、

$$25.9\rightarrow\boldsymbol{26}\mathrm{A}$$

 

よって「ロ」が正解となる。

 

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類題

 

問9

図のような電熱器Ⓗ1台と電動機Ⓜ2台が接続された単相2線式の低圧屋内幹線がある。

この幹線の太さを決定する根拠となる電流$I_\mathrm{W}[\mathrm{A}]$と幹線に施設しなければならない過電流遮断器の定格電流を決定する根拠となる電流$I_\mathrm{B}[\mathrm{A}]$の組合せとして、適切なものは。

ただし、需要率は$100\%$とする。

イ.$I_\mathrm{W} 27$  $I_\mathrm{B} 55$

ロ.$I_\mathrm{W} 27$  $I_\mathrm{B} 65$

ハ.$I_\mathrm{W} 30$  $I_\mathrm{B} 55$

ニ.$I_\mathrm{W} 30$  $I_\mathrm{B} 65$

 

 

解説

電技解釈第148条により、幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値$I_\mathrm{W}$を求める式は、下表のとおりとなる。

定格電流の合計比較許容電流
$I_\mathrm{H}\geq I_\mathrm{M}$の場合$I_\mathrm{W}\geq I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}$
$I_\mathrm{H}< I_\mathrm{M}$ かつ $I_\mathrm{M}> 50\mathrm{A}$の場合$I_\mathrm{W}\geq 1.1I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}$
$I_\mathrm{H}< I_\mathrm{M}$ かつ $I_\mathrm{M}\leq 50\mathrm{A}$の場合$I_\mathrm{W}\geq 1.25I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}$

 

電動機の定格電流の合計$I_\mathrm{M}$は、

$$I_\mathrm{M}=5+15=20\mathrm{A}$$

 

その他の負荷の定格電流の合計$I_\mathrm{H}$は、

$$I_\mathrm{H}=5\mathrm{A}$$

 

$I_\mathrm{H}<I_\mathrm{M}$で$I_\mathrm{M}\leq50\mathrm{A}$の場合、表より$I_\mathrm{W}=1.25I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}$となるから、求める電流の最小値$I_\mathrm{W}$は、需要率が$100\%$であることも考慮すると、

$$I_\mathrm{W}=1.25\times20+5=\boldsymbol{30\mathrm{A}}$$

 

また、電技解釈第148条により、電動機が接続されている場合の幹線に施設しなければならない過電流遮断器の定格電流を決定する根拠となる電流$I_\mathrm{B}[\mathrm{A}]$は、次の計算値のうちいずれか小さい方以下にする必要がある。

$$\begin{cases}
3I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}=3\times20+5=65\mathrm{A}\\\\
2.5I_\mathrm{W}=2.5\times30=75\mathrm{A}
\end{cases}$$

 

以上より、求める電流$I_\mathrm{B}[\mathrm{A}]$は、

$$I_\mathrm{B}=\boldsymbol{65\mathrm{A}}$$

 

よって「ニ」が正解となる。

 

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問10

定格電流$30\mathrm{A}$の配線用遮断器で保護される分岐回路の電線(軟銅線)の太さと、接続できるコンセントの図記号の組合せとして、適切なものは。

ただし、コンセントは兼用コンセントではないものとする。

 

イ.断面積$5.5\mathrm{mm^2}$

ロ.直径$2.6\mathrm{mm}$

ハ.直径$2.0\mathrm{mm}$

ニ.断面積$8\mathrm{mm}$

解説

電技解釈第149条により、$20\mathrm{A}$分岐回路では、

  • 電線の太さ$1.6\mathrm{mm}$(または$2.0\mathrm{mm^2}$)以上
  • コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以下

 

$30\mathrm{A}$分岐回路では、

  • 電線の太さ$2.6\mathrm{mm}$(または$5.5\mathrm{mm^2}$)以上
  • コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以上$30\mathrm{A}$以下

でなければならない。

 

選択肢について検証すると、

  • イは適切である。
  • ロは定格電流$15\mathrm{A}$のコンセントなので、不適切である。
  • ハは電線の太さが$2.6\mathrm{mm}$より小さいので、不適切である。
  • ニは定格電流$15\mathrm{A}$のコンセントなので、不適切である。

 

よって「イ」が正解となる。

 

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