本記事では、第二種電気工事士筆記試験のうち「令和3年度下期(午後) 問11~20」について解説する。
問11
金属管工事において、絶縁ブッシングを使用する主な目的は。
イ.電線の被覆を損傷させないため。
ロ.電線の接続を容易にするため。
ハ.金属管を造営材に固定するため。
ニ.金属管相互を接続するため。
解説
絶縁ブッシングは金属管に通線した電線の被覆が損傷しないように、金属管端に取り付け、電線を保護するために用いられる。
よって「イ」が正解となる。
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類題
問12
低圧の地中配線を直接埋設式により施設する場合に使用できるものは。
イ.屋外用ビニル絶縁電線(OW)
ロ.$600\mathrm{V}$架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV)
ハ.引込用ビニル絶縁電線(DV)
ニ.$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(IV)
解説
- イの「屋外用ビニル絶縁電線(OW)」は使用できない。
- ロの「$600\mathrm{V}$架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV)」は、地中配線に使用できる。
- ハの「引込用ビニル絶縁電線(DV)」は使用できない。
- ニの「$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(IV)」は使用できない。
表 電線・ケーブルの概要と許容温度
電線・ケーブル | 説明 | 許容温度(℃) |
---|---|---|
600Vビニル絶縁電線(IV電線) | 主に屋内配線に使われる絶縁電線。 | $60^\circ\mathrm{C}$ |
600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形(VVFケーブル) | 屋内、屋外、地中で使えるケーブル。 ※VVFケーブルは平らになっている。 | $60^\circ\mathrm{C}$ |
600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形(VVRケーブル) | 屋内、屋外、地中で使えるケーブル。 ※VVRケーブルは丸くなっている。 | $60^\circ\mathrm{C}$ |
600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形(EM-EEFケーブル) | 屋内、屋外、地中で使えるケーブル。 ※燃焼時に有害ガスを発生しないケーブルで、エコケーブルとも呼ばれているケーブル。 | $75^\circ\mathrm{C}$ |
600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVケーブル) | 屋内、屋外、地中で使えるケーブル。 | $90^\circ\mathrm{C}$ |
よって「ロ」が正解となる。
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類題
問13
金属管(鋼製電線管)工事で切断及び曲げ作業に使用する工具の組合せとして、適切なものは。
イ.やすり パイプレンチ パイプベンダ
ロ.やすり 金切りのこ パイプベンダ
ハ.リーマ 金切りのこ トーチランプ
ニ.リーマ パイプレンチ トーチランプ
解説
金属管工事で切断に使用する工具は金切りのこである。
そして、その切断面はやすりで仕上げ、曲げにはパイプベンダを用いる。
なお、トーチランプは、合成樹脂管(硬質塩化ビニル電線管)を炎で熱して曲げる工具であるので、適切ではない。
また、パイプレンチは、金属管工事であるがカップリングなどを金属管に付ける際、管を回すときに使用するものである。
よって「ロ」が正解となる。
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類題
問14
必要に応じ、スターデルタ始動を行う電動機は。
イ.三相かご形誘導電動機
ロ.三相巻線形誘導電動機
ハ.直流分巻電動機
ニ.単相誘導電動機
解説
スターデルタ始動とは、三相かご形誘導電動機をスター($\mathrm{Y}$)結線で始動し、ある程度回転速度が上がったらデルタ($\Delta$)結線に切り替えて起動させる方法である。
スターデルタ始動は、始動電流を$\displaystyle{\frac{1}{3}}$程度に減らすことができるので用いられる。
よって「イ」が正解となる。
類題
問15
漏電遮断器に関する記述として、誤っているものは。
イ.高速形漏電遮断器は、定格感度電流における動作時聞が$0.1$秒以下である。
ロ.漏電遮断器には、漏電電流を模擬したテスト装置がある。
ハ.漏電遮断器は、零相変流器によって地絡電流を検出する。
ニ.高感度形漏電遮断器は、定格感度電流が$1000\mathrm{mA}$以下である。
解説
- イは正しく、定格感度電流における動作時間が$0.1$秒以下のものを高速形漏電遮断器という。
- ロは正しく、漏電遮断器には、漏電電流を模擬したテスト装置がある。
- ハは正しく、漏電遮断器は、零相変流器によって地絡電流を検出する。
- ニは誤りで、定格感度電流が$\boldsymbol{30\mathrm{mA}}$以下の漏電遮断器を高感度形漏電遮断器という。
よって「ニ」が正解となる。
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類題
問16
写真に示す材料の用途は。
イ.合成樹脂製可とう電線管相互を接続するのに用いる。
ロ.合成樹脂製可とう電線管と硬質ポリ塩化ビニル電線管(硬質塩化ビニル電線管)とを接続するのに用いる。
ハ.硬質ポリ塩化ビニル電線管(硬質塩化ビニル電線管)相互を接続するのに用いる。
ニ.鋼製電線管と合成樹脂製可とう電線管とを接続するのに用いる。
解説
写真の材料は合成樹脂製可とう電線管用カップリングである。
- イの「合成樹脂製可とう電線管相互を接続する」用途に使用される。正しい。
- ロの「合成樹脂製可とう電線管と硬質ポリ塩化ビニル電線管(硬質塩化ビニル電線管)とを接続する」「違う種類の電線管を接続する」ときに「コンビネーションカップリング」が使用される。よって、誤り。
- ハの「硬質ポリ塩化ビニル電線管(硬質塩化ビニル電線管)相互を接続する」用途に使用されるのは「TSカップリング」である。よって、誤り。
- ニの「鋼製電線管と合成樹脂製可とう電線管とを接続する」用途に使用されるのは「違う種類の電線管を接続する」ときに「コンビネーションカップリング」が使用される。よって、誤り。
よって「イ」が正解となる。
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類題
問17
写真に示す器具の用途は。
イ.手元開閉器として用いる。
ロ.電圧を変成するために用いる。
ハ.力率を改善するために用いる。
ニ.蛍光灯の放電を安定させるために用いる。
解説
写真は蛍光灯用安定器である。
放電灯の放電を安定させるために用いる器具で、回路に直列に接続する。
よって「ニ」が正解となる。
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類題
問18
写真に示す工具の用途は。
イ.電線の支線として用いる。
ロ.太い電線を曲げてくせをつけるのに用いる。
ハ.施工時の電線管の回転等すべり止めに用いる。
ニ.架空線のたるみを調整するのに用いる。
解説
写真の工具は張線器(シメラ)である。
架線作業時、電線のたるみをとるのに用いる。
よって「ニ」が正解となる。
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類題
問19
$600\mathrm{V}$ビニル絶縁ビニルシースケーブル平形$1.6\mathrm{mm}$を使用した低圧屋内配線工事で、絶縁電線相互の終端接続部分の絶縁処理として、不適切なものは。
ただし、ビニルテープはJISに定める厚さ約$0.2\mathrm{mm}$のの電気絶縁用ポリ塩化ビニル粘着テープとする。
イ.差込形コネクタにより接続し、接続部分をビニルテープで巻かなかった。
ロ.リングスリーブ(E形)により接続し、接続部分を黒色粘着性ポリエチレン絶縁テープ(厚さ約$0.5\mathrm{mm}$)で半幅以上重ねて1回(2層)巻いた。
ハ.リングスリーブ(E形)により接続し、接続部分をビニルテープで半幅以上重ねて1回(2層)巻いた。
ニ.リングスリーブ(E形)により接続し、接続部分にリングスリーブ用の絶縁キャップを被せ、ビニルテープで巻かなかった。
解説
リングスリーブ接続において、絶縁テープにビニルテープ(厚さ約$0.2\mathrm{mm}$)を使用するときは、半幅以上重ねて2回以上(4層以上)巻かなければならない。
よって「ハ」が不適切である。
類題
問20
同一敷地内の車庫へ使用電圧$100\mathrm{V}$の電気を供給するための低圧屋側配線部分の工事として、不適切なものは。
イ.1種金属製線びによる金属線ぴ工事
ロ.硬質ポリ塩化ビニル電線管(硬質塩化ビニル電線管)(VE)による合成樹脂管工事
ハ.$600\mathrm{V}$架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV)によるケーブル工事
ニ.$600\mathrm{V}$ビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形(VVR)によるケーブル工事
解説
低圧の屋側配線または屋外配線においては、金属線ぴ工事は施工できない。
よって「イ」は不適切である。
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