本記事では、第二種電気工事士筆記試験のうち「平成28年度上期 問1~10」について解説する。
問1
図のような回路で、端子a-b間の合成抵抗[Ω]は。
イ.$1.1$ ロ.$2.5$ ハ.$6$ ニ.$15$
解説
同じ大きさの抵抗が$n$個並列の場合は$\displaystyle{\frac{1}{n}}$となるので、
$3\Omega$の抵抗が3つの部分は$3\times\displaystyle{\frac{1}{3}}=1\Omega$,$3\Omega$の抵抗が2つの部分は$3\times\displaystyle{\frac{1}{2}}=1.5\Omega$。
したがって、合成抵抗は、
$$1+1.5=\boldsymbol{2.5\Omega}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問2
図のような交流回路において、抵抗$12\Omega$の両端の電圧$V[\mathrm{V}]$は。
イ.$86$ ロ.$114$ ハ.$120$ ニ.$160$
解答
回路のインピーダンス$Z[\Omega]$は、
$$Z=\sqrt{12^2+16^2}=20\Omega$$
回路に流れる電流$I$は、
$$I=\frac{V}{Z}=\frac{200}{20}=10\mathrm{A}$$
$12\Omega$の抵抗の両端の電圧は、
$$V=IR=10\times12=\boldsymbol{120\mathrm{V}}$$
よって「ニ」が正解となる。
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問3
ビニル絶縁電線(単線)の抵抗と許容電流に関する記述として、誤っているものは。
イ.許容電流は、周囲の温度が上昇すると、大きくなる。
ロ.許容電流は、導体の直径が大きくなると、大きくなる。
ハ.電線の抵抗は、導体の長さに比例する。
ニ.電線の抵抗は、導体の直径の2乗に反比例する。
解説
電線の温度が上昇すると、電気抵抗が増加する。
電気抵抗が増加すると、許容電流は小さくなる。
よって「イ」が誤っている。
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問4
電線の接続不良により、接続点の接触抵抗が$0.2\Omega$となった。
この電線に$15\mathrm{A}$の電流が流れると、接続点から1時間に発生する熱量$[\mathrm{kJ}]$は。
ただし、接触抵抗の値は変化しないものとする。
イ.$11$ ロ.$45$ ハ.$72$ ニ.$162$
解説
電線の接続点の接触抵抗を$R[\Omega]$,流れる電流を$I[\mathrm{A}]$,流れた時間を$t[\mathrm{s}]$とすると、その点に発生する熱量は$W=I^2Rt[\mathrm{J}]$で表される。
したがって、発生熱量$W$は、
$$W=15^2\times0.2\times3600=162000\mathrm{J}\rightarrow\boldsymbol{162\mathrm{kJ}}$$
よって「ニ」が正解となる。
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問5
定格電圧$V[\mathrm{V}]$,定格電流$I[\mathrm{A}]$の三相誘導電動機を定格状態で時間$t[\mathrm{h}]$の間、連続運転したところ、消費電力量が$W[\mathrm{kW\cdot h}]$であった。
この電動機の力率$[\%]$を表す式は。
イ.$\displaystyle{\frac{W}{\sqrt{3}VIt}}\times10^5$ ロ.$\displaystyle{\frac{W}{3VIt}}\times10^5$ ハ.$\displaystyle{\frac{\sqrt{3}VI}{Wt}}\times10^5$ ニ.$\displaystyle{\frac{3VI}{Wt}}\times10^5$
解説
三相誘導電動機の消費電力量$W$は、線間電圧を$V_l$、線電流を$I_l$,力率を$\cos\theta$,運転時間を$t[\mathrm{h}]$とすると、
$$W=\sqrt{3}V_lI_lt\cos\theta[\mathrm{W\cdot h}]\rightarrow\sqrt{3}V_lI_lt\cos\theta\times10^{-3}[\mathrm{kW\cdot h}]$$
上式より、
$$\cos\theta=\frac{W}{\sqrt{3}\times VIt\times10^{-3}}=\frac{W}{\sqrt{3}VIt}\times10^3$$
上式を$\%$で表すと
$$\frac{W}{\sqrt{3}VIt}\times10^3\times10^2=\boldsymbol{\frac{W}{\sqrt{3}VIt}\times10^5[\%]}$$
よって「イ」が正解となる。
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問6
図のような単相3線式回路において、電線1線当たりの抵抗が$0.2\Omega$のとき、$\mathrm{a-b}$間の電圧$[\mathrm{V}]$は。
イ.$96$ ロ.$100$ ハ.$102$ ニ.$106$
解説
2つの抵抗負荷には同じ電流が流れているので、中性線には電流が流れない。
単相3線式回路の中性線に電流が流れない場合の電圧降下の式は$v=rI[\mathrm{V}]$で表されるので、
$$v=0.2\times10=2\mathrm{V}$$
$\mathrm{a-b}$間の電圧は電源電圧$V-$電圧降下$v$なので、
$$104-2=\boldsymbol{102\mathrm{V}}$$
よって「ハ」が正解となる。
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問7
図のような単相3線式回路において、消費電力$1000\mathrm{W}$,$200\mathrm{W}$の2つの負荷はともに抵抗負荷である。
図中の×印点で断線した場合、$\mathrm{a-b}$間の電圧$[\mathrm{V}]$は。
ただし、断線によって負荷の抵抗値は変化しないものとする。
イ.$17$ ロ.$33$ ハ.$100$ ニ.$167$
解説
×点で断線した場合、下図のような単相$200\mathrm{V}$回路となる。
$\mathrm{a-b}$間の電圧は分圧の式より、
$$V=\frac{10}{10+50}\times200=\frac{10}{60}\times200=\boldsymbol{33\mathrm{V}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問8
金属管による低圧屋内配線工事で、管内に断面積$3.5\mathrm{mm^2}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)3本を収めて施設した場合、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は。
ただし、周囲温度は$30^\circ\mathrm{C}$以下、電流減少係数は$0.70$とする。
イ.$19$ ロ.$26$ ハ.$34$ ニ.$49$
解説
電技解釈第146条により、直径$3.5\mathrm{mm}$の単線の許容電流は$37\mathrm{A}$なので、この電流値に電流減少係数をかけると、
$$37\times0.7=25.9\mathrm{A}$$
電線の許容電流は7捨8入するので、
$$25.9\rightarrow\boldsymbol{26}\mathrm{A}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問9
図のように定格電流$50\mathrm{A}$の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して、$7\mathrm{m}$の位置に過電流遮断器を施設するとき、$\mathrm{a-b}$間の電線の許容電流の最小値$[\mathrm{A}]$は。
イ.$12.5$ ロ.$17.5$ ハ.$22.5$ ニ.$27.5$
解説
幹線の過電流遮断器の定格電流を$I_B$,分岐点から電線の許容電流を$I_W$とすると、電技解釈第149条により、分岐回路の過電流遮断器を分岐点から$3\mathrm{m}$を超え$8\mathrm{m}$以下の位置に施設する場合は、$I_W$を$I_B$の$\boldsymbol{35\%}$以上にしなければならない。
上記より、許容電流の最小値は、
$$0.35\times50=\boldsymbol{17.5\mathrm{A}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問10
低圧屋内配線の分岐回路の設計で、配線用遮断器、分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして、適切なものは。
ただし,分岐点から配線用遮断器までは$3\mathrm{m}$,配線用遮断器からコンセントまでは$8\mathrm{m}$とし、電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また、コンセントは兼用コンセントではないものとする。
解説
電技解釈第149条により、$20\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$1.6\mathrm{mm}$(または$2.0\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以下
$30\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$2.6\mathrm{mm}$(または$5.5\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以上$30\mathrm{A}$以下
でなければならない。
選択肢の内、「ニ」のみが上記の条件に適合している。
よって「ニ」が正解である。
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