本記事では、第二種電気工事士筆記試験のうち「令和4年度上期(午前) 問1~10」について解説する。
問1
図のような回路で、電流計Ⓐの値が1Aを示した。
このときの電圧計Ⓥの指示値[V]は。
イ.$16$ ロ.$32$ ハ.$40$ ニ.$48$
解説
問題の図の接続点として、点$\mathrm{a,\ b,\ c}$を下図のように定め、回路全体に流れる電流を$I[\mathrm{A}]$,回路の各電流を$I_1,\ I_2,\ I_3[\mathrm{A}]$とする。
点$\mathrm{a-b}$間の電圧$V_{\mathrm{ab}}[\mathrm{V}]$は、
$$V_{\mathrm{ab}}=8\times1=8\mathrm{V}$$
したがって、回路の各電流$I_1,\ I_2,\ I_3$は、
$$\begin{cases}
I_1&=\displaystyle{\frac{8}{4+4}}=1\mathrm{A}\\\\
I_2&=1\mathrm{A}\\\\
I_3&=\displaystyle{\frac{8}{4}}=2\mathrm{A}
\end{cases}$$
ゆえに、電流$I[\mathrm{A}]$は、
$$\begin{align*}
I&=I_1+I_2+I_3\\\\
&=1+1+2\\\\
&=4\mathrm{A}
\end{align*}$$
求める電圧計の指示値$V_{\mathrm{bc}}[\mathrm{V}]$は、
$$V_{\mathrm{bc}}=4\times4=\boldsymbol{16\mathrm{V}}$$
よって「イ」が正解となる。
関連記事
類題
問2
ビニル絶縁電線(単線)の抵抗又は許容電流に関する記述として、誤っているものは。
イ.許容電流は、周囲の温度が上昇すると、大きくなる。
ロ.許容電流は、導体の直径が大きくなると、大きくなる。
ハ.電線の抵抗は、導体の長さに比例する。
ニ.電線の抵抗は、導体の直径の2乗に反比例する。
解説
電線の温度が上昇すると、電気抵抗が増加する。
電気抵抗が増加すると、許容電流は小さくなる。
よって「イ」が誤っている。
関連記事
類題
問3
抵抗器に$100\mathrm{V}$の電圧を印加したとき、$5\mathrm{A}$の電流が流れた。
1時間30分の間に抵抗器で発生する熱量$[\mathrm{kJ}]$は。
イ.$750$ ロ.$1800$ ハ.$2700$ ニ.$5400$
解説
抵抗器に印加する電圧を$V[\mathrm{V}]$,流れる電流を$I[\mathrm{A}]$,流れた時間を$t[\mathrm{s}]$とすると、抵抗器で発生する熱量は$W=VIt[\mathrm{J}]$で表される。
したがって、発生熱量$W$は、
$$W=100\times5\times1.5\times3600=2700000\mathrm{J}\rightarrow\boldsymbol{2700\mathrm{kJ}}$$
よって「ハ」が正解となる。
関連記事
類題
問4
図のような交流回路において、抵抗$8\Omega$の両端の電圧$V[\mathrm{V}]$は。
イ.$43$ ロ.$57$ ハ.$60$ ニ.$80$
解説
図の交流回路において、合成インピーダンス$[\Omega]$は、
$$\sqrt{8^2+6^2}=\sqrt{100}=10\Omega$$
回路に流れる電流$[\mathrm{A}]$は、
$$\frac{100}{10}=10\mathrm{A}$$
したがって、抵抗$8\Omega$の両端にかかる電圧$[\mathrm{V}]$は、
$$8\times10=\boldsymbol{80\mathrm{V}}$$
よって「ニ」が正解となる。
関連記事
類題
問5
図のような三相3線式回路の全消費電力$[\mathrm{kW}]$は。
イ.$2.4$ ロ.$4.8$ ハ.$7.2$ ニ.$9.6$
解説
図の交流回路において、合成インピーダンス$[\Omega]$は、
$$\sqrt{6^2+8^2}=\sqrt{100}=10\Omega$$
一相当たりの電流$[\mathrm{A}]$は、
$$\frac{200}{10}=20\mathrm{A}$$
1つの抵抗で消費する電力$[\mathrm{W}]$は、
$$6\times20^2=2400\mathrm{W}$$
したがって、三相回路での全消費電力は、
$$2400\times3=7200\mathrm{W}\rightarrow\boldsymbol{7.2\mathrm{kW}}$$
よって「ハ」が正解となる。
関連記事
類題
問6
図のような三相3線式回路で、電線1線当たりの抵抗値が$0.15\Omega$,線電流が$10\mathrm{A}$のとき、この電線路の電力損失$[\mathrm{W}]$は。
イ.$15$ ロ.$26$ ハ.$30$ ニ.$45$
解説
問題の図の三相3線式回路で、電線1線当たりの抵抗値を$r[\Omega]$,線電流を$I[\mathrm{A}]$とすると、電力損失$P[\mathrm{W}]$は、$P=3\times I^2r$であるから、
$$P=3\times10^2\times0.15=\boldsymbol{45\mathrm{W}}$$
よって「ニ」が正解となる。
関連記事
類題
問7
図のような単相3線式回路において、消費電力$1000\mathrm{W}$,$200\mathrm{W}$の2つの負荷はともに抵抗負荷である。
図中の×印点で断線した場合、$\mathrm{a-b}$間の電圧$[\mathrm{V}]$は。
ただし、断線によって負荷の抵抗値は変化しないものとする。
イ.$17$ ロ.$33$ ハ.$100$ ニ.$167$
解説
×点で断線した場合、下図のような単相$200\mathrm{V}$回路となる。
$\mathrm{a-b}$間の電圧は分圧の式より、
$$V=\frac{10}{10+50}\times200=\frac{10}{60}\times200=\boldsymbol{33\mathrm{V}}$$
よって「ロ」が正解となる。
関連記事
類題
問8
金属管による低圧屋内配線工事で、管内に直径$2.0\mathrm{mm}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)4本を収めて施設した場合、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は。
ただし、周囲温度は$30^\circ\mathrm{C}$以下、電流減少係数は$0.63$とする。
イ.$22$ ロ.$31$ ハ.$36$ ニ.$38$
解説
直径$2.0\mathrm{mm}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)の許容電流は、表1より$35\mathrm{A}$である。
表1 絶縁電線の許容電流
電線の直径 | 許容電流 |
---|---|
$1.6\mathrm{mm}$ | $27\mathrm{A}$ |
$\boldsymbol{2.0\mathrm{mm}}$ | $\boldsymbol{35\mathrm{A}}$ |
$2.6\mathrm{mm}$ | $48\mathrm{A}$ |
$3.2\mathrm{mm}$ | $62\mathrm{A}$ |
そして表2より、管内の電線数が$4$本の場合の電流減少係数は$0.63$である。
表2 電流減少係数
管内の電線数 | 電流減少係数 |
---|---|
$3$本以下 | $0.7$ |
$\boldsymbol{4}$本 | $\boldsymbol{0.63}$ |
$5\sim6$本 | $0.56$ |
$7\sim15$本 | $0.49$ |
以上より、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は、
$$35\times0.63=22.05\mathrm{A}\rightarrow\boldsymbol{\underline{22\mathrm{A}}}$$
よって「イ」が正解となる。
関連記事
類題
- 令和3年度上期(午前) 問8
- 令和3年度上期(午後) 問8
- 令和3年度下期(午前) 問8
- 令和3年度下期(午後) 問8
- 令和2年度下期(午前) 問8
- 令和2年度下期(午後) 問8
- 令和元年度上期 問8
- 令和元年度下期 問8
- 平成30年度上期 問8
- 平成30年度下期 問8
- 平成29年度上期 問7
- 平成29年度下期 問7
- 平成28年度上期 問8
- 平成28年度下期 問7
- 平成27年度上期 問7
- 平成27年度下期 問8
- 平成26年度上期 問7
- 平成26年度下期 問9
- 平成25年度上期 問8
- 平成25年度下期 問8
問9
定格電流$12\mathrm{A}$の電動機$5$台が接続された単相2線式の低圧屋内幹線がある。
この幹線の太さを決定するための根拠となる電流の最小値$[\mathrm{A}]$は。
ただし、需要率は$80\%$とする。
イ.$48$ ロ.$60$ ハ.$66$ ニ.$75$
解説
電動機の定格電流の合計$I_\mathrm{M}$は、
$$I_\mathrm{M}=12\times5=60\mathrm{A}$$
その他の負荷の定格電流の合計$I_\mathrm{H}$は、
$$I_\mathrm{H}=0\mathrm{A}$$
電技解釈第148条により、幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値$I_\mathrm{W}$を求める式は、$I_\mathrm{H}<I_\mathrm{M}$で$I_\mathrm{M}\leq 50\mathrm{A}$の場合、$I_\mathrm{W}=1.25I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}$となる。
需要率が$80\%$であることも考慮すると、$I_\mathrm{W}$は、
$$I_W=0.8\left(1.25\times60+0\right)=60\mathrm{A}$$
よって「ロ」が正解となる。
関連記事
類題
問10
定格電流$30\mathrm{A}$の配線用遮断器で保護される分岐回路の電線(軟銅線)の太さと、接続できるコンセントの図記号の組合せとして、適切なものは。
ただし、コンセントは兼用コンセントではないものとする。
イ.断面積$5.5\mathrm{mm^2}$
ロ.断面積$3.5\mathrm{mm^2}$
ハ.直径$2.0\mathrm{mm}$
ニ.断面積$5.5\mathrm{mm}$
解説
電技解釈第149条により、$20\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$1.6\mathrm{mm}$(または$2.0\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以下
$30\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$2.6\mathrm{mm}$(または$5.5\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以上$30\mathrm{A}$以下
でなければならない。
選択肢について検証すると、
- イは定格電流$15\mathrm{A}$のコンセントなので、不適切である。
- ロは電線の断面積が$5.5\mathrm{mm^2}$より小さいので、不適切である。
- ハは電線の太さが$2.6\mathrm{mm}$より小さいので、不適切である。
- ニは適切である。
よって「ニ」が正解となる。
関連記事
類題
- 令和3年度上期(午前) 問10
- 令和3年度上期(午後) 問10
- 令和3年度下期(午前) 問10
- 令和3年度下期(午後) 問10
- 令和2年度下期(午前) 問10
- 令和2年度下期(午後) 問10
- 令和元年度上期 問10
- 令和元年度下期 問10
- 平成30年度上期 問10
- 平成30年度下期 問10
- 平成29年度上期 問9
- 平成29年度下期 問9
- 平成28年度上期 問10
- 平成28年度下期 問9
- 平成27年度上期 問10
- 平成27年度下期 問10
- 平成26年度上期 問10
- 平成26年度下期 問10
- 平成25年度上期 問10
- 平成25年度下期 問10
この年度の他の問題
- 令和4年度上期(午前) 問11~20
- 令和4年度上期(午前) 問21~30
- 令和4年度上期(午前) 問31~40
- 令和4年度上期(午前) 問41~50
技能試験 2023年度候補問題 2023年度第二種電気工事士技能試験 候補問題No.1 2023年度第二種電気工事士技能試験 候補問題No.2 2023年度第二種電気工事士技能試験 候補問題N[…]
著書・製品のご紹介
『書籍×動画』が織り成す、未だかつてない最高の学習体験があなたを待っている!
※本ページはプロモーションが含まれています。―『書籍×動画』が織り成す、未だかつてない最高の学習体験があなたを待っている― 当サイト「電気の神髄」をいつもご利用ありがとうございます。管理人の摺り足の加藤です。[…]
この講座との出会いは、数学が苦手なあなたを救う!
電験アカデミアにテキストを書き下ろしてもらい、電験どうでしょうの川尻将先生により動画解説を行ない、電験3種受験予定者が電…
すべての電験二種受験生の方に向けて「最強の対策教材」作りました!
※本ページはプロモーションが含まれています。すべての電験二種受験生の方に向けて「最強の対策教材」作りました! 当サイト「電気の神髄」をいつもご愛読ありがとうございます。管理人の摺り足の加藤です。 […]
初学者が躓きがちなギモンを、電験アカデミアがスッキリ解決します!
※本ページはプロモーションが含まれています。 当サイト「電気の神髄」をいつもご利用ありがとうございます。管理人の摺り足の加藤です。 2022年5月18日、オーム社より「電験カフェへようこそ[…]