本記事では、第二種電気工事士筆記試験のうち「令和元年度下期 問1~10」について解説する。
問1
図のような回路で、端子a-b間の合成抵抗[Ω]は。
イ.$1$ ロ.$2$ ハ.$3$ ニ.$4$
解説
合成抵抗の計算の問題である。
まず、下図の枠①で囲った部分の計算をすると、$6\Omega$が並列で2つあるから、合成抵抗は$3\Omega$となる。
次に、下図の枠②の計算をすると、$3\Omega$が直列で2つあるから、合成抵抗は$6\Omega$となる。
最後に、下図の枠③の計算をすると、$3\Omega$と$6\Omega$の並列であるから、合成抵抗は$\boldsymbol{2\Omega}$となる。
よって「ロ」が正解となる。
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問2
直径$2.6\mathrm{mm}$,長さ$10\mathrm{m}$の銅導線と抵抗値が最も近い同材質の銅導線は。
イ.断面積$5.5\mathrm{mm^2}$,長さ$10\mathrm{m}$
ロ.断面積$8\mathrm{mm^2}$,長さ$10\mathrm{m}$
ハ.直径$1.6\mathrm{mm}$,長さ$20\mathrm{m}$
ニ.直径$3.2\mathrm{mm}$,長さ$5\mathrm{m}$
解説
抵抗率$\rho[\mathrm{\Omega\cdot mm^2/m}]$,長さ$l[\mathrm{m}]$,断面積$A[\mathrm{mm^2}]$とした場合、銅導線の抵抗$R[\Omega]$は、
$$R=\frac{\rho l}{A}[\Omega] ・・・(1)$$
断面積$A[\mathrm{mm^2}]$を直径$D[\mathrm{mm}]$の円とした場合、$A[\mathrm{mm^2}]$は、
$$A=\rho\frac{\pi D^2}{4}[\mathrm{mm^2}] ・・・(2)$$
$(2)$式を$(1)$式へ代入すると、
$$R=\frac{4\rho l}{\pi D^2}[\Omega] ・・・(3)$$
問題の銅導線の抵抗$R[\Omega]$は、$(3)$式より、
$$R=\frac{4\rho\times10}{\pi\times2.6^2}=1.88\rho[\Omega]$$
一方、イ・ロ・ハ・ニの抵抗値$R_1,\ R_2,\ R_3,\ R_4[\Omega]$は、
$$\begin{cases}
R_1&=\displaystyle{\frac{10\rho}{5.5}}&\fallingdotseq1.82\rho[\Omega]\\\\
R_2&=\displaystyle{\frac{10\rho}{8}}&=1.25\rho[\Omega]\\\\
R_3&=\displaystyle{\frac{4\rho\times20}{\pi\times1.6^2}}&\fallingdotseq9.95\rho[\Omega]\\\\
R_4&=\displaystyle{\frac{4\rho\times5}{\pi\times3.2^2}}&\fallingdotseq0.622\rho[\Omega]\end{cases}$$
以上の結果より、$\boldsymbol{R_1=1.82\rho\Omega}$が最も近い値となる。
よって「イ」が正解となる。
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問3
消費電力が$500\mathrm{W}$の電熱器を、$1$時間$30$分使用したときの発熱量$[\mathrm{kJ}]$は。
イ.$450$ ロ.$750$ ハ.$1800$ ニ.$2700$
解説
消費電力$P[\mathrm{W}]$の電熱器を、$t$秒使用したときの発熱量$W[\mathrm{J}]$は、$W=Pt$で表される。
問題文では、使用時間は$1$時間$30$分となっているので、
$$t=\left(60+30\right)\times60=5400\mathrm{s}$$
したがって、発熱量$W[\mathrm{kJ}]$は、
$$W=500\times5400=2700000\mathrm{J}\rightarrow\boldsymbol{2700\mathrm{kJ}}$$
よって「ニ」が正解となる。
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問4
図のような正弦波交流回路の電源電圧$v$に対する電流$i$の波形として、正しいものは。
解説
正弦波交流電源に静電容量(コンデンサ)$C$が接続されると、電流$i$の波形は電圧$v$の波形より$90^\circ$位相が進む。
逆に、正弦波交流電源にインダクタンス(コイル)$L$が接続されると、電流$i$の波形は電圧$v$の波形より$90^\circ$位相が遅れる。
よって、「ハ」が正解となる。
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調査中
問5
図のような三相3線式回路に流れる電流$I[\mathrm{A}]$は。
イ.$8.3$ ロ.$12.1$ ハ.$14.3$ ニ.$20.0$
解説
回路の一相当たりの電圧$E$は、
$$E=\frac{210}{\sqrt{3}}=121.2\mathrm{V}$$
一相に流れる相電流$I_p$は、
$$I_p=\frac{121.2}{10}=12.12\mathrm{A}$$
$\mathrm{Y}$回路の線電流$I$は相電流$I_p$と等しいので、
$$I=I_p=12.12\fallingdotseq\boldsymbol{12.1\mathrm{A}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問6
図のような単相3線式回路で、消費電力$100\mathrm{W}$,$500\mathrm{W}$の2つの負荷はともに抵抗負荷である 。
図中の×印点で断線した場合,$\mathrm{a-b}$間の電圧$[\mathrm{V}]$は。
ただし、断線によって負荷の抵抗値は変化しないものとする。
イ.$33$ ロ.$100$ ハ.$167$ ニ.$200$
解説
×点で断線した場合、下図のような単相$200\mathrm{V}$回路となる。
$\mathrm{a-b}$間の電圧$V$は分圧の式より、
$$V=\frac{100}{100+20}\times200=\frac{100}{120}\times200=\boldsymbol{167\mathrm{V}}$$
よって「ハ」が正解となる。
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問7
図のような三相3線式回路で、電線1線当たりの抵抗が$0.15\Omega$,線電流が$10\mathrm{A}$のとき、電圧降下$\left(V_\mathrm{s}-V_\mathrm{r}\right)[\mathrm{V}]$は。
イ.$1.5$ ロ.$2.6$ ハ.$3.0$ ニ.$4.5$
解説
図の三相3線式回路で、抵抗$r$における電圧降下は$\sqrt{3}rI$,電力損失は$3rI^2$となる。
したがって、電圧降下$\left(V_\mathrm{s}-V_\mathrm{r}\right)[\mathrm{V}]$は、
$$V_\mathrm{s}ーV_\mathrm{r}=\sqrt{3}\times0.15\times10=\boldsymbol{2.6\mathrm{V}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問8
合成樹脂製可とう電線管(PF管)による低圧屋内配線工事で、管内に断面積$5.5\mathrm{mm^2}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)3本を収めて施設した場合、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は。
ただし、周囲温度は$30^\circ\mathrm{C}$以下、電流減少係数は$0.70$とする。
イ.$26$ ロ.$34$ ハ.$42$ ニ.$49$
解説
電技解釈第146条により、断面積$5.5\mathrm{mm}$の単線の許容電流は$49\mathrm{A}$であり、この電線を3本収めて施設する。
この電流値に電流減少係数をかけると、
$$49\times0.70=34.3\mathrm{A}$$
電線の許容電流は7捨8入するので、
$$34.3\rightarrow\boldsymbol{34}\mathrm{A}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問9
図のように定格電流$50\mathrm{A}$の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して、$7\mathrm{m}$の位置に過電流遮断器を施設するとき、$\mathrm{a-b}$間の電線の許容電流の最小値$[\mathrm{A}]$は。
イ.$12.5$ ロ.$17.5$ ハ.$22.5$ ニ.$27.5$
解説
幹線の過電流遮断器の定格電流を$I_B$,分岐点から電線の許容電流を$I_W$とすると、電技解釈第149条により、分岐回路の過電流遮断器を分岐点から$3\mathrm{m}$を超え$8\mathrm{m}$以下の位置に施設する場合は、$I_W$を$I_B$の$\boldsymbol{35\%}$以上にしなければならない。
上記より、許容電流の最小値は、
$$0.35\times50=\boldsymbol{17.5\mathrm{A}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問10
定格電流$30\mathrm{A}$の配線用遮断器で保護される分岐回路の電線(軟銅線)の太さと、接続できるコンセントの図記号の組合せとして、適切なものは。
ただし、コンセントは兼用コンセントではないものとする。
イ.断面積$5.5\mathrm{mm^2}$
ロ.断面積$3.5\mathrm{mm^2}$
ハ.直径$2.0\mathrm{mm}$
ニ.断面積$5.5\mathrm{mm}$
解説
電技解釈第149条により、$20\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$1.6\mathrm{mm}$(または$2.0\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以下
$30\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$2.6\mathrm{mm}$(または$5.5\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以上$30\mathrm{A}$以下
でなければならない。
選択肢について検証すると、
- イは定格電流$15\mathrm{A}$のコンセントなので、不適切である。
- ロは電線の断面積が$5.5\mathrm{mm^2}$より小さいので、不適切である。
- ハは電線の太さが$2.6\mathrm{mm}$より小さいので、不適切である。
- ニは適切である。
よって「ニ」が正解となる。
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