本記事では、第二種電気工事士筆記試験のうち「平成27年度上期 問1~10」について解説する。
問1
図のような回路で、端子a-b間の合成抵抗[Ω]は。
イ.$1.5$ ロ.$1.8$ ハ.$2.4$ ニ.$3.0$
解説
合成抵抗の計算の問題である。
まず、下図の枠①で囲った部分の計算をすると、$4\Omega$が並列で2つあるから、合成抵抗は$2\Omega$となる。
次に、下図の枠②の計算をすると、$2\Omega$と$4\Omega$が直列接続されているから、合成抵抗は$6\Omega$となる。
最後に、下図の枠③の計算をすると、$4\Omega$と$6\Omega$の並列接続であるから、合成抵抗は
$$\frac{4\times6}{4+6}=\frac{24}{10}=\boldsymbol{2\Omega}$$
よって「ハ」が正解となる。
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問2
図のような交流回路で、電源電圧$24\mathrm{V}$,抵抗$R=4\Omega$に流れる電流が$6\mathrm{A}$, リアクタンス$X_L=3\Omega$に流れる電流が$8\mathrm{A}$であるとき、負荷の力率$[\%]$は。
イ.$43$ ロ.$60$ ハ.$75$ ニ.$80$
解説
図の交流回路において、回路全体に流れる電流を$I=10\mathrm{A}$,抵抗に分流する電流を$I_{\mathrm{R}}=6\mathrm{A}$,リアクタンスに分流する電流を$I_{\mathrm{L}}=8\mathrm{A}$,回路全体の電圧を$V[\mathrm{V}]$とすると、ベクトル図は下記のようになる。
したがって、回路の力率$\cos\theta$は、
$$\begin{align*}
\cos\theta&=\frac{I_{\mathrm{R}}}{I}\\\\
&=\frac{6}{10}\\\\
&=0.6\rightarrow\boldsymbol{60\%}
\end{align*}$$
よって「ロ」が正解となる。
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調査中
問3
$\mathrm{A,B}$ $2$本の同材質の銅線がある。$\mathrm{A}$は直径$1.6\mathrm{mm}$,長さ$20\mathrm{m}$,$\mathrm{B}$は直径$3.2\mathrm{mm}$,長さ$40\mathrm{m}$である。
$\mathrm{A}$の抵抗は$\mathrm{B}$の抵抗の何倍か。
イ.$2$ ロ.$3$ ハ.$4$ ニ.$5$
解説
電線の抵抗は$R=\displaystyle{\frac{4\rho L}{\pi D^2}}$で求めることができる。
各銅線の抵抗は、
$$\begin{align*}
A&:\frac{4\rho\times20}{\pi\times(1.6\times10^{-3})^2}=\frac{80\rho}{2.56\pi}\times10^6\\\\
B&:\frac{4\rho\times40}{\pi\times(3.2\times10^{-3})^2}=\frac{160\rho}{10.24\pi}\times10^6
\end{align*}$$
2つの抵抗の比を求めると
$$\frac{\displaystyle{\frac{80\rho}{2.56\pi}\times10^6}}{\displaystyle{\frac{160\rho}{10.24\pi}\times10^6}}=\boldsymbol{2}$$
よって「イ」が正解となる。
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問4
図のような交流回路で、負荷に対してコンデンサ$C$を設置して、力率を$100\%$に改善した。
このときの電流計の指示値は。
イ.零になる。
ロ.コンデンサ設置前と比べて変化しない。
ハ.コンデンサ設置前と比べて増加する。
ニ.コンデンサ設置前と比べて減少する。
解説
負荷と並列にコンデンサを接続すると、コンデンサに進み電流$I_\mathrm{C}$が流れ、負荷に流れる遅れ電流$I_\mathrm{L}$を打ち消す。
このとき、回路に流れる電流はコンデンサを設置すると減少する。
よって「ニ」が正解となる。
類題
問5
図のような電源電圧$E[\mathrm{V}]$の三相3線式回路で、図中の×印点で断線した場合、断線後の$\mathrm{a-c}$間の抵抗$R[\Omega]$に流れる電流$I[\mathrm{A}]$を示す式は。
イ.$\displaystyle{\frac{E}{2R}}$ ロ.$\displaystyle{\frac{E}{\sqrt{3}R}}$ ハ.$\displaystyle{\frac{E}{R}}$ ニ.$\displaystyle{\frac{3E}{2R}}$
解説
問題の図の回路が×点で断線した場合、下図のような単相回路となる。
$\mathrm{a-c}$間に流れる電流$I[\mathrm{A}]$は、この部分にかかる電圧が$E[\mathrm{V}]$であるから、オームの法則より、
$$I=\boldsymbol{\frac{E}{R}[\mathrm{A}]}$$
よって「ハ」が正解となる。
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調査中
問6
図のような三相3線式回路で、電線1線当たりの抵抗値が$0.15\Omega$,線電流が$10\mathrm{A}$のとき、この電線路の電力損失$[\mathrm{W}]$は。
イ.$15$ ロ.$26$ ハ.$30$ ニ.$45$
解説
問題の図の三相3線式回路で、電線1線当たりの抵抗値を$r[\Omega]$,線電流を$I[\mathrm{A}]$とすると、電力損失$P[\mathrm{W}]$は、$P=3\times I^2r$であるから、
$$P=3\times10^2\times0.15=\boldsymbol{45\mathrm{W}}$$
よって「ニ」が正解となる。
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問7
金属管による低圧屋内配線工事で、管内に直径$1.6\mathrm{mm}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)$3$本を収めて施設した場合、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は。
ただし、周囲温度は$30^\circ\mathrm{C}$以下、電流減少係数は$0.70$とする。
イ.$19$ ロ.$24$ ハ.$27$ ニ.$34$
解説
直径$1.6\mathrm{mm}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)の許容電流は$27\mathrm{A}$である。
電流減少係数が$0.70$であり、許容電流を求めるときは小数点第一位を7捨8入するので、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は、
$$27\times0.70=18.9\mathrm{A}\rightarrow\boldsymbol{\underline{19\mathrm{A}}}$$
よって「イ」が正解となる。
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問8
定格電流$12\mathrm{A}$の電動機$5$台が接続された単相2線式の低圧屋内幹線がある。
この幹線の太さを決定するための根拠となる電流の最小値$[\mathrm{A}]$は。
ただし、需要率は$80\%$とする。
イ.$48$ ロ.$60$ ハ.$66$ ニ.$75$
解説
電動機の定格電流の合計$I_\mathrm{M}$は、
$$I_\mathrm{M}=12\times5=60\mathrm{A}$$
その他の負荷の定格電流の合計$I_\mathrm{H}$は、
$$I_\mathrm{H}=0\mathrm{A}$$
電技解釈第148条により、幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値$I_\mathrm{W}$を求める式は、$I_\mathrm{H}<I_\mathrm{M}$で$I_\mathrm{M}\leq 50\mathrm{A}$の場合、$I_\mathrm{W}=1.25I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}$となる。
需要率が$80\%$であることも考慮すると、$I_\mathrm{W}$は、
$$I_W=0.8\left(1.25\times60+0\right)=60\mathrm{A}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問9
図のように定格電流$100\mathrm{A}$の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して、$6\mathrm{m}$の位置に過電流遮断器を施設するとき、$\mathrm{a-b}$間の電線の許容電流の最小値$[\mathrm{A}]$は。
イ.$25$ ロ.$35$ ハ.$45$ ニ.$55$
解説
幹線の過電流遮断器の定格電流を$I_B$,分岐点から電線の許容電流を$I_W$とすると、電技解釈第149条により、分岐回路の過電流遮断器を分岐点から$3\mathrm{m}$を超え$8\mathrm{m}$以下の位置に施設する場合は、$I_W$を$I_B$の$\boldsymbol{35\%}$以上にしなければならない。
上記より、許容電流の最小値は、
$$0.35\times100=\boldsymbol{35\mathrm{A}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問10
低圧屋内配線の分岐回路の設計で、配線用遮断器、分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして、適切なものは。
ただし、分岐点から配線用遮断器までは$3\mathrm{m}$,配線用遮断器からコンセントまでは$8\mathrm{m}$とし、電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また、コンセントは兼用コンセントではないものとする。
解説
電技解釈第149条により、$20\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$1.6\mathrm{mm}$(または$2.0\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以下
$30\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$2.6\mathrm{mm}$(または$5.5\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以上$30\mathrm{A}$以下
でなければならない。
選択肢について検証すると、
- イは電線の太さが不適切である。
- ロは定格電流$30\mathrm{A}$のコンセントなので不適切である。
- ハは定格電流$15\mathrm{A}$のコンセントなので不適切である。
- ニは適切である。
よって「ニ」が正解である。
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