本記事では、第二種電気工事士筆記試験のうち「令和3年度上期(午前) 問1~10」について解説する。
問1
図のような回路で、スイッチSを閉じたとき、端子a-b間の電圧[V]は。
イ.$30$ ロ.$40$ ハ.$50$ ニ.$60$
解説
スイッチ$\mathrm{S}$が閉じた場合、下図のように赤×の抵抗が無視できる。
このとき、電圧$100\mathrm{V}$に対し、抵抗$30\Omega$が$2$個直列になっており、端子$\mathrm{a-b}$間の電圧$[\mathrm{V}]$はそのうち片方の抵抗にかかる電圧を計算すればよく、
$$100\times\frac{30}{30+30}=\boldsymbol{50\mathrm{V}}$$
よって「ハ」が正解となる。
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問2
抵抗$R[\Omega]$に電圧$V[\mathrm{V}]$を加えると、電流$I[\mathrm{A}]$が流れ、$P[\mathrm{W}]$の電力が消費される場合、抵抗$R[\Omega]$を示す式として、誤っているものは。
イ.$\displaystyle{\frac{PI}{V}}$ ロ.$\displaystyle{\frac{P}{I^2}}$ ハ.$\displaystyle{\frac{V^2}{P}}$ ニ.$\displaystyle{\frac{V}{I}}$
解説
オームの法則より、抵抗$R[\Omega]$を電圧$V[\mathrm{V}]$,電流$I[\mathrm{A}]$を用いて表すと、
$$R=\boldsymbol{\frac{V}{I}}$$
また、抵抗$R[\Omega]$で消費される電力$P[\mathrm{W}]$は、電圧$V[\mathrm{V}]$,電流$I[\mathrm{A}]$も用いて、次の3通りで表すことができる。
$$\begin{cases}
P&=VI\\\\
P&=I^2R\\\\
P&=\displaystyle{\frac{V^2}{R}}
\end{cases}$$
上式のうち下2つをそれぞれ変形すると、抵抗$R[\Omega]$を示す式は、
$$\begin{cases}
R&=\displaystyle{\boldsymbol{\frac{P}{I^2}}}\\\\
P&=\displaystyle{\boldsymbol{\frac{V^2}{P}}}
\end{cases}$$
選択肢で示された式のうち、上記のいずれにも当てはまらないものは「イ」となる。
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調査中
問3
電線の接続不良により、接続点の接触抵抗が$0.5\Omega$となった。
この電線に$20\mathrm{A}$の電流が流れると、接続点から1時間に発生する熱量$[\mathrm{kJ}]$は。
ただし、接触抵抗の値は変化しないものとする。
イ.$72$ ロ.$144$ ハ.$720$ ニ.$1440$
解説
電線の接続点の接触抵抗を$R[\Omega]$,流れる電流を$I[\mathrm{A}]$,流れた時間を$t[\mathrm{s}]$とすると、その点に発生する熱量は$W=I^2Rt[\mathrm{J}]$で表される。
したがって、発生熱量$W$は、
$$W=20^2\times0.5\times3600=720000\mathrm{J}\rightarrow\boldsymbol{720\mathrm{kJ}}$$
よって「ハ」が正解となる。
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問4
図のような抵抗とリアクタンスとが並列に接続された回路の消費電力$[\mathrm{W}]$は。
イ.$500$ ロ.$625$ ハ.$833$ ニ.$1042$
解説
与えられた回路の消費電力とは、$16\Omega$の抵抗で消費される電力に等しく、その値は、
$$\frac{100^2}{16}=\boldsymbol{625\mathrm{W}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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調査中
問5
図のような三相3線式$200\mathrm{V}$の回路で、$\mathrm{c-o}$間の抵抗が断線した。
断線前と断線後の$\mathrm{a-o}$問の電圧$V$の値$[\mathrm{V}]$の組合せとして、正しいものは。
イ.断線前$116$ 断線後$116$
ロ.断線前$116$ 断線後$100$
ハ.断線前$100$ 断線後$116$
ニ.断線前$100$ 断線後$100$
解説
断線前の$R$両端の電圧は三相回路の相電圧なので、
$$V=\frac{200}{\sqrt{3}}\fallingdotseq\boldsymbol{116\mathrm{V}}$$
断線後は、図のように単相$200\mathrm{V}$回路となる。
$R$両端の電圧は分圧の式より、
$$V=\frac{R}{R+R}\times200=\boldsymbol{100\mathrm{V}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問6
図のような単相3線式回路で、スイッチ$\mathrm{a}$だけを閉じたときの電流計Ⓐの指示値$I_1[\mathrm{A}]$とスイッチ$\mathrm{a}$及び$\mathrm{b}$を閉じたときの電流計Ⓐの指示値$I_2[\mathrm{A}]$の組合せとして、適切なものは。
ただし、Ⓗは定格電圧$100\mathrm{V}$の電熱器である。
イ.$I_1 2$ $I_2 2$
ロ.$I_1 2$ $I_2 0$
ハ.$I_1 2$ $I_2 4$
ニ.$I_1 4$ $I_2 0$
解説
まず、スイッチ$\mathrm{a}$だけを閉じたとき、電流計Ⓐに流れる電流$I_1$は、
$$I_1=\frac{200}{100}=\boldsymbol{2\mathrm{A}}$$
次に、スイッチ$\mathrm{a}$及び$\mathrm{b}$を閉じたとき、2つの電熱器Ⓗの電力の大きさは等しいことから、電流計Ⓐには電流は流れないため、
$$I_2=\boldsymbol{0\mathrm{A}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問7
図のような三相交流回路において、電線1線当たりの抵抗が$0.2\Omega$,線電流が$15\mathrm{A}$のとき、この電線路の電力損失$[\mathrm{W}]$は。
イ.$78$ ロ.$90$ ハ.$120$ ニ.$135$
解説
問題の図の三相3線式回路で、電線1線当たりの抵抗値を$r[\Omega]$,線電流を$I[\mathrm{A}]$とすると、電力損失$P[\mathrm{W}]$は、$P=3\times I^2r$であるから、
$$P=3\times15^2\times0.2=\boldsymbol{135\mathrm{W}}$$
よって「ニ」が正解となる。
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問8
合成樹脂製可とう電線管(PF管)による低圧屋内配線工事で、管内に断面積$5.5\mathrm{mm^2}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)7本を収めて施設した場合、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は。
ただし、周囲温度は$30^\circ\mathrm{C}$以下、電流減少係数は$0.49$とする。
イ.$13$ ロ.$17$ ハ.$24$ ニ.$29$
解説
断面積$5.5\mathrm{mm^2}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)の許容電流は$49\mathrm{A}$である。
電流減少係数が$0.49$であるから、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は、
$$49\times0.49=24.01\mathrm{A}\rightarrow\boldsymbol{24\mathrm{A}}$$
よって「ハ」が正解となる。
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問9
図のような電熱器Ⓗ1台と電動機Ⓜ2台が接続された単相2線式の低圧屋内幹線がある。
この幹線の太さを決定する根拠となる電流$I_\mathrm{W}[\mathrm{A}]$と幹線に施設しなければならない過電流遮断器の定格電流を決定する根拠となる電流$I_\mathrm{B}[\mathrm{A}]$の組合せとして、適切なものは。
ただし、需要率は$100\%$とする。
イ.$I_\mathrm{W} 50$ $I_\mathrm{B} 125$
ロ.$I_\mathrm{W} 50$ $I_\mathrm{B} 130$
ハ.$I_\mathrm{W} 60$ $I_\mathrm{B} 130$
ニ.$I_\mathrm{W} 60$ $I_\mathrm{B} 150$
解説
電技解釈第148条により、幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値$I_\mathrm{W}$を求める式は、下表のとおりとなる。
定格電流の合計比較 | 許容電流 |
---|---|
$I_\mathrm{H}\geq I_\mathrm{M}$の場合 | $I_\mathrm{W}\geq I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}$ |
$I_\mathrm{H}< I_\mathrm{M}$ かつ $I_\mathrm{M}> 50\mathrm{A}$の場合 | $I_\mathrm{W}\geq 1.1I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}$ |
$I_\mathrm{H}< I_\mathrm{M}$ かつ $I_\mathrm{M}\leq 50\mathrm{A}$の場合 | $I_\mathrm{W}\geq 1.25I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}$ |
電動機の定格電流の合計$I_\mathrm{M}$は、
$$I_\mathrm{M}=20+20=40\mathrm{A}$$
その他の負荷の定格電流の合計$I_\mathrm{H}$は、
$$I_\mathrm{H}=10\mathrm{A}$$
$I_\mathrm{H}<I_\mathrm{M}$で$I_\mathrm{M}\leq50\mathrm{A}$の場合、表より$I_\mathrm{W}=1.25I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}$となるから、求める電流の最小値$I_\mathrm{W}$は、需要率が$100\%$であることも考慮すると、
$$I_\mathrm{W}=1.25\times40+10=\boldsymbol{60\mathrm{A}}$$
また、電技解釈第148条により、電動機が接続されている場合の幹線に施設しなければならない過電流遮断器の定格電流を決定する根拠となる電流$I_\mathrm{B}[\mathrm{A}]$は、次の計算値のうちいずれか小さい方以下にする必要がある。
$$\begin{cases}
3I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}=3\times40+10=130\mathrm{A}\\\\
2.5I_\mathrm{W}=2.5\times60=150\mathrm{A}
\end{cases}$$
以上より、求める電流$I_\mathrm{B}[\mathrm{A}]$は、
$$I_\mathrm{B}=\boldsymbol{130\mathrm{A}}$$
よって「ハ」が正解となる。
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問10
低圧屋内配線の分岐回路の設計で、配線用遮断器、分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして、適切なものは。
ただし、分岐点から配線用遮断器までは$3\mathrm{m}$,配線用遮断器からコンセントまでは$8\mathrm{m}$とし、電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また、コンセントは兼用コンセントではないものとする。
解説
電技・解釈第149条により、$20\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$1.6\mathrm{mm}$(または$2.0\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以下
$30\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$2.6\mathrm{mm}$(または$5.5\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以上$30\mathrm{A}$以下
$40\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$8\mathrm{mm^2}$以上
- コンセントの定格電流は$30\mathrm{A}$以上$40\mathrm{A}$以下
でなければならない。
選択肢について検証すると、
- イは適切である。
- ロは電線の太さが不適切である。
- ハは定格電流$30\mathrm{A}$のコンセントなので不適切である。
- ニは電線の太さが不適切である。
よって「イ」が正解である。
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