本記事では、第二種電気工事士筆記試験のうち「令和2年度下期(午後) 問1~10」について解説する。
問1
図のような直流回路で、a-b間の電圧[V]は。
イ.$10$ ロ.$20$ ハ.$30$ ニ.$40$
解説
回路全体の電圧は、2つの電源電圧を合わせた値になるので
$$100+100=200\mathrm{V}$$
$\mathrm{b}$点の電位は、分圧の式より、
$$\frac{30}{20+30}\times200=120\mathrm{V}$$
$\mathrm{a-b}$間の電位差を求めるので、
$$120-100=\boldsymbol{20\mathrm{V}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問2
$\mathrm{A,B}$ $2$本の同材質の銅線がある。$\mathrm{A}$は直径$1.6\mathrm{mm}$,長さ$100\mathrm{m}$,$\mathrm{B}$は直径$3.2\mathrm{mm}$,長さ$50\mathrm{m}$である。
$\mathrm{A}$の抵抗は$\mathrm{B}$の抵抗の何倍か。
イ.$1$ ロ.$2$ ハ.$4$ ニ.$8$
解説
電線の抵抗は$R=\displaystyle{\frac{4\rho L}{\pi D^2}}$で求めることができる。
各銅線の抵抗は、
$$\begin{align*}
\mathrm{A}&:\frac{4\rho\times100}{\pi\times(1.6\times10^{-3})^2}=\frac{400\rho}{2.56\pi}\times10^6\\\\
\mathrm{B}&:\frac{4\rho\times50}{\pi\times(3.2\times10^{-3})^2}=\frac{200\rho}{10.24\pi}\times10^6
\end{align*}$$
2つの抵抗の比を求めると
$$\frac{\displaystyle{\frac{400\rho}{2.56\pi}\times10^6}}{\displaystyle{\frac{200\rho}{10.24\pi}\times10^6}}=\boldsymbol{8}$$
よって「ニ」が正解となる。
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類題
問3
電線の接続不良により、接続点の接触抵抗が$0.2\Omega$となった。
この電線に$10\mathrm{A}$の電流が流れると、接続点から1時間に発生する熱量$[\mathrm{kJ}]$は。
ただし、接触抵抗の値は変化しないものとする。
イ.$72$ ロ.$144$ ハ.$288$ ニ.$576$
解説
電線の接続点の接触抵抗を$R[\Omega]$,流れる電流を$I[\mathrm{A}]$,流れた時間を$t[\mathrm{s}]$とすると、その点に発生する熱量は$W=I^2Rt[\mathrm{J}]$で表される。
したがって、発生熱量$W$は、
$$W=10^2\times0.2\times3600=72000\mathrm{J}\rightarrow\boldsymbol{72\mathrm{kJ}}$$
よって「イ」が正解となる。
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類題
問4
図のような交流回路で、電源電圧$204\mathrm{V}$,抵抗の両端の電圧が$180\mathrm{V}$,リアクタンスの両端の電圧が$96\mathrm{V}$であるとき、負荷の力率$[\%]$は。
イ.$35$ ロ.$47$ ハ.$65$ ニ.$88$
解答
抵抗とコイルが直列接続された回路の力率は、
$$\cos\theta=\frac{V_R}{V}=\frac{180}{204}\fallingdotseq0.88$$
力率の単位はパーセントなので、$0.88\times100=\boldsymbol{88\%}$
よって「ニ」が正解となる。
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類題
問5
図のような三相負荷に三相交流電圧を加えたとき、各線に$15\mathrm{A}$の電流が流れた。
線間電圧$E[\mathrm{V}]$は。
イ.$150$ ロ.$212$ ハ.$260$ ニ.$300$
解説
図の$\mathrm{Y}$結線の抵抗負荷で、線電流を$I_\mathrm{l}[\mathrm{A}]$,相電流を$I_\mathrm{p}[\mathrm{A}]$,相電圧を$E_\mathrm{p}[\mathrm{V}]$とした場合、$I_\mathrm{p}=I_\mathrm{l}=15\mathrm{A},\ E=\sqrt{3}E_\mathrm{p}[\mathrm{V}]$となるから、回路の抵抗を$R[\Omega]$とすると、線間電圧$E[\mathrm{V}]$は、
$$\begin{align*}
E&=\sqrt{3}RI_\mathrm{p}\\\\
&\fallingdotseq1.73\times10\times15\\\\
&=259.5\mathrm{V}\\\\
&\rightarrow\boldsymbol{260\mathrm{V}}
\end{align*}$$
よって「ハ」が正解となる。
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類題
問6
図のように、電線のこう長$12\mathrm{m}$の配線により、消費電力$1600\mathrm{W}$の抵抗負荷に電力を供給した結果、負荷の両端の電圧は$100\mathrm{V}$であった。
配線における電圧降下$[\mathrm{V}]$は。
ただし、電線の電気抵抗は長さ$1000\mathrm{m}$当たり$5.0\Omega$とする。
イ.$1$ ロ.$2$ ハ.$3$ ニ.$4$
解説
回路に流れる電流$I$は
$$I=\frac{1600}{100}=16\mathrm{A}$$
また、$12\mathrm{m}$の電線1本の電気抵抗は、
$$\frac{5.0}{1000}\times12=0.06\Omega$$
単相2線式回路の電圧降下$V$は、
$$V=2rl=2\times0.06\times16=1.92\rightarrow\boldsymbol{2\mathrm{V}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問7
図のような単相3線式回路において、電線1線当たりの抵抗が$0.1\Omega$,抵抗負荷に流れる電流がともに$20\mathrm{A}$のとき、この電線路の電力損失$[\mathrm{W}]$は。
イ.$40$ ロ.$69$ ハ.$80$ ニ.$120$
解説
図において、各抵抗負荷に流れる電流は等しいため、中性線に流れる電流は$0\mathrm{A}$となる。
したがって、電線路の電力損失$W[\mathrm{W}]$は、
$$\begin{align*}
W&=0.1\times20^2+0.1\times20^2\\\\
&=40+40\\\\
&=\boldsymbol{80\mathrm{W}}
\end{align*}$$
よって「ハ」が正解となる。
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問8
金属管による低圧屋内配線工事で、管内に断面積$3.5\mathrm{mm^2}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)4本を収めて施設した場合、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は。
ただし、周囲温度は$30^\circ\mathrm{C}$以下、電流減少係数は$0.63$とする。
イ.$19$ ロ.$23$ ハ.$31$ ニ.$49$
解説
電技解釈第146条により、断面積$3.5\mathrm{mm^2}$の単線の許容電流は$37\mathrm{A}$なので、この電流値に電流減少係数をかけると、
$$37\times0.63=23.31\mathrm{A}$$
電線の許容電流は7捨8入するので、
$$23.31\rightarrow\boldsymbol{23}\mathrm{A}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問9
定格電流$12\mathrm{A}$の電動機$5$台が接続された単相2線式の低圧屋内幹線がある。
この幹線の太さを決定するための根拠となる電流の最小値$[\mathrm{A}]$は。
ただし、需要率は$80\%$とする。
イ.$48$ ロ.$60$ ハ.$66$ ニ.$75$
解説
電動機の定格電流の合計$I_\mathrm{M}$は、
$$I_\mathrm{M}=12\times5=60\mathrm{A}$$
その他の負荷の定格電流の合計$I_\mathrm{H}$は、
$$I_\mathrm{H}=0\mathrm{A}$$
電技解釈第148条により、幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値$I_\mathrm{W}$を求める式は、$I_\mathrm{H}<I_\mathrm{M}$で$I_\mathrm{M}\leq 50\mathrm{A}$の場合、$I_\mathrm{W}=1.25I_\mathrm{M}+I_\mathrm{H}$となる。
需要率が$80\%$であることも考慮すると、$I_\mathrm{W}$は、
$$I_\mathrm{W}=0.8\left(1.25\times60+0\right)=\boldsymbol{60\mathrm{A}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問10
低圧屋内配線の分岐回路の設計で、配線用遮断器、分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして、適切なものは。
ただし、分岐点から配線用遮断器までは$3\mathrm{m}$,配線用遮断器からコンセントまでは$8\mathrm{m}$とし、電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また、コンセントは兼用コンセントではないものとする。
解説
電技・解釈第149条により、$20\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$1.6\mathrm{mm}$(または$2.0\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以下
$30\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$2.6\mathrm{mm}$(または$5.5\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以上$30\mathrm{A}$以下
$40\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$8\mathrm{mm^2}$以上
- コンセントの定格電流は$30\mathrm{A}$以上$40\mathrm{A}$以下
でなければならない。
選択肢について検証すると、
- イは定格電流$30\mathrm{A}$のコンセントなので不適切である。
- ロは電線の太さが不適切である。
- ハは適切である。
- ニは定格電流$15\mathrm{A}$のコンセントなので不適切である。
よって「ハ」が正解である。
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