本記事では、第二種電気工事士筆記試験のうち「平成29年度下期 問1~10」について解説する。
問1
図のような直流回路で、a-b間の電圧[V]は。
イ.$20$ ロ.$30$ ハ.$40$ ニ.$50$
解説
回路全体の電圧は、2つの電源電圧を合わせた値になるので
$$100+100=200\mathrm{V}$$
$\mathrm{b}$点の電位は、分圧の式より、
$$\frac{60}{40+60}\times200=120\mathrm{V}$$
$\mathrm{a-b}$間の電位差を求めるので、
$$120-100=\boldsymbol{20\mathrm{V}}$$
よって「イ」が正解となる。
関連記事
類題
問2
図のような交流回路で、抵抗$8\Omega$の両端の電圧$V[\mathrm{V}]$は。
イ.$43$ ロ.$57$ ハ.$60$ ニ.$80$
解答
回路のインピーダンス$Z[\Omega]$は、
$$Z=\sqrt{8^2+6^2}=10\Omega$$
回路に流れる電流$I$は、
$$I=\frac{V}{Z}=\frac{100}{10}=10\mathrm{A}$$
$8\Omega$の抵抗の両端の電圧は、
$$V=IR=10\times8=\boldsymbol{80\mathrm{V}}$$
よって「ニ」が正解となる。
関連記事
類題
問3
抵抗率$\rho[\Omega\cdot\mathrm{m}]$ ,直径$D[\mathrm{mm}]$ ,長さ$L[\mathrm{m}]$の導線の電気抵抗$[\Omega]$を表す式は。
イ.$\displaystyle{\frac{\rho L^2}{\pi D^2}\times10^6}$ ロ.$\displaystyle{\frac{4\rho L}{\pi D^2}\times10^6}$ ハ.$\displaystyle{\frac{4\rho L}{\pi D}\times10^6}$ ニ.$\displaystyle{\frac{4\rho L^2}{\pi D}\times10^6}$
解説
抵抗率$\rho[\Omega\cdot\mathrm{m}]$ ,直径$D[\mathrm{mm}]$ ,長さ$L[\mathrm{m}]$の導線の電気抵抗$R[\Omega]$は、
$$R=\frac{4\rho L}{\pi D^2}$$
問題文では、直径$D$の単位が$[\mathrm{mm}]$なので、
$$R=\frac{4\rho L}{\pi \left(D\times10^{-3}\right)^2}=\boldsymbol{\frac{4\rho L}{\pi D^2}\times10^6}$$
よって「ロ」が正解となる。
関連記事
類題
問4
消費電力が$400\mathrm{W}$の電熱器を、1時間20分使用した時の発熱量$[\mathrm{kJ}]$は。
イ.$960$ ロ.$1920$ ハ.$2400$ ニ.$2700$
解説
消費電力$P[\mathrm{W}]$の電熱器を、$t$秒使用したときの発熱量$W[\mathrm{J}]$は、$W=Pt$で表される。
問題文では、使用時間は1時間20分となっているので、
$$t=\left(60+20\right)\times60=4800\mathrm{s}$$
したがって、発熱量$W[\mathrm{kJ}]$は、
$$W=400\times4800=1920000\mathrm{J}\rightarrow\boldsymbol{1920\mathrm{kJ}}$$
よって「ロ」が正解となる。
類題
問5
図のような三相3線式回路の全消費電力$[\mathrm{kW}]$は。
イ.$2.4$ ロ.$4.8$ ハ.$7.2$ ニ.$9.6$
解説
一相分のインピーダンス$Z$は
$$Z=\sqrt{6^2+8^2}=10\Omega$$
一相に流れる相電流$I$は、
$$I=\frac{V}{Z}=\frac{200}{10}=20\mathrm{A}$$
$\Delta$回路の線電流は相電流の$\sqrt{3}$倍となるので、
$$I=\sqrt{3}\times20=20\sqrt{3}\mathrm{A}$$
負荷の力率$\cos\theta$は、
$$\cos\theta=\frac{R}{Z}=\frac{6}{10}=0.6$$
線間電圧を$V_l$、線電流を$I_l$とすると、三相3線式回路の全消費電力$P[\mathrm{W}]$は$P=\sqrt{3}V_lI_l\cos\theta$で表される。
$$P=\sqrt{3}\times200\times20\sqrt{3}\times0.6=7200\mathrm{W}\rightarrow\boldsymbol{7.2\mathrm{kW}}$$
よって「ハ」が正解となる。
関連記事
類題
問6
図のように、電線のこう長$L[\mathrm{m}]$の配線により、抵抗負荷に電力を供給した結果、負荷電流が$10\mathrm{A}$であった。
配線における電圧降下$V_1-V_2[\mathrm{V}]$を表す式として、正しいものは。
ただし、電線の電気抵抗は長さ$1\mathrm{m}$当たり$r[\Omega]$とする。
イ.$rL$ ロ.$2rL$ ハ.$10rL$ ニ.$20rL$
解説
電線$1\mathrm{m}$あたり$r[\Omega]$であるから、長さ$L[\mathrm{m}]$の電線1本あたりの電気抵抗$R$は、
$$R=r\times L=rL$$
単相2線式回路の電圧降下$V$は、電線1本あたりの抵抗を$R$,電線に流れる電流を$I$とすると、$V=2RI$で求めることができるので、
$$V=2\times rI\times10=\boldsymbol{20rL}$$
よって「ニ」が正解となる。
関連記事
類題
問7
金属管による低圧屋内配線工事で、管内に直径$1.6\mathrm{mm}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)6本を収めて施設した場合、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は。
ただし、周囲温度は$30^\circ\mathrm{C}$以下、電流減少係数は$0.56$とする。
イ.$15$ ロ.$19$ ハ.$20$ ニ.$27$
解説
電技解釈第146条により、直径$1.6\mathrm{mm}$の単線の許容電流は$27\mathrm{A}$なので、この電流値に電流減少係数をかけると、
$$27\times0.56=15.12\mathrm{A}$$
電線の許容電流は7捨8入するので、
$$15.12\rightarrow\boldsymbol{15}\mathrm{A}$$
よって「イ」が正解となる。
関連記事
類題
- 令和4年度上期(午前) 問8
- 令和3年度上期(午前) 問8
- 令和3年度上期(午後) 問8
- 令和3年度下期(午前) 問8
- 令和3年度下期(午後) 問8
- 令和2年度下期(午前) 問8
- 令和2年度下期(午後) 問8
- 令和元年度上期 問8
- 令和元年度下期 問8
- 平成30年度上期 問8
- 平成30年度下期 問8
- 平成29年度上期 問7
- 平成28年度上期 問8
- 平成28年度下期 問7
- 平成27年度上期 問7
- 平成27年度下期 問8
- 平成26年度上期 問7
- 平成26年度下期 問9
- 平成25年度上期 問8
- 平成25年度下期 問8
問8
図のように、三相の電動機と電熱器が低圧屋内幹線に接続されている場合、幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値$[\mathrm{A}]$は。
ただし、需要率は$100\%$とする。
イ.$45$ ロ.$50$ ハ.$55$ ニ.$60$
解説
電動機の定格電流の合計$I_M$は、
$$I_M=10\mathrm{A}$$
その他の負荷の定格電流の合計$I_H$は、
$$I_H=15+20=35\mathrm{A}$$
電技解釈第148条により、幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値$I_W$を求める式は、$I_H>I_M$の場合、$I_W=I_M+I_H$となる。
$$I_W=10+35=\boldsymbol{45\mathrm{A}}$$
よって「イ」が正解となる。
関連記事
類題
問9
低圧屋内配線の分岐回路の設計で、配線用遮断器、分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして、適切なものは。
ただし,分岐点から配線用遮断器までは$3\mathrm{m}$,配線用遮断器からコンセントまでは$8\mathrm{m}$とし、電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また、コンセントは兼用コンセントではないものとする。
解説
電技解釈第149条により、$20\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$1.6\mathrm{mm}$(または$2.0\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以下
$30\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$2.6\mathrm{mm}$(または$5.5\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以上$30\mathrm{A}$以下
でなければならない。
選択肢の内、「ハ」のみが上記の条件に適合している。
よって「ハ」が正解である。
関連記事
類題
- 令和4年度上期(午前) 問10
- 令和3年度上期(午前) 問10
- 令和3年度上期(午後) 問10
- 令和3年度下期(午前) 問10
- 令和3年度下期(午後) 問10
- 令和2年度下期(午前) 問10
- 令和2年度下期(午後) 問10
- 令和元年度上期 問10
- 令和元年度下期 問10
- 平成30年度上期 問10
- 平成30年度下期 問10
- 平成29年度上期 問9
- 平成28年度上期 問10
- 平成28年度下期 問9
- 平成27年度上期 問10
- 平成27年度下期 問10
- 平成26年度上期 問10
- 平成26年度下期 問10
- 平成25年度上期 問10
- 平成25年度下期 問10
問10
図のように定格電流$100\mathrm{A}$の配線用遮断器で保護された低圧屋内幹線からVVRケーブル太さ$5.5\mathrm{mm^2}$(許容電流$34\mathrm{A}$) で低圧屋内電路を分岐する場合、$\mathrm{a-b}$間の長さの最大値$[\mathrm{m}]$は。
ただし、低圧屋内幹線に接続される負荷は、電灯負荷とする。
イ.$3$ ロ.$5$ ハ.$8$ ニ.制限なし
解説
幹線の過電流遮断器の定格電流を$I_B$,分岐点から電線の許容電流を$I_W$とすると、$I_B$に対する$I_W$の割合は、
$$I_W\div I_B=34\div 100=0.34\rightarrow34\%$$
電技解釈第149条により、分岐点からの電線の許容電流$I_W$が幹線の過電流遮断器の定格電流$I_B$の$\boldsymbol{35\%}$以下の場合は、分岐回路の過電流遮断器を分岐点から$\boldsymbol{3\mathrm{m}}$以下の位置に施設しなければならない。
よって「イ」が正解となる。
関連記事
類題
- 令和3年度上期(午後) 問9
- 令和3年度下期(午前) 問9
- 令和元年度上期 問9
- 令和元年度下期 問9
- 平成30年度上期 問9
- 平成30年度下期 問9
- 平成29年度上期 問10
- 平成28年度上期 問9
- 平成28年度下期 問10
- 平成27年度上期 問9
- 平成27年度下期 問9
- 平成26年度上期 問9
この年度の他の問題
技能試験 2023年度候補問題 2023年度第二種電気工事士技能試験 候補問題No.1 2023年度第二種電気工事士技能試験 候補問題No.2 2023年度第二種電気工事士技能試験 候補問題N[…]
著書・製品のご紹介
『書籍×動画』が織り成す、未だかつてない最高の学習体験があなたを待っている!
※本ページはプロモーションが含まれています。―『書籍×動画』が織り成す、未だかつてない最高の学習体験があなたを待っている― 当サイト「電気の神髄」をいつもご利用ありがとうございます。管理人の摺り足の加藤です。[…]
この講座との出会いは、数学が苦手なあなたを救う!
電験アカデミアにテキストを書き下ろしてもらい、電験どうでしょうの川尻将先生により動画解説を行ない、電験3種受験予定者が電…
すべての電験二種受験生の方に向けて「最強の対策教材」作りました!
※本ページはプロモーションが含まれています。すべての電験二種受験生の方に向けて「最強の対策教材」作りました! 当サイト「電気の神髄」をいつもご愛読ありがとうございます。管理人の摺り足の加藤です。 […]
初学者が躓きがちなギモンを、電験アカデミアがスッキリ解決します!
※本ページはプロモーションが含まれています。 当サイト「電気の神髄」をいつもご利用ありがとうございます。管理人の摺り足の加藤です。 2022年5月18日、オーム社より「電験カフェへようこそ[…]