本記事では、第二種電気工事士筆記試験のうち「平成27年度下期 問1~10」について解説する。
問1
図のような回路で、スイッチSを閉じたとき、a-b端子間の電圧[V]は。
イ.$30$ ロ.$40$ ハ.$50$ ニ.$60$
解説
スイッチ$\mathrm{S}$が閉じた場合、下図の赤枠の抵抗が無視できる。
したがって、電源電圧$120\mathrm{V}$に対し、抵抗$50\Omega$が2つ直列になっている回路となり、$\mathrm{a-b}$端子間の電圧$V[\mathrm{V}]$は、
$$V=\frac{120}{2}=\boldsymbol{60\mathrm{V}}$$
よって「ニ」が正解となる。
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類題
問2
コイルに$100\mathrm{V}$,$50\mathrm{Hz}$の交流電圧を加えたら$6\mathrm{A}$の電流が流れた。
このコイルに$100\mathrm{V}$,$60\mathrm{Hz}$の交流電圧を加えたときに流れる電流$[\mathrm{A}]$は。
ただし、コイルの抵抗は無視できるものとする。
イ.$4$ ロ.$5$ ハ.$6$ ニ.$7$
解説
コイルの自己インダクタンスを$L[\mathrm{H}]$とし、周波数$f[\mathrm{Hz}]$の交流電圧$V[\mathrm{V}]$を加えたときに流れる電流$I[\mathrm{A}]$は、
$$I=\frac{V}{2\pi fL}$$
上式を変形して、問題文で与えられた数値を代入すると、
$$\begin{align*}
L&=\frac{V}{2\pi fL}\\\\
&=\frac{100}{2\pi\times50\times 6}\\\\
&=\frac{1}{6\pi}
\end{align*}$$
したがって、$f=60\mathrm{Hz},V=100\mathrm{V}$の場合の電流$I'[\mathrm{A}]$は、
$$I’=\frac{100}{2\pi\times60\times\displaystyle{\frac{1}{6\pi}}}=5\mathrm{A}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問3
抵抗率$\rho[\Omega\cdot\mathrm{m}]$ ,直径$D[\mathrm{mm}]$ ,長さ$L[\mathrm{m}]$の導線の電気抵抗$[\Omega]$を表す式は。
イ.$\displaystyle{\frac{4\rho L}{\pi D^2}\times10^6}$ ロ.$\displaystyle{\frac{\rho L^2}{\pi D^2}\times10^6}$ ハ.$\displaystyle{\frac{4\rho L}{\pi D}\times10^6}$ ニ.$\displaystyle{\frac{4\rho L^2}{\pi D}\times10^6}$
解説
抵抗率$\rho[\Omega\cdot\mathrm{m}]$ ,直径$D[\mathrm{mm}]$ ,長さ$L[\mathrm{m}]$の導線の電気抵抗$R[\Omega]$は、
$$R=\frac{4\rho L}{\pi D^2}$$
問題文では、直径$D$の単位が$[\mathrm{mm}]$なので、
$$R=\frac{4\rho L}{\pi \left(D\times10^{-3}\right)^2}=\boldsymbol{\frac{4\rho L}{\pi D^2}\times10^6}$$
よって「イ」が正解となる。
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類題
問4
電熱器により、$60\mathrm{kg}$の水の温度を$20\mathrm{K}$上昇させるのに必要な電力量$[\mathrm{kW\cdot h}]$は。
ただし水の比熱は$4.2\mathrm{kJ/\left(kg\cdot K\right)}$とし,熱効率は$100\%$とする。
イ.$1.0$ ロ.$1.2$ ハ.$1.4$ ニ.$1.6$
解説
水の比熱は$4.2\mathrm{kJ/\left(kg\cdot K\right)}$であるから、電熱器による電力量$[\mathrm{kJ}]$は、
$$60\times20\times4.2=5040\mathrm{kJ}$$
$1\mathrm{h}$(時間)は$3600$秒であり、$3600\mathrm{J}=1\mathrm{W\cdot h}$と換算可能であるから、求める電力量$[\mathrm{kW\cdot h}]$は、
$$5040\mathrm{kJ}=\frac{5040}{3600}=\boldsymbol{1.4\mathrm{kW\cdot h}}$$
よって、「ハ」が正解となる。
類題
問5
図のような三相3線式回路に流れる電流$I[\mathrm{A}]$は。
イ.$8.3$ ロ.$11.6$ ハ.$14.3$ ニ.$20.0$
解説
回路の一相当たりの電圧$E$は、
$$E=\frac{200}{\sqrt{3}}=115.47\mathrm{V}$$
一相に流れる相電流$I_p$は、
$$I_p=\frac{115.47}{10}=11.55\mathrm{A}$$
$\mathrm{Y}$回路の線電流$I$は相電流$I_p$と等しいので、
$$I=I_p=11.55\fallingdotseq\boldsymbol{11.6\mathrm{A}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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類題
問6
図のような単相2線式回路において、$\mathrm{c -c’}$間の電圧が$99\mathrm{V}$のとき、$\mathrm{a-a’}$間の電圧$[\mathrm{V}]$は。
ただし、$r$は電線の電気抵抗$[\Omega]$とする。
イ.$102$ ロ.$103$ ハ.$104$ ニ.$105$
解説
回路に流れる電流を図のとおり$I_1[\mathrm{A}]$,$I_2[\mathrm{A}]$と定める。
$\mathrm{a-b}$間および$\mathrm{b-b’}$間の電圧降下$[\mathrm{V}]$は、
$$\begin{cases}
\left(I_1+I_2\right)r&=\left(10+10\right)\times0.1&=2.0\mathrm{V}\\\\
I_2r&=10\times0.1&=1.0\mathrm{V}
\end{cases}$$
したがって、$\mathrm{a-a’}$間の電圧$[\mathrm{V}]$は、
$$2.0+1.0+99+1.0+2.0=\boldsymbol{105\mathrm{V}}$$
よって「ニ」が正解となる。
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類題
問7
図のような単相3線式回路において、電線1線当たりの抵抗が$0.1\Omega$,抵抗負荷に流れる電流がともに$20\mathrm{A}$のとき、この電線路の電力損失$[\mathrm{W}]$は。
イ.$40$ ロ.$69$ ハ.$80$ ニ.$120$
解説
図において、各抵抗負荷に流れる電流は等しいため、中性線に流れる電流は$0\mathrm{A}$となる。
したがって、電線路の電力損失$W[\mathrm{W}]$は、
$$\begin{align*}
W&=0.1\times20^2+0.1\times20^2\\\\
&=40+40\\\\
&=80\mathrm{W}
\end{align*}$$
よって「ハ」が正解となる。
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問8
金属管による低圧屋内配線工事で、管内に直径$2.0\mathrm{mm}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)$5$本を収めて施設した場合、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は。
ただし、周囲温度は$30^\circ\mathrm{C}$以下、電流減少係数は$0.56$とする。
イ.$15$ ロ.$19$ ハ.$27$ ニ.$35$
解説
直径$2.0\mathrm{mm}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)の許容電流は$35\mathrm{A}$である。
電流減少係数が$0.56$であり、許容電流を求めるときは小数点第一位を7捨8入するので、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は、
$$35\times0.56=19.6\mathrm{A}\rightarrow\boldsymbol{\underline{19\mathrm{A}}}$$
よって「ロ」が正解となる。
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問9
図のように定格電流$60\mathrm{A}$の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して、$10\mathrm{m}$の位置に過電流遮断器を施設するとき、$\mathrm{a-b}$間の電線の許容電流の最小値$[\mathrm{A}]$は。
イ.$15$ ロ.$21$ ハ.$27$ ニ.$33$
解説
幹線の過電流遮断器の定格電流を$I_B$,分岐点から電線の許容電流を$I_W$とすると、電技解釈第149条により、分岐回路の過電流遮断器を分岐点から$8\mathrm{m}$を超える位置に施設する場合は、$I_W$を$I_B$の$\boldsymbol{55\%}$以上にしなければならない。
上記より、許容電流の最小値は、
$$0.55\times60=\boldsymbol{33\mathrm{A}}$$
よって「ニ」が正解となる。
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問10
低圧屋内配線の分岐回路の設計で、配線用遮断器、分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして、適切なものは。
ただし、分岐点から配線用遮断器までは$3\mathrm{m}$,配線用遮断器からコンセントまでは$8\mathrm{m}$とし、電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また、コンセントは兼用コンセントではないものとする。
解説
電技解釈第149条により、$20\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$1.6\mathrm{mm}$(または$2.0\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以下
$30\mathrm{A}$分岐回路では、
- 電線の太さ$2.6\mathrm{mm}$(または$5.5\mathrm{mm^2}$)以上
- コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以上$30\mathrm{A}$以下
でなければならない。
選択肢について検証すると、
- イは定格電流$15\mathrm{A}$のコンセントなので不適切である。
- ロは適切である。
- ハは電線の太さが不適切である。
- ニは定格電流$30\mathrm{A}$のコンセントなので不適切である。
よって「ロ」が正解である。
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