第二種電気工事士筆記試験解答・解説【令和元年度上期 問1~10】

本記事では、第二種電気工事士筆記試験のうち「令和元年度上期 問1~10について解説する。

問1

図のような回路で、スイッチSを閉じたとき、a-b端子間の電圧[V]は。

 

 

イ.$30$  ロ.$40$  ハ.$50$  ニ.$60$

 

解説

スイッチ$\mathrm{S}$が閉じた場合、下図の赤枠の抵抗が無視できる。

 

したがって、電源電圧$120\mathrm{V}$に対し、抵抗$50\Omega$が2つ直列になっている回路となり、$\mathrm{a-b}$端子間の電圧$V[\mathrm{V}]$は、

$$V=\frac{120}{2}=\boldsymbol{60\mathrm{V}}$$

 

よって「ニ」が正解となる。

 

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類題

 

問2

ビニル絶縁電線(単心)の導体の直径を$D$,長さを$L$とするとき、この電線の抵抗と許容電流に関する記述として、誤っているものは。

イ.許容電流は、周囲の温度が上昇すると、大きくなる。

ロ.電線の抵抗は、$D^2$に反比例する。

ハ.電線の抵抗は、$L$に比例する。

ニ.許容電流は、$D$が大きくなると、大きくなる。

 

解説

抵抗率$\rho[\Omega\cdot\mathrm{m}]$ ,直径$D[\mathrm{mm}]$ ,長さ$L[\mathrm{m}]$の導線の電気抵抗$R$は、

$$R=\frac{4\rho L}{\pi D^2}$$

 

選択肢の文章をそれぞれ検証すると、

  • 電線の抵抗は温度上昇すると増加するので、オームの法則より許容電流は小さくなる。したがって、イは誤っている。
  • 抵抗$R$の式より、電線の抵抗は$D^2$に反比例する。したがって、ロは正しい。
  • 抵抗$R$の式より、電線の抵抗は$L$に比例する。したがって、ハは正しい。
  • 許容電流は、抵抗$R$の式とオームの法則により、直径$D$が大きくなると比例して大きくなる。したがって、ニは正しい。

 

よって「イ」が正解となる。

 

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類題

 

問3

電熱器により、$60\mathrm{kg}$の水の温度を$20\mathrm{K}$上昇させるのに必要な電力量$[\mathrm{kW\cdot h}]$は。

ただし水の比熱は$4.2\mathrm{kJ/\left(kg\cdot K\right)}$とし、熱効率は$100\%$とする。

イ.$1.0$  ロ.$1.2$  ハ.$1.4$  ニ.$1.6$

 

解説

水の比熱は$4.2\mathrm{kJ/\left(kg\cdot K\right)}$であるから、電熱器による電力量$[\mathrm{kJ}]$は、

$$60\times20\times4.2=5040\mathrm{kJ}$$

 

$1\mathrm{h}$(時間)は$3600$秒であるから、$3600\mathrm{J}=1\mathrm{W\cdot h}$と換算可能であるから、求める電力量$[\mathrm{kW\cdot h}]$は、

$$5040\mathrm{kJ}=\frac{5040}{3600}=\boldsymbol{1.4\mathrm{kW\cdot h}}$$

 

よって、「ハ」が正解となる。

 

類題

 

問4

図のような交流回路において、抵抗$8\Omega$の両端の電圧$V[\mathrm{V}]$は。

イ.$43$  ロ.$57$  ハ.$60$  ニ.$80$

 

解説

図の交流回路において、合成インピーダンス$[\Omega]$は、

$$\sqrt{8^2+6^2}=\sqrt{100}=10\Omega$$

 

回路に流れる電流$[\mathrm{A}]$は、

$$\frac{100}{10}=10\mathrm{A}$$

 

したがって、抵抗$8\Omega$の両端にかかる電圧$[\mathrm{V}]$は、

$$8\times10=\boldsymbol{80\mathrm{V}}$$

 

よって、「ニ」が正解となる。

 

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類題

 

問5

図のような三相3線式回路の全消費電力$[\mathrm{kW}]$は。

 

 

イ.$2.4$  ロ.$4.8$  ハ.$9.6$  ニ.$19.2$

 

解説

図の交流回路において、合成インピーダンス$[\Omega]$は、

$$\sqrt{8^2+6^2}=\sqrt{100}=10\Omega$$

 

一相当たりの電流$[\mathrm{A}]$は、

$$\frac{200}{10}=20\mathrm{A}$$

 

1つの抵抗で消費する電力$[\mathrm{W}]$は、

$$8\times20^2=3200\mathrm{W}$$

 

したがって、三相回路での全消費電力は、

$$3200\times3=9600\mathrm{W}\rightarrow\boldsymbol{9.6\mathrm{kW}}$$

 

よって、「ハ」が正解となる。

 

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類題

 

 

問6

図のような単相2線式回路において、$\mathrm{c -c’}$間の電圧が$100\mathrm{V}$のとき、$\mathrm{a-a’}$間の電圧$[\mathrm{V}]$は。

ただし、$r$は電線の電気抵抗$[\Omega]$とする。

 

 

イ.$102$  ロ.$103$  ハ.$104$  ニ.$105$

 

解説

回路に流れる電流を図のとおり$I_1[\mathrm{A}]$、$I_2[\mathrm{A}]$と定める。

 

$\mathrm{a-b}$間および$\mathrm{b-b’}$間の電圧降下$[\mathrm{V}]$は、

$$\begin{cases}
\left(I_1+I_2\right)r&=\left(5+10\right)\times0.1&=1.5\mathrm{V}\\\\
I_2r&=10\times0.1&=1.0\mathrm{V}
\end{cases}$$

 

したがって、$\mathrm{a-a’}$間の電圧$[\mathrm{V}]$は、

$$1.5+1.0+100+1.0+1.5=\boldsymbol{105\mathrm{V}}$$

 

よって「ニ」が正解となる。

 

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類題

 

問7

図のような単相3線式回路で、電線1線当たりの抵抗が$r[\Omega]$,負荷電流が$I[\mathrm{A}]$,中性線に流れる電流が$0\mathrm{A}$のとき、電圧降下$\left(V_\mathrm{s}-V_\mathrm{r}\right)[\mathrm{V}]$を示す式は。

 

 

イ.$2rI$  ロ.$3rI$  ハ.$rI$  ニ.$\sqrt{3}rI$

 

解説

図の単相3線式回路で、中性線の電流が0の場合、抵抗$r$における電圧降下は$rI$,電力損失は$2rI^2$となる。

 

したがって、電圧降下$\left(V_\mathrm{s}-V_\mathrm{r}\right)[\mathrm{V}]$は、

$$V_\mathrm{s}-V_\mathrm{r}=\boldsymbol{rI}$$

 

よって「ハ」が正解となる。

 

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類題

 

問8

金属管による低圧屋内配線工事で、管内に直径$2.0\mathrm{mm}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)5本を収めて施設した場合、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は。

ただし、周囲温度は$30^\circ\mathrm{C}$以下、電流減少係数は$0.56$とする。

イ.$10$  ロ.$15$  ハ.$19$  ニ.$27$

 

解説

直径$2.0\mathrm{mm}$の$600\mathrm{V}$ビニル絶縁電線(軟銅線)の許容電流は$35\mathrm{A}$である。

 

電流減少係数が$0.56$であるから、電線1本当たりの許容電流$[\mathrm{A}]$は、

$$35\times0.56=19.6\mathrm{A}\rightarrow\boldsymbol{\underline{19\mathrm{A}}}$$

 

よって「ハ」が正解となる。

 

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類題

 

問9

図のように定格電流$100\mathrm{A}$の過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して、$6\mathrm{m}$の位置に過電流遮断器を施設するとき、$\mathrm{a-b}$間の電線の許容電流の最小値$[\mathrm{A}]$ は。

 

 

イ.$25$  ロ.$35$  ハ.$45$  ニ.$55$

 

解説

幹線の過電流遮断器の定格電流を$I_B$,分岐点から電線の許容電流を$I_W$とすると、電技解釈第149条により、分岐回路の過電流遮断器を分岐点から$3\mathrm{m}$を超え$8\mathrm{m}$以下の位置に施設する場合は、$I_W$を$I_B$の$\boldsymbol{35\%}$以上にしなければならない。

 

上記より、許容電流の最小値は、

$$0.35\times100=\boldsymbol{35\mathrm{A}}$$

 

よって「ロ」が正解となる。

 

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類題

 

問10

低圧屋内配線の分岐回路の設計で、配線用遮断器の定格電流とコンセントの組合せとして、不適切なものは。

 

 

解説

電技解釈第149条により、$20\mathrm{A}$分岐回路では、

  • 電線の太さ$1.6\mathrm{mm}$(または$2.0\mathrm{mm^2}$)以上
  • コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以下

 

$30\mathrm{A}$分岐回路では、

  • 電線の太さ$2.6\mathrm{mm}$(または$5.5\mathrm{mm^2}$)以上
  • コンセントの定格電流は$20\mathrm{A}$以上$30\mathrm{A}$以下

でなければならない。

 

選択肢について検証すると、

  • イは適切である。
  • ロは定格電流$\boldsymbol{15\mathrm{A}}$のコンセントなので不適切である。
  • ハは適切である。
  • ニは適切である。

 

よって「ロ」が正解である。

 

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