電験一種二次試験「機械・制御」パワエレ分野の攻略法

本記事では、電験一種二次試験「機械・制御」科目の中でも、最高難易度と言われる「パワーエレクトロニクス(通称パワエレ)分野」の攻略法について、過去のデータ分析を基に解説する。

パワエレ分野の概要

電気工学の中でもパワーエレクトロニクス分野は、電力用半導体素子を用いた電力変換と制御を扱う分野である。

 

電験でいうと、一種および二種二次試験「機械・制御」科目の問3(令和3年度は問2)にて大問まるまる1つが割り当てられ、その知識・習熟具合が問われる。

また、後述するようにほとんどの受験生がこの分野の問題を「捨て問」として敬遠し、学習時間を割くことすらしないというのも大きな特徴である(何を隠そう自分もそのクチである)。

 

ここで、本サイトの「電験データベース」および実際の過去問題を参考に作成した、電験一種のパワエレ分野の年度別出題実績を下表に示す。

 

上記の表のExcel版はこちら(ダウンロード

 

一種機械・制御

電験一種二次試験「機械・制御」科目について、年度別過去問リストでまとめたものである。電験過去問データベースのnotion版を作成しました。こちらもぜひご活用ください。電験一種「機械・制御」年度別出題一覧(notion版)[…]

 

本記事では、上記の実績表および実際の過去問からの内容の分析を基に、電験一種のパワエレ分野の攻略法を考えていく。

 

パワエレの問題が敬遠される理由

既に述べたように、(自分を含め)多くの受験生がこのパワエレ分野を敬遠し、そもそも最初から「解答する」選択肢を持たずに試験に臨んでいく。

攻略法を考える前に、その理由をまずは考えたいと思う。

 

パワエレ分野が敬遠される理由を自分なりに考察した結果、主に次のようなものが挙げられると感じた。

  1. 問題の見た目に圧倒される
  2. 回路が複雑で、その動作を理解するのが困難
  3. 計算が複雑化しやすい
  4. 波形を図示する問題への対応
  5. 過去問との類似問題が少ない

①問題の見た目に圧倒される

パワエレ分野の大きな特徴の一つに、「問題が比較的長文で構成され、回路図やその動作波形に割かれるスペースが多めである」ということがある。

②以降の理由と被るが、特に回路の動作波形は問題用紙のまるまる1ページを占めることがあり、見た目的に圧倒されることも多い。

 

例えば、平成30年度電験一種「機械・制御」問3について、下記に引用する。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター  平成30年度第一種電気主任技術者試験「機械・制御」問3

 

この問題をぱっと見たときに、「電圧の式がたくさん書いてあって、計算がエグそう…」「三角関数の見たことがない公式がある…」「PWM制御の波形がなんだかヤバそう…」と感じる人は少なくないと思う。

 

また、「機械・制御」科目は制限時間が60分と、一次試験まで含めた電験の全科目中で最も短く、かつ4問中2問を解答するという「選択制」である特徴がある。

それゆえ、自分の実力と照らし合わせ、解答可能かを瞬時に判断する能力も求められる。

 

受験生側からすると、パワエレ分野の問題を生物的な直感にしたがって「危険」と判断し、他の問題に取り掛かる選択を取るというのが実状かと思う(戦略的にはある意味正しい判断だと思う)。

なお、波形を自分で図示する問題がある場合、解答用紙にグラフの軸などがあらかじめ印刷してある場合がある。

解答用紙に氏名を記入する際にこれを見てしまい、問題文を見ずとも危険を察知し、取り組むこと自体のを回避した受験生も少なくないのではないかと(個人的に)思っている。

 

②回路が複雑で、その動作を理解するのが困難

パワエレ分野では、ダイオード・サイリスタ・IGBTといったスイッチング機能を有する半導体素子を多数使用する回路が登場する。

特に三相交流を扱う回路ともなれば、使用する素子の数は多くなる。

加えて、コンデンサ・リアクトル・変圧器などの素子・機器と組み合わせると、傍目にもかなり複雑な回路が構築されることになる。

 

一方、パワエレ分野の問題を解くためには、1つ1つの素子のオン・オフを考え、回路に流れる電流の経路を把握する必要がある。

つまり、「複雑な回路の中で動作を丁寧に追っていく」という、非常に繊細な作業が必要になってくることが多い。

 

この作業を行う能力は一朝一夕で身につけることはできず、過去問演習などの訓練のもとで習熟させていくしかないと考える。

学習時間が限られている受験生が多い中、戦略的に「労力を注ぎ込むのは見合わない」という判断をする人も少なくないと思う。

 

③計算が複雑化しやすい

ほぼ計算問題の出題しかなく、ただでさえ計算量が多めで時間が足りなくなりがちな「機械・制御」科目の中でも、パワエレ分野の計算はより高度で複雑化しやすい面がある。

微積、三角関数(特に積和・和積の公式を扱うもの)、フーリエ級数展開といった、同科目の他分野ではあまり使用しない計算手法を用いなければならず、その計算に習熟していなければ得点は難しい。

 

そして、その習熟にはある程度の時間を割かなければならないため、学習時間の観点からますます「パワエレのためだけに時間を費やすのは戦略的に微妙」という考えに至ってしまうのも理解できる。

 

④波形を図示する問題への対応

他分野にはないパワエレ分野の大きな特徴の一つに「波形を図示する問題」が出題されることが挙げられる。

②とも重複するが、回路中の電流の流れを見極めたうえで、自分の手で波形を描いていくのもある程度の修練が必要となる。

(当然、これも演習を重ねてようやく身につく能力である)

 

特にスイッチング素子の位相制御を行ったり、通流率を考慮する場合は考慮すべきことも多くなり、解答すべき波形もより複雑になる。

そして(⑤とも重複するが)同じパターンの問題が出題されることはなかなかないため、単純暗記でない同分野への根本的な理解が必要になってくる。

 

⑤過去問との類似問題が少ない

パワエレ分野に限った話ではないものの、過去問と類似する問題がなかなか出題されないのは、受験生泣かせな部分である。

先の「年度別出題実績」からも分かるように、例えばインバータであればその回路の構成に加え「多重インバータ」「PWM制御」「電動機駆動」などのサブテーマが設定されるため、同じカテゴリーであっても全く別の問題となる。

 

そもそも電験一種は参考書の種類も少なく、勉強する手段がただでさえ限られているのが実状である。

特に自分のように、過去の問題をベースに実績を洗い出し、潰しこみを行っていく「データ派」の人にとっては天敵であるとも言える。

 

したがって、(実務で携わっている人以外は)おそらくほぼ初見で問題に挑まなくてはならない状況に陥る可能性が高い。

それゆえ、リスク管理の観点からも「選択しない方が無難」という結論になりがちである。

 

パワエレ分野に対する基本戦略

ここまでお伝えした「敬遠する理由」をみると、「パワエレってなんとなく難しそう」というあいまいなものでなく「戦略的に避けるのが理にかなっている」と感じるほどである。

 

ただ、パワエレの技術は現代の電力技術にはなくてはならないものである。

周波数変換所は電力流通にはなくてはならないものであるし、インバータがなければ電気料金は爆上がりすると思う。

なので、電験が終わっても電気の勉強を続けていくのであれば、完全に捨ててしまうというのももったいないと感じる。

(電験の受験が終わった今だからこそ感じるというのもある)

 

上記を踏まえ、本記事ではパワエレ分野に取り組む際の基本戦略として、次のことを提案する。

  1. 科目全体で2問中「1問完答・1問半答」のうち「1問半答」の方に充てる
  2. まったくの初見で対応が無理そうであれば即撤退
  3. 最初の小問を「テーマ別攻略法」に沿って対応する

①科目全体で2問中「1問完答・1問半答」のうち「1問半答」の方に充てる

電験一種の近年の合格最低点を見ると、高くても6割(180点中108点以下)となる。

したがって、「機械・制御」科目でも6割+αの得点を狙う「2問中で1問完答・1問半答」の目標を持って臨む人が多いと思う。

ただ、パワエレ分野は先に述べた理由から高難易度の問題が出題されることが多く、完全解答するのはよほど精通していないと厳しい。

 

そこで、戦略の大前提としては、パワエレ分野以外で自分の得意科目(例えば自動制御分野)を作り、パワエレ分野に関しては「1問半答」で御の字とする。

他の得意分野で確実に得点力を磨く前提ではあるものの、「パワエレに関しては半分でよい」という精神的な余裕がまずは生まれる。

そして、「残りの選択問題が全然分からず、まったく手が出ない」という不測の事態に備えての保険にもなる。

上記は、自分の経験に基づいた戦略となる。

自分は平成29年度の二次試験を受験したとき、得意分野である自動制御分野でこれまで実績のない「根軌跡」の問題が出題された。

まったくの初見で小問(1)から手が出ず、結果的に不合格になってしまった苦い思い出がある。

 

ただ、この年のパワエレ分野の問題は下記に述べる「テーマ別攻略法」に概ね沿ったオーソドックスな問題で、(結果論ではあるが)学習していれば半答できた可能性もある。

なので、パワエレを全くの捨て問とはせずに、対応可能な範囲は範囲は狭かったとしても、日々の学習で確実にできる問題を増やしておくのも選択肢としてはアリだと思う。

 

②まったくの初見で対応が無理そうであれば即撤退

先にも述べたように「機械・制御」科目の試験時間は1時間しかないため、わずかな対応の遅れが命取りとなる可能性がある。

そのため、問題をパッと見たときに「テーマ別攻略法」に沿ったものではなく、まったくの初見で手が出なさそうであれば即撤退をお勧めする。

この判断の時間の目安としては、ロスを最小限にするためにどんなに長くても5分以内としてほしい。

 

ここで日々の学習の際、もし過去問に取り組む前であれば、模擬試験形式で解く問題を選択する「易問探し」のトレーニングをやってみることをお勧めする。

こうすると、問題を解く力のほかに、解くべき問題を選択する瞬時の判断力も同時に養える(実際に解かなくても、選択するだけの訓練ならあまり時間もかからないので、やってみてほしい)。

 

③最初の小問を「テーマ別攻略法」に沿って対応する

パワエレ分野の問題は小問構成が多いため、最初の数問はむしろ基礎的なことを問うてくる場合も多い。

(逆に言うと「(1)からかなり高難易度にする」というのは試験の構成的に破綻しており、可能性は低い)

このため、①の「1問半答」で行くことを前提に、例えば小問(5)まであったら(3)までいけば及第点として対応していくことをお勧めする。

 

そもそも試験というのは「解かせない」ことではなく「分かっていることを問う」のが目的で作られている(電験一種の場合は異論があるかもしれないが、個人的にはそうであると信じたい)。

よって、「過去問から解法パターンを身に付ける→類題を解けるようにする」という王道戦略の積み上げが、結局は合格への近道になると思う。

とはいえ、ガチガチのパターン問題は出題されないため、まずは本記事で解法の「流れ」だけでも掴んでほしい。

 

 

テーマ別攻略法(メイン)

ここからは「年度別出題実績」の「カテゴリー(メイン)」と設定した項目に沿って、各テーマの攻略法を解説する。

 

そもそも、パワエレ分野で扱う回路は、直流(DC)と交流(AC)の間を変換する役割があるため、カテゴリーで分けると必然的に下記の4つとなる。

  • 整流回路(AC→DC)
  • インバータ(DC→AC)
  • 交流/交流変換回路(AC→AC)
  • チョッパ回路(DC→DC)

整流回路(AC→DC)

整流回路は、交流を直流に変換する役割のある回路となる。

令和5年度~平成7年度の間でこのテーマの出題回数は29回中10回で、カテゴリーとしては登場回数が多い。

 

回路の種類として、近年ではほぼ単相ブリッジ回路三相ブリッジ回路を扱うことがほとんどである。

いずれの回路でも問題を解く流れとしては、概ね下記のように進めることが多い。

  1. 直流平均電圧を求める。
  2. 交流側の電流の実効値を求める。
  3. 電源から負荷に入力される電力を求める。

 

まず、整流回路の出力は直流であるゆえ、問題の序盤では直流平均電圧を求める問題が出題される頻度が高い。

このとき、サイリスタの制御角$\alpha$のときの平均電圧$V_\mathrm{d}$を求めさせるのが主なパターンとなる(例:平成28年度)。

 

対策としては、与えられた波形から積分区間を定め、計算する練習を積んでおくのが有効である。

なお、回路の複数台接続であったり変圧器を介していたりと様々なパターンも存在するので、一通りこなしておくと万全である。

このサイトの整流回路の解説記事では、各回路の直流平均電圧を求めているので、その計算過程も含めてよかったら参考にしてほしい。
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次に、電流の場合は逆になり、「平均値$I_\mathrm{d}$を用いて交流側の実効値$I$を求めよ」という出題がなされる(例:平成23年度)。

これは電源側の皮相電力を求める際に、電流の実効値が必要だからである。

ただ、実効値を求めるといっても、積分などの複雑な計算を用いることは稀で、問題で与えられた波形からのヒントを元に値を計算することが多い。

こちらも演習を積むことで感覚をつかんでほしい。

 

その後、平均電圧$V_\mathrm{d}$および電流の平均値$I_\mathrm{d}$から、電源側(交流側)からの入力有効電力$P$や電源側の皮相電力$S$を求めさせることが多い(例:平成23年度)。

そしてこの流れに加え、回路の総合力率を求めて締め、というルートをたどることもある。

 

このように、整流回路は他のテーマと比較して、解法の流れがある程度パターン化されていることが多い。

もちろん「転流重なり(平成25年度)」や「高調波(平成28年度)」といったサブテーマも設定されるため、必ずしもスムーズに問題を解けるとは限らないが、大まかな流れは固定されていると考えてよい。

過去問演習を行う際などは上記の流れを意識してほしい。

 

インバータ(DC→AC)

インバータは、直流を交流に変換する役割のある回路となる。

令和5年度~平成7年度の間でこのテーマの出題回数は29回中11回で、カテゴリーとしては最多登場となる。

 

インバータの問題の序盤では整流回路と異なり、計算よりも回路の動作を確認することが多い。

そして、出力波形を描かせる問題も他のカテゴリーと比較して多い。

 

この「波形の図示」の問題を解く流れとしては、

  1. 特定のタイミングにおいてオン(またはオフ)する素子またはアームを問う。
  2. 各期間における素子・アームのオン・オフを把握する。
  3. 電圧・電流波形を描く。

 

年度によっては小問(1)でいきなり③の「波形を描け」という展開になることもある(例:平成29年度)が、その場合でも上記の①~③のステップは必ず踏むと思う。

したがって、演習の段階でこれらのステップを意識しながら、各タイミングにおける素子・アームのオン・オフの把握を行う訓練を積んでおくと良い。

こちらは穴埋め問題となる一次試験「機械」科目でも問われやすい形式なので、併せて演習を行っておくと良い。

 

また、毎回ではないものの、インバータの出力は交流であるゆえ、直流電源電圧から出力電圧(電流)の実効値を求める問題が出題されることもある(例:平成26年度

この場合は、実効値の定義式に当てはめるものもあればそうでない問題(例えば正弦波の波高値を$\sqrt{2}$で割ったり、三相の場合は相電圧に$\sqrt{3}$をかけて線間電圧にする、など)もあるため、問題の特色に合わせて計算していってほしい。

このサイトのインバータの解説記事では、各回路の電圧・電流の実効値を求めているので、その計算過程も含めてよかったら参考にしてほしい。
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ただ、他のサブテーマ(「高調波」「PWM制御」など)と組み合わせると難易度がどんどん上がっていくため、深追いはせずにパターン化されている部分だけ解いていくのがお勧めである。

 

交流/交流変換装置(AC→AC)

交流を別の周波数の交流などに変換する交流/交流変換装置の問題も出題される。

令和5年度~平成7年度の間でこのテーマの出題回数は29回中6回。

 

最も出題頻度が高いものとして、これまで述べてきた整流回路とインバータを組み合わせた変換回路がある。

こちらは上記2つのテーマの両方の知識が必要になるため、難易度も高めになる。

 

しかしながら、パターン化されている上記2つのテーマの解法をそのまま当てはめられることもある。

特に入力側となる整流回路の流れを汲み、直流平均電圧を求めた上で電流の実効値→回路の入力電力を求める流れが活用できることもある(例:平成8年度)。

 

ただ、問題形式が全くの初見だったり、そもそもあまり過去に出題されない回路(例:平成20年度)もあり、このテーマにおける解法のパターン化はなかなか難しい。

少しでも不安になったら「基本戦略」に基づき、即撤退するのが無難である。

 

チョッパ回路(DC→DC)

チョッパ回路は入力となる直流について、素子の通流率を変化させることで出力となる直流の値を制御する回路となる。

令和5年度~平成7年度の間でこのテーマの出題回数は29回中2回となる。

 

本来はこれまでのものと比較して易しめのテーマではあるものの、出題された回数が少ないうえに、例えば「昇圧チョッパ回路」「昇降圧チョッパ回路」などのパターン化された回路に関する問題はほぼ出題されない。

こちらは攻略法が確立できるほどサンプル数が多くないため、ちょっとでも無理そうであれば撤退をお勧めする。

 

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テーマ別攻略法(サブ)

ここでは「年度別実績表」で「メイン」と挙げた項目以外に、取り上げられることが多いテーマを「サブ」としてまとめた。

高調波

高調波は基本波($n=1$)に対して$n$倍の周波数をもつ成分で、出題としては第3次高調波に関するものがほとんどである。

これといったパターンはないが、計算問題の場合は基本波に加え高調波成分の計算が必要になってくる(例:平成30年度)ことが多く、より難解で複雑化することが予想できる。

 

また、こちらのテーマではフーリエ級数展開の計算が必要になってくることが多い。

計算が必須とはいえ、問題文でその定義式すら与えられないことがほとんどなので、別途学習が必要になってくるテーマであると言える。

もし計算に自信がなければ回避するのが無難となる。

フーリエ級数展開の詳細については、下記の記事を参考にしてほしい。
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PWM制御

PWM制御は、信号波(正弦波)と搬送波(三角波)の大小を比較することで素子のオン・オフを行う制御手法のことである。

 

PWM制御の問題の特徴として挙げられるのが、信号波と搬送波の振幅比である変調率$A$(通常$1$以下)を扱うことが多い点である。

搬送波である三角波の振幅を$1$としたとき、変調率$A$の信号波$v$の式は次式で与えられる。

$$v=A\sin\omega t$$

 

PWM制御に関しては、次のような対策が考えられる。

  • 与えられた信号波と三角波の波形を比較して、オン・オフのタイミングとその際の出力を把握する(例:平成29年度)。
  • 変調率を用いた計算に慣れておく(例:平成24年度)。

 

なお、PWM制御は高調波成分を抑制する目的で用いられることもあるため、前述の「高調波」とからめた出題がなされることもある(例:平成30年度)。

 

多重インバータ

多重インバータはインバータを複数台用いて、変圧器を介して接続する構成の回路となる。

極性の異なる変圧器を介することで位相のずれた波形を重畳させ、階段状の(より正弦波に近い)波形を出力するのが特徴である。

その特徴から、波形を図示する問題として登場することも多い。

 

対策としては、メインテーマであるインバータの項で述べた流れを踏襲しつつ、多重インバータ特有の重ねる特徴を意識しながら問題を解くことになる。

通常のインバータよりも問われる事項のレベルが高くなるため、余裕があれば過去問で感覚をつかんでおいてほしい(例:平成26年度

 

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電動機駆動

電動機駆動はその名の通り、電動機の回転速度を制御し、駆動するためのドライブシステムに関するものになる。

これまでの出題に関して言えば、他の分野である「誘導電動機(平成15年度)」「電動機応用(令和元年度)」「直流電動機(平成7年度)」などのテーマと融合した問題になることが多い。

分野を跨ぐ知識が問われるゆえ、難易度も高くなる。

 

また、その性質上論説問題となる場合も多く、そのテーマ専用で学習をしておく必要がある。

論説問題が得意で、その分野にある程度精通している場合以外は、出題頻度自体が少ないこともあり手を出さない方が良いかもしれない。

 

おわりに

以上、電験一種二次試験のパワエレ分野の攻略法についてまとめた。

 

本記事を読んで、少しでも「パワエレの勉強をしてみよう」と思ってもらえたかもしれないし、逆に「やっぱりパワエレは捨てた方がいい」と感じたとしても全然アリだと思う。

重要なのは「相手を知る」ことかと思うので、様々な情報を取り入れた上で自分に合った戦略をとってもらえればと思う。

 

本記事を参考にして、少しでも合格点に近づけていただければ幸いである。

 

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