第二種電気工事士筆記試験解答・解説【令和2年度下期(午前) 問21~30】

本記事では、第二種電気工事士筆記試験のうち「令和2年度下期(午前) 問21~30」について解説する。

問21

店舗付き住宅の屋内に三相200Vのルームエアコンを施設した。工事方法として、適切なものは。

ただし、三相電源の対地電圧は200Vで、ルームエアコンおよび配線は簡易接触防護措置を施すものとする。

イ.定格消費電力が1.5kWのルームエアコンに供給する電路に、専用の配線用遮断器を取り付け、合成樹脂管工事で配線し、コンセントを使用してルームエアコンと接続した。

ロ.定格消費電力が1.5kWのルームエアコンに供給する電路に、専用の漏電遮断器を取り付け、合成樹脂管工事で配線し、ルームエアコンと直接接続した。

ハ.定格消費電力が2.5kWのルームエアコンに供給する電路に、専用の配線用遮断器と漏電遮断器を取り付け、ケーブル工事で配線し、ルームエアコンと直接接続した。

ニ.定格消費電力が2.5kWのルームエアコンに供給する電路に、専用の配線用遮断器を取り付け、金属管工事で配線し、コンセントを使用してルームエアコンと接続した。

 

解説

住宅の屋内電路の対地電圧は$150\mathrm{V}$以下としなくてはならないが、電気機械器具の定格消費電力が$2\mathrm{kW}$以上の場合は、下記の措置を施せば$300\mathrm{V}$以下とすることができる。

  • 当該電気機械器具のみに電気を供給する。
  • 簡易接触防護措置を施す。
  • 電気機器は屋内配線と直接接続する(コンセントは使用不可)。
  • 専用の開閉器および過電流遮断器を施設する。
  • 漏電遮断器を施設する。

 

上記の条件をすべて満たす「ハ」が正解となる。

 

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類題

 

問22

簡易接触防護措置を施した乾燥した場所に施設する低圧屋内配線工事で、D種接地工事を省略できないものは。

イ.三相3線式$200\mathrm{V}$の合成樹脂管工事に使用する金属製ボックス

ロ.三相3線式$200\mathrm{V}$の金属管工事で電線を収める管の全長が$5\mathrm{m}$の金属管

ハ.単相$100\mathrm{V}$の電動機の鉄台

ニ.単相$100\mathrm{V}$の金属管工事で電線を収める管の全長が$5\mathrm{m}$の金属管

 

解説

使用電圧が直流$300\mathrm{V}$または交流対地電圧が$150\mathrm{V}$以下の機械器具に簡易接触防護措置を施すか、または乾燥した場所に施設する場合は、D種接地工事は省略できる。

 

上記を踏まえ、各選択肢について検討すると、次の通り。

  • イは合成樹脂管工事であり、この場合は省略可能である。
  • ロは対地電圧が$150\mathrm{V}$を超えるので、この場合は管長が$4\mathrm{m}$以下ならば省略できるが、$5\mathrm{m}$なので省略できない。
  • ハは対地電圧が$150\mathrm{V}$以下であり、省略可能である。
  • ニは対地電圧が$150\mathrm{V}$以下であり、省略可能である。

 

よって「ロ」が正解となる。

 

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類題

 

問23

硬質塩化ビニル電線管による合成樹脂管工事として、不適切なものは。

イ.管の支持点間の距離は$2\mathrm{m}$とした。

ロ.管相互および管とボックスとの接続で、専用の接着剤を使用し、管の差込み深さを管の外径の$0.9$倍とした。

ハ.湿気の多い場所に施設した管とボックスとの接続箇所に、防湿装置を施した。

ニ.三相$200\mathrm{V}$配線で、簡易接触防護措置を施した場所に施設した管と接続する金属製プルボックスに、D種接地工事を施した。

 

解説

硬質塩化ビニル電線管工事(合成樹脂管工事)の場合、管の支持点間距離は$1.5\mathrm{m}$以下としなければならない。

よって「イ」が不適切である。

 

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類題

 

問24

絶縁被覆の色が赤色、白色、黒色の3種類の電線を使用した単相3線式$100/200\mathrm{V}$屋内配線で、電線相互間及び電線と大地間の電圧を測定した。

その結果として、電圧の組合せで、適切なものは。

ただし、中性線は白色とする。

イ.赤色線と大地間 $200\mathrm{V}$ 白色線と大地間 $100\mathrm{V}$ 黒色線と大地間 $0\mathrm{V}$

ロ.白色線と黒色線間 $100\mathrm{V}$ 赤色線と大地間 $0\mathrm{V}$ 黒色線と大地間 $200\mathrm{V}$

ハ.赤色線と白色線間 $200\mathrm{V}$ 赤色線と大地間 $0\mathrm{V}$ 黒色線と大地間 $100\mathrm{V}$

ニ.赤色線と黒色線間 $200\mathrm{V}$ 白色線と大地間 $0\mathrm{V}$ 黒色線と大地間 $100\mathrm{V}$

 

解説

設問を図にすると下記となる。

 

 

上図より、赤色線と黒色線間は$200\mathrm{V}$,白色線と大地間は$0\mathrm{V}$,黒色線と大地間は$100\mathrm{V}$である。

よって「ニ」が正解となる。

 

類題

 

問25

低圧屋内配線の電路と大地間の絶縁抵抗を測定した。

「電気設備に関する技術基準を定める省令」に適合していないものは。

イ.単相3線式$100/200\mathrm{V}$の使用電圧$200\mathrm{V}$空調回路の絶縁抵抗を測定したところ$0.16\mathrm{M\Omega}$であった。

ロ.三相3線式の使用電圧$200\mathrm{V}$(対地電圧$200\mathrm{V}$)電動機回路の絶縁抵抗を測定したところ$0.18\mathrm{M\Omega}$であった。

ハ.単相2線式の使用電圧$100\mathrm{V}$屋外庭園灯回路の絶縁抵抗を測定したところ$0.12\mathrm{M\Omega}$であった。

ニ.単相2線式の使用電圧$100\mathrm{V}$屋内配線の絶縁抵抗を、分電盤で各回路を一括して測定したところ、 $1.5\mathrm{M\Omega}$であったので個別分岐回路の測定を省略した。

 

解説

電技省令第58条により、使用電圧が$300\mathrm{V}$以下で、対地電圧が$200\mathrm{V}$の電路の絶縁抵抗は$\boldsymbol{0.2\mathrm{M\Omega}}$以上でなければならない。

よって「ロ」が不適合である。

 

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類題

 

 

問26

工場の三相$200\mathrm{V}$三相誘導電動機の鉄台に施設した接地工事の接地抵抗値を測定し、接地線(軟銅線)の太さを検査した。

「電気設備の技術基準の解釈」に適合する接地抵抗値$\Omega$と接地線の太さ(直径[$\mathrm{mm}$])の組合せで、適切なものは。

ただし、電路に施設された漏電遮断器の動作時間は、$0.1$秒とする。

イ.$100\Omega$ $1.0\mathrm{mm}$

ロ.$200\Omega$ $1.2\mathrm{mm}$

ハ.$300\Omega$ $1.6\mathrm{mm}$

ニ.$600\Omega$ $2.0\mathrm{mm}$

 

解説

問題の機器は$300\mathrm{V}$以下に該当するため、D種接地工事を施工する。

$0.5$秒以内に動作する漏電遮断器を施設する場合、接地抵抗値は$500\Omega$以下、接地線(軟銅線)の太さは直径$1.6\mathrm{mm}$以上である。

 

選択肢のうち、「ハ」の抵抗値および接地線の太さが適切である。

 

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類題

 

問27

直動式指示電気計器の目盛板に図のような記号がある。

記号の意味および測定できる回路で、正しいものは。

 

イ.永久磁石可動コイル形で目盛板を水平に置いて、直流回路で使用する。

ロ.永久磁石可動コイル形で目盛板を水平に置いて、交流回路で使用する。

ハ.可動鉄片形で目盛板を鉛直に立てて、直流回路で使用する。

ニ.可動鉄片形で目盛板を水平に置いて、交流回路で使用する。

 

解説

与えられた図のうち、左の記号は永久磁石可動コイル形計器であること、右の記号は水平に置いて使用することを表す。

また、永久磁石可動コイル形計器は直流回路で使用する。

 

以上より、「イ」が正解である。

 

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類題

 

問28

「電気工事士法」の主な目的は。

イ.電気工事に従事する主任電気工事士の資格を定める。

ロ.電気工作物の保安調査の義務を明らかにする。

ハ.電気工事士の身分を明らかにする。

ニ.電気工事の欠陥による災害発生の防止に寄与する。

 

解説

電気工事士法第1条より、「この法律は、電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、もって電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的とする」とある。

よって「ニ」が正解となる。

 

類題

調査中

 

問29

低圧の屋内電路に使用する次のもののうち、特定電気用品の組合せとして、正しいものは。

$\mathrm{A}$:定格電圧$100\mathrm{V}$,定格電流$20\mathrm{A}$の漏電遮断器

$\mathrm{B}$:定格電圧$100\mathrm{V}$,定格消費電力$25\mathrm{W}$の換気扇

$\mathrm{C}$:定格電圧$600\mathrm{V}$,導体の太さ(直径)$2.0\mathrm{mm}$の3心ビニル絶縁ビニルシースケーブル

$\mathrm{D}$:内径$16\mathrm{mm}$の合成樹脂製可とう電線管(PF管)

 

イ.$\mathrm{A}$および$\mathrm{B}$  ロ.$\mathrm{A}$および$\mathrm{C}$  ハ.$\mathrm{B}$および$\mathrm{D}$  ニ.$\mathrm{C}$および$\mathrm{D}$

 

解説

$\mathrm{B}$ の「定格電圧$100\mathrm{V}$,定格消費電力$25\mathrm{W}$の換気扇」と、$\mathrm{D}$の「内径$16\mathrm{mm}$の合成樹脂製可とう電線管(PF管)」は特定電気用品以外の電気用品である。

 

したがって、「ロ」の$\mathrm{A}\cdot\mathrm{C}$の組み合わせが正解となる。

 

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類題

 

問30

一般用電気工作物に関する記述として、正しいものは。

ただし、発電設備は電圧$600\mathrm{V}$以下とする。

イ.低圧で受電するものは、出力$55\mathrm{kW}$の太陽電池発電設備を同一構内に施設しても、一般用電気工作物となる。

ロ.低圧で受電するものは、小出力発電設備を同一構内に施設しても、一般用電気工作物となる。

ハ.高圧で受電するものであっても、需要場所の業種によっては、一般用電気工作物になる場合がある。

ニ.高圧で受電するものは、受電電力の容量、需要場所の業種にかかわらず、すべて一般用電気工作物となる。

 

解説

一般用電気工作物の適用を受けるものは、低圧受電するものである。

  • 「太陽電池発電設備」は出力が$50\mathrm{kW}$以上であれば、一般用電気工作物とならないため、イは不適切である。
  • 低圧受電で小出力発電設備であるから、一般用電気工作物であり、ロは適切である。
  • 高圧受電であるから、一般用電気工作物ではないため、ハおよびニは適切である。

 

よって「ロ」が正解となる。

 

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