本記事では、送電線の損失係数と送電損失率の関係について、例題を通じて解説する。
損失係数と送電損失率:例題
出典:電験二種二次試験「電力・管理」 平成23年度問6
(問題文の記述を一部変更しています)ある負荷に電力を供給している送電線の送電端電力のパターンが図1のとおりであるとする(電力、時間は基準化してある)。
図1 送電端電力のパターン
この送電線の単位電力当たりの送電損失を$R$とするとき、次の問に答えよ。
ただし、送電損失は抵抗分のみとし、送電端電圧・送電端力率は一定とする。
$(1)$
次の各値を求めよ。$a.$送電端負荷率
$b.$損失係数
$(2)$
一般に$\mathrm{kWh}$損失率(ある期間の送電損失率)と$\mathrm{kW}$損失率(その期間の最大電力時の送電損失率)の比は、損失係数と送電端負荷率の比に等しいことを示せ。
送電端負荷率と損失係数の計算
送電端負荷率
$(1)$
負荷の最大電力は、図1より$5$である。
また、負荷の平均電力は、図1の時間$1\sim5$における電力の値から、
$$\frac{1+3+5+4+2}{5}=3$$
負荷率は(負荷の平均電力)/(負荷の最大電力)$\times100\%$で表されることより、求める送電端負荷率は、
$$\frac{3}{5}\times100=\boldsymbol{\underline{60\%}}$$
損失係数
損失係数は配電計画を立てるうえでの基礎的な指数であり、(負荷電流の2乗の平均)/(負荷の最大電流の2乗)$\times100\%$で表される。
図1の電力$\propto$負荷電流であり、負荷の最大電流の2乗は、図1より$5^2=25$である。
また、負荷電流の2乗の平均は、図1の時間$1\sim5$における電力の値から、
$$\frac{1^2+3^2+5^2+4^2+2^2}{5}=11$$
したがって、損失係数$[\%]$は、
$$\frac{11}{25}\times100=\boldsymbol{\underline{44\%}}$$
送電損失率の計算
送電損失率の定義は、(送電損失)/(送電電力)である。
図1の期間における$\mathrm{kWh}$送電損失は、単位電力当たりの送電損失が$R$であることと、損失は電流(∝電力)の2乗に比例するので、
$$1^2\times R\times1+3^2\times R\times1+5^2\times R\times1+4^2\times R\times1+2^2\times R\times1=55R$$
また、$\mathrm{kWh}$送電電力は、
$$1\times1+3\times1+5\times1+4\times1+2\times1=15$$
したがって、$\mathrm{kWh}$送電損失率は、
$$\frac{55R}{15}=\frac{11}{3}R$$
さらに、図1の期間における$\mathrm{kW}$送電損失率は、その期間の最大電力時の送電損失率であり、最大電力は図1より$5$であるため、
$$\frac{5^2R}{5}=5R$$
ゆえに、$\mathrm{kWh}$送電損失率と$\mathrm{kW}$送電損失率の比は、
$$\frac{\displaystyle{\frac{11}{3}R}}{5R}=\frac{11}{15}=0.7333$$
一方、$(1)$で求めた送電端負荷率と損失係数の比は、
$$\frac{44}{60}=0.7333$$
となり、両者の比は等しくなる。
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