需要設備への電力供給と負荷率等の計算

需要率・負荷率・不等率について

需要家において、すべての負荷が同時に使用されることはなく、季節や時間帯によって電力の使用状況が異なる。

負荷設備を有効かつ計画的に使用するため、需要設備と供給設備の関係を表す「需要率」「負荷率」「不等率」が用いられる。

需要率の定義

最大需要電力と設備容量の割合を需要率といい、次式で定義される。

 

需要率$[\%]=($最大需要電力$[\mathrm{kW}]/$負荷設備容量の合計$[\mathrm{kW}]\times100$

負荷率の定義

ある期間中の負荷の平均需要電力と最大需要電力の割合を負荷率といい、次式で定義される。

 

負荷率$[\%]=($ある期間中の平均需要電力$[\mathrm{kW}]/$ある期間中の最大需要電力$[\mathrm{kW}]\times100$

不等率の定義

ある系統の最大需要電力の和と、合成最大需要電力の割合を不等率といい、次式で定義される。

 

不等率$=$系統に接続されている負荷の最大需要電力の和$[\mathrm{kW}]/$系統の合成最大需要電力$[\mathrm{kW}]$

 

需要設備への電力供給と負荷率等の計算:例題1

出典:電験二種二次試験「電力・管理」 平成27年度問5
(問題文の記述を一部変更しています)

定格容量$9500\mathrm{kVA}$の変圧器$1$台を有する変電所から、配電線$A,\ B$により、表1に示す需要設備$a,\  b,\ c$に電力を供給しているとき、次の問に答えよ。

ただし、需要設備$a,\  b,\ c$の需要率はそれぞれ$80\%$,負荷力率はそれぞれ遅れの一定値とする。

 

表1 各需要設備への電力供給に関する諸元

 

$(1)$
需要設備$a,\  b,\ c$の平均電力$[\mathrm{kW}]$をそれぞれ求めよ。

$(2)$
変電所の総合最大電力$[\mathrm{kW}]$を求めよ。

$(3)$
変電所の総合負荷率$[\%]$を求めよ。

$(4)$
需要設備$a,\  b,\ c$の負荷力率$[\%]$をそれぞれ求めよ。

$(5)$
変圧器が過負荷とならないために必要なコンデンサの最小容量$[\mathrm{kvar}]$を求めよ。

例題1の解答

各需要設備の平均電力

$(1)$

各需要設備の平均電力$[\mathrm{kW}]$は、各設備の最大電力×負荷率で求められるので、

設備$a$:$5700\times0.7=\boldsymbol{\underline{3990\mathrm{kW}}}$

設備$b$:$3040\times0.8=2432\rightarrow\boldsymbol{\underline{2430\mathrm{kW}}}$

設備$c$:$2660\times0.6=1596\rightarrow\boldsymbol{\underline{1600\mathrm{kW}}}$

 

変電所の最大電力・平均電力・負荷率

$(2)$

配電線$B$の最大電力$[\mathrm{kW}]$は、需要設備$b,\ c$間の不等率が表1より$1.25$であるため、

$$\frac{3040+2660}{1.25}=\boldsymbol{\underline{4560\mathrm{kW}}}$$

 

したがって、変電所の総合最大電力$[\mathrm{kW}]$は、配電線$A,\ B$間の不等率が表1より$1.1$であるため、

$$\frac{5700+4560}{1.1}=9327.3\rightarrow\boldsymbol{\underline{9330\mathrm{kW}}}$$

 

$(3)$

変電所の総合平均電力は、$(1)$で求めた需要設備$a,\  b,\ c$の各平均電力の値を足し合わせることによって求められるので、

$$3990+2432+1596=8018\mathrm{kW}$$

 

変電所の総合最大電力は$(2)$より$9327\mathrm{kW}$であるから、変電所の総合負荷率$[\%]$は、

$$\frac{8018}{9327.3}\times100=85.963\rightarrow\boldsymbol{\underline{86.0\%}}$$

需要設備の負荷力率

$(4)$

題意より、各需要設備の需要率はそれぞれ$80\%$であるため、各設備の最大需要電力$[\mathrm{kVA}]$は、表1の値より、

設備$a$:$7500\times0.8=6000\mathrm{kVA}$

設備$b$:$4000\times0.8=3200\mathrm{kVA}$

設備$c$:$3500\times0.8=2800\mathrm{kVA}$

 

したがって、各設備の負荷力率$[\%]$は、表1の値と合わせて、

設備$a$:$\displaystyle{\frac{5700}{6000}}\times100=\boldsymbol{\underline{95\%}}$

設備$b$:$\displaystyle{\frac{3040}{3200}}\times100=\boldsymbol{\underline{95\%}}$

設備$c$:$\displaystyle{\frac{2660}{2800}}\times100=\boldsymbol{\underline{95\%}}$

接続するコンデンサの最小容量

$(5)$

各設備の最大無効電力$[\mathrm{kvar}]$は、$(4)$の結果を用いて、

設備$a$:$5700\times\displaystyle{\frac{\sqrt{1-0.95^2}}{0.95}}=1873.5\mathrm{kvar}$

設備$b$:$3040\times\displaystyle{\frac{\sqrt{1-0.95^2}}{0.95}}=999.2\mathrm{kvar}$

設備$c$:$2660\times\displaystyle{\frac{\sqrt{1-0.95^2}}{0.95}}=874.3\mathrm{kvar}$

 

配電線$B$における最大無効電力$[\mathrm{kvar}]$は、需要設備$b,\ c$間の不等率が表1より$1.25$であるため、

$$\frac{999.2+874.3}{1.25}=1498.8\mathrm{kvar}$$

 

変電所の総合最大無効電力$[\mathrm{kvar}]$は、配電線$A,\ B$間の不等率が表1より$1.1$であるため、

$$\frac{1873.5+1498.8}{1.1}=3065.7\mathrm{kvar}$$

 

したがって、変電所の最大皮相電力は、$(2)$の結果を用いて、

$$\sqrt{9327.3^2+3065.7^2}=9818.1\mathrm{kVA}>9500\mathrm{kVA}$$

となり、変圧器の定格容量を上回るため、過負荷となる。

 

ここで、接続するコンデンサの容量を$Q_C[\mathrm{kvar}]$とすると、コンデンサ接続後の変電所の最大皮相電力が変圧器の定格容量を下回ればよいので、

$$\begin{align*}
\sqrt{9327.3^2+\left(3065.7-Q_C\right)^2}&\leq9500\\\\
9327.3^2+\left(3065.7-Q_C\right)^2&\leq9500^2\\\\
3065.7-Q_C&\leq\sqrt{9500^2-9327.3^2}\\\\
\therefore Q_C&\geq1262.5\rightarrow\boldsymbol{\underline{1270\mathrm{kvar}}}
\end{align*}$$

※必要な容量を求めるため、解答は四捨五入ではなく切り上げとしている。

 

需要設備への電力供給と負荷率等の計算:例題2

出典:電験二種二次試験「電力・管理」 平成16年度問6
(問題文の記述を一部変更しています)

三相$7500[\mathrm{kVA}]$の変圧器1台を有する変電所から、配電線$A$および$B$の2回線により、表2のような需要家群に電力を供給している。

 

表2 各需要設備への電力供給に関する諸元

 

このとき、次の値を求めよ。ただし、各設備間および配電線間の不等率は、無効電力についても表2中の値が適用されるものとする。

$(1)$
変電所の総合最大電力$[\mathrm{kW}]$および力率

$(2)$
変電所の総合負荷率

$(3)$
変電所が過負荷となる場合、変圧器定格容量以下に負荷を抑制するために必要なコンデンサの容量$[\mathrm{kvar}]$

例題2の解答

変電所の総合最大電力および力率

$(1)$

各需要設備の最大電力$[\mathrm{kW}]$および最大無効電力$[\mathrm{kvar}]$は、

設備$a$:$\begin{cases}
4000\times0.75\times0.95&=2850\mathrm{kW}\\\\
4000\times0.75\times\sqrt{1-0.95^2}&=936.7\mathrm{kvar}
\end{cases}$

設備$b$:$\begin{cases}
3500\times0.70\times0.70&=1715\mathrm{kW}\\\\
3500\times0.70\times\sqrt{1-0.70^2}&=1749.6\mathrm{kvar}
\end{cases}$

設備$c$:$\begin{cases}
7500\times0.70\times0.85&=4462.5\mathrm{kW}\\\\
7500\times0.70\times\sqrt{1-0.85^2}&=2765.6\mathrm{kvar}
\end{cases}$

 

配電線$A$の最大電力$[\mathrm{kW}]$および最大無効電力$[\mathrm{kvar}]$は、需要設備$a,\ b$間の不等率が表2より$1.25$であるため、

$$\begin{cases}
\displaystyle{\frac{2850+1715}{1.25}}&=3652\mathrm{kW}\\\\
\displaystyle{\frac{936.7+1749.6}{1.25}}&=2149\mathrm{kvar}
\end{cases}$$

 

したがって、変電所の総合最大電力$[\mathrm{kW}]$および最大無効電力$[\mathrm{kvar}]$は、配電線$A,\ B$間の不等率が表2より$1.1$であるため、

$$\begin{cases}
\displaystyle{\frac{3652+4462.5}{1.1}}&=7376.8\mathrm{kW}\rightarrow\boldsymbol{\underline{7380\mathrm{kW}}}\\\\
\displaystyle{\frac{2149+2765.6}{1.1}}&=4467.8\mathrm{kvar}
\end{cases}$$

 

また、変電所の総合力率は、

$$\frac{7376.8}{\sqrt{7376.8^2+4467.8^2}}=0.85535\rightarrow\boldsymbol{\underline{0.855}}$$

 

変電所の総合負荷率

$(2)$

各需要設備の平均電力$[\mathrm{kW}]$は、各設備の最大電力×負荷率で求められるので、

設備$a$:$2850\times0.70=1995\mathrm{kW}$

設備$b$:$1715\times0.80=1372\mathrm{kW}$

設備$c$:$4462.5\times0.60=2677.5\mathrm{kW}$

 

変電所の総合平均電力は、各需要設備の平均電力の値を足し合わせることによって求められるので、

$$1995+1372+2677.5=6044.5\mathrm{kW}$$

 

したがって、変電所の総合負荷率は、$(1)$の結果と合わせて、

$$\frac{6044.5}{7377}=0.81937\rightarrow\boldsymbol{\underline{0.819}}$$

接続するコンデンサの最小容量

$(3)$

変電所の最大皮相電力$[\mathrm{kVA}]$は、$(1)$の結果を用いて、

$$\sqrt{7376.8^2+4467.8^2}=8624.3\mathrm{kVA}>7500\mathrm{kVA}$$

となり、変圧器の定格容量を上回るため、過負荷となる。

 

ここで、接続するコンデンサの容量を$Q_C[\mathrm{kvar}]$とすると、コンデンサ接続後の変電所の最大皮相電力が変圧器の定格容量を下回ればよいので、

$$\begin{align*}
\sqrt{7376.8^2+\left(4467.8-Q_C\right)^2}&\leq7500\\\\
7376.8^2+\left(4467.8-Q_C\right)^2&\leq7500^2\\\\
4467.8-Q_C&\leq\sqrt{7500^2-7376.8^2}\\\\
\therefore Q_C&\geq3114.0\rightarrow\boldsymbol{\underline{3120\mathrm{kvar}}}
\end{align*}$$

※必要な容量を求めるため、解答は四捨五入ではなく切り上げとしている。