各発電方式の特徴・課題

電気技術者にとって、各発電方式の説明は基本中の基本である。

各方式の特徴・課題について説明する。

水力発電

 

 

水力発電の特徴

  • 水力発電は、太陽熱などによって海などの低い所にある水が蒸発し、雨や雪によって再び地上に戻る自然循環サイクルを利用しているため、エネルギー源としてのコストが少なくて済む。
    水力エネルギーは純国産でクリーンであり、電源の多様化および環境問題への貢献度も高い。
  • 調整池式および貯水池式水力は、河川の流量を調整池・貯水池で調整して発電可能なことから、ピーク供給力に優れており、需要の変化への対応も容易である。
  • 建設費等の初期コストは高い(特に自然流量式水力)が、耐用期間の平均でみると経済性に優れる。

 

水力発電の課題

  • 開発対象となる残存水力地点は現状小規模のものが多い。包蔵水力の70%程度がすでに開発され、残された経済性の悪い水力地点に取り組んでいる現状では、大規模な水力の開発は容易ではない。
  • 環境保全の要請が強まり、河川開発の理解が得にくい。貴重な動植物の保護、河川維持用水の設定、自然公園内における開発など、各方面の調整が必要となる。
    地域住民の理解を得ることはもちろん、各官庁を含めた支持を受けるよう努める必要がある。
  • 開発にあたり、他電源と比較すると規模の割には関係法令に基づく諸手続き等に費やす労力と時間が必要とされる。コスト低減のため、国の補助金制度を活用する等の方策をとる必要がある。
  • その他、新技術・新工法の着実な開発・導入、海外製品の輸入拡大など、ハード面での努力(標準化・簡素化・量産化・汎用化)が必要。

 

石炭火力発電

 

 

石炭火力発電の特徴

  • 他の燃料(石油、LNGなど)と比較してコスト面で優位性があり、中核的な石油代替エネルギーである。
  • 石炭の賦存量の膨大さ・広大さを考慮すると、供給安定性が非常に高い。
  • 近年、高性能の脱硝装置、脱硫装置、集じん装置が研究開発され、環境上においても改善がなされている。

 

石炭火力発電の課題

  • 硫黄分を多く含むため、そのまま燃料として使用すると、SOxおよびNOxの排出が多い。さらにばいじん、CO2などの排出が多いので、環境保全上問題が大きい。
  • 灰の処理や再利用を含めて、効率向上のため蒸気条件(温度・圧力)の向上、加圧流動床や石炭ガス化による複合発電の開発などの技術開発も推進していくことが必要。
  • 石炭火力はCO2排出量が大きいため、温暖化の問題から専焼での建設が困難になりつつある。
  • 石炭灰の処分先を建設計画時に十分検討しておく必要がある。

 

用語説明

加圧流動床複合発電方式(PFBC)

石炭を圧力容器内の流動床ボイラで燃焼させて作った蒸気で回すタービンと、この燃焼ガスで回転させるガスタービンを組み合わせた複合発電方式。

 

石炭ガス化複合発電方式(IGCC)

石炭をガス化して利用する発電方式。

既存の石炭火力発電に比べて石炭使用量が少なく、発電効率が高い。

 

微粉炭火力発電方式(PCF)

微粉炭を空気搬送によりバーナーから火炉内に噴出・燃焼し、ボイラで高温高圧の水蒸気を作り、その蒸気でタービンを回転させて発電する方式。

 

LNG火力発電

 

 

LNG火力発電の特徴

  • LNGは精製する過程でちりを除き、脱硫、脱炭酸、脱水などの前処理を行っているので、硫黄分、灰分が含まれず、SO2やばいじんを発生しないなど、環境面で優れている。また、火炉内の付着物もきわめて少なく清浄である。さらに、主成分であるメタンの発熱量・炭素量がほかの火力と比べて大きいので、CO2の排出量が石炭火力の2/3になる。
  • エネルギーのベストミックスを考えると、その埋蔵量からミドル的な利用に適したエネルギー源である。現在の我が国への供給源は比較的安定した地域であり、契約が長期であることなどから、供給の安定性は高い。
  • 近年においてコンバインドサイクル発電の主流となってきている。複合発電システムとして、既設火力のリプレ一スなどで採用可能であり、熱効率は総合効率で50%を超える。
  • 頻繁な起動停止・出力調整に対しても対応可能。
  • 冷熱利用が可能。

 

LNG火力発電の課題

  • 埋蔵量が豊富で地域的な偏りもないものの、LNG価格の原油価格との連動性、液化のための設備コストの高さ、安全性の確保、契約形態の硬直性などを考慮すると、急速あるいは大幅な導入量の増大には制約があり、エネルギーセキュリティ上十分留意しなければならない。
  • ほかの燃料とのバランス、エネルギーのベストミックスを十分考慮して導入を推進していくことが必要である。

 

 

原子力発電

 

 

原子力発電の特徴

  • 日々の運転においてベース供給力を分担し、一時は発電電力量が国内の全電力量の1/3を超えている基幹電源として電力供給の主役を担っていた(2017年5月現在は4基のみが稼働)。
  • 原料であるウランの供給国は多様で、供給が安定している。ウランの価格も高騰する可能性は低いことなど、エネルギーセキュリティ上優れたエネルギー源である。
  • 発電過程において化石燃料の燃焼を伴わないので、CO2、NOx、SOxを発生せず、環境面で有利である。
  • 発電コストに占める燃料費比率が低く、発電コストが安定性している。少量のウランで大量の電力を発生することができ、大容量プラントの建設が可能。

 

原子力発電の課題

  • 高経年化対策、耐震安全対策等の安全性、信頼性に対する種々の意見もあり、取り巻く状況は厳しい。原子力発電に対する国民の理解を深める必要がある。
  • 定格熱出力一定運転の採用など発電コストの低減が必要である。
  • 放射性廃棄物処理や使用済燃料の中間貯蔵などのバックエンド(後工程)対策への取組みも重要である。
  • ウラン資源は世界中に分散し、かつ政局の安定した先進国から輸入しているので安定しているが、全量を海外に依存しているため、核燃料リサイクルの確立によりエネルギーセキュリティの一層の向上に取り組む必要がある。

 

太陽光・風力発電

 

 

太陽光・風力発電の特徴

  • 自然のエネルギーであり地球上の広い範囲で利用可能で、燃料費が必要ない。我が国のエネルギーセキュリティの向上に大いに役立つ効果を持っている。
  • ばいじん、NOx、SOx、CO2の排出がなく、環境保全対策上優れた発電方式である。

 

太陽光・風力発電の課題

  • 燃料の枯渇はないが、エネルギー供給が日照風速などの気象条件に左右され不安定である。
  • エネルギー密度が低く、コストが割高であるため、大量に普及するに当たっては課題が多い。エネルギー変換効率も低いので設備建設単価も高い。
  • 電力貯蔵技術の大容量化のための研究(NaS電池の開発・実証などの推進)と並行して、発電技術(発電効率の向上・設備の大型化)の開発および設備の集合設置などの運用面からの取組みも推進していく必要がある。
  • 現状、エネルギー安定性・コスト・設備設置地点の条件などの制約から、小出力の設備の導入が徐々に進んできている。風力については適用箇所も限定される。
    (太陽光は各家庭・公共施設事業所に分散したエネルギーの有効利用発電、風力は離島などの電源として有望)

 

バイオマス発電

 

 

バイオマス発電の特徴

  • バイオマスは「一定量集積した動植物由来の有機性資源」と定義されている。一般に農林水産資源、有機生産業廃棄物、汚泥など多種多様のものが含まれるが、エネルギー源として現実的なものは、森林樹木、サトウキビなどのエネルギー作物、都市ごみなどの廃棄物である。
  • 再生可能、貯蔵性、代替性、膨大な賦存量、カーボンニュートラルで地球環境のためによいなどの長所を有する。
  • バイオマスのエネルギー変換法は、直接燃焼法、熱化学的方法、生物化学的方法の三つに大別できるが、最も効率が高いのは直接燃焼法である。
    直接燃焼の形態としては、発展途上国における薪炭としての利用も多いが、規模が大きく一部で実用化が行われているのはバイオマス燃焼による発電やプロセス蒸気の供給となっている。

 

バイオマス発電の課題

  • 単位質量当たりの発熱量が低い。
  • 単位面積当たりの生産量が低い。
  • 供給量に季節変動がある。
  • エネルギー以外の用途と競合する。
  • 現時点では世界の全エネルギー供給量に占めるバイオマスエネルギーのシェアは6%前後と小さく、近未来に化石燃料に取って代わる可能性は少ない。
  • エネルギープランテーションから得られる樹木やサトウキビなどのエネルギー作物の供給など重要性を増すことから、国際間での協調を図る必要がある。

 

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