本記事では、水力発電所の構成要素について、例題を通して解説する。
水力発電所の構成要素:例題
出典:電験二種二次試験「電力・管理」 平成27年度問5
(問題文の記述を一部変更しています)次の文章は、水力発電所に関する記述である。
文中の$\fbox{ }$に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。
水路式発電所は河川の$\fbox{ (1) }$を利用して落差を得る方式であり、ダム式発電所はダムの$\fbox{ (2) }$を利用して落差を得る方式である。また、ダム水路式発電所は両者の特性を合わせもつ方式である。
水路式発電所の主な設備は上流から順に、取水ダム、取水口、$\fbox{ (3) }$、導水路、ヘッドタンク、水圧管路、発電所、放水路及び放水口で構成されている。
一方、ダム式、ダム水路式では、一般的に$\fbox{ (3) }$の機能がダムに備わっていることから、$\fbox{ (3) }$は不要とされている。
ダム水路式の導水路は、一般に$\fbox{ (4) }$となることから、水路式のヘッドタンクに変えて、サージタンクを設置する。
ヘッドタンクには、出力変動に対する数分程度の水量供給変動を吸収する能力があり、サージタンクには、この能力とは別に$\fbox{ (5) }$を吸収する能力がある。
(イ)流込み (ロ)流域面積 (ハ)流入量の変化
(ニ)圧力トンネル (ホ)貯水量 (ヘ)水撃圧
(ト)無圧トンネル (チ)沈砂池 (リ)減勢槽
(ヌ)開きょ (ル)貯水位 (ヲ)ダム水位変動
(ワ)勾配 (カ)砂捨て場 (ヨ)流量
解答
$(1)$
水路式発電所は、河川の水を勾配の緩やかな水路で下流に導き、河川の自然(ワ)勾配との間に落差を得て発電する方式である。
水路式発電所の概略図および構成要素は、図1のようになる。
図1 水路式発電所
$(2)$
ダム式発電所では、上流側の水位をダムを構築することにより上げ、下流側との間で得られる落差を利用して発電する。
下流に対し上流のダムに貯まっている水の水位を(ル)貯水位という。
ダム式発電所の概略図および構成要素は、図2のようになる。
図2 ダム式発電所
$(3)$
水路式発電所の構成設備は、図1に示す通り、
取水ダム→取水口→沈砂池→(導)水路→水槽(ヘッドタンク)→水圧管路→発電所→放水路
ダム式発電所の構成例は、図2に示す通り、
貯水池(調整池)→取水口→ダム→発電所→放水路
水路式の場合、河川に浮遊している土砂が水路へ流入すると、水路内に沈殿して流積を狭め、水圧鉄管や水車を摩耗させる原因となるので、取水口付近に図1に示すように(チ)沈砂池を設け、流入土砂を沈降させる必要がある。
ダム式の場合、一般に(チ)沈砂池の機能がダムに備わっていることから、(チ)沈砂池は不要とされている。
$(4)$
ダム水路式発電所の概略図および構成要素は、図3のようになる。
図3 ダム水路式発電所
ダム水路式の導水路は、一般に(ニ)圧力トンネルとなることから、水路式のヘッドタンクに変えて、サージタンクを設置する。
$(5)$
ヘッドタンクには、出力変動に対する数分程度の水量供給変動を吸収する能力があり、サージタンクには、この能力とは別に(ヘ)水撃圧を吸収する能力がある。
参考に、サージタンクの外観を撮影した動画を引用する。
参考文献
- 電気学会『電気工学ハンドブック 第7版』オーム社,2013
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