電線の放物線による近似と弛度の式

本記事では、電線の放物線による近似と弛度の式の例題を解いていく。





電線の放物線による近似と弛度の式:例題

出典:電験二種二次試験「電力・管理」 平成28年度問3
(問題文の一部を改変して掲載しています)

 

図1は電線の弛度を表している。

図1 電線の弛度

 

点$A,\ B$は同一水平面上にある二つの支持点であり、その間の距離を$S[\mathrm{m}]$,ここから弛度$D[\mathrm{m}]$だけ下がったところにある最下点$O$を座標軸の原点とした電線の形状は二次関数で表しても誤差は小さいことが知られているので、縦軸方向の変数$Y[\mathrm{m}]$,横軸方向の変数$X[\mathrm{m}]$,係数$a[\mathrm{m}]$を用いて、

$$Y=\frac{X^2}{2a} ・・・(1)$$

と表すことにする。

 

支持点における電線の張力を$T[\mathrm{N}]$,電線の単位長さ当たりの質量を$W[\mathrm{kg/m}]$として、たるみ$D$に関する$(2)$式を導出したい。$g[\mathrm{m/s^2}]$は重力加速度を意味している。

$$D=\frac{WgS^2}{8T} ・・・(2)$$

 

$(1)$
$(1)$式を基に支持点$B$における電線の傾きを$a$と$S$を用いて表せ。

 

$(2)$
支持点における張力の垂直分力が電線自重の半分に等しいことを用いて$a$を$T$と$W$で表せ。

 

ただし、支持点での電線が水平直線となす角$\theta$は小さいため、$\tan\theta\fallingdotseq\sin\theta$と近似すること。

また、電線の長さは$S$と等しいものとする。

 

$(3)$
弛度$D$は支持点の$Y$の値に他ならない。これに注意して上記の$(2)$式を導出せよ。

 

支持点における電線の傾き

$(1)$
$(1)$式の両辺を$X$で微分すると、

$$\frac{dY}{dX}=\frac{X}{a} ・・・(3)$$

 

支持点$B$の座標は$\left(D,\ \displaystyle{\frac{S}{2}}\right)$であるため、点$B$における電線の傾き$\tan\theta$は$(3)$式で$X=\displaystyle{\frac{S}{2}}$として、

$$\begin{align*}
\tan\theta=\left.\frac{dY}{dX}\right|_{X=\frac{S}{2}}=\frac{S}{2a}
\end{align*}$$

 

 

係数aの算出

$(2)$
題意より、電線の長さは$S$と等しいため、電線の自重による垂直方向の荷重は$WgS[\mathrm{N}]$で表される。

 

また、張力の垂直分力は、図2より$T\sin\theta$で表される。

 

図2 電線の弛度(支持点$B$の部分を拡大)

 

 

題意より、支持点における張力の垂直分力が電線自重の半分に等しいので、このことと$(1)$の結果から、

$$\begin{align*}
\frac{1}{2}\times WgS&=T\sin\theta\\\\
&\fallingdotseq T\tan\theta\\\\
&=\frac{TS}{2a}\\\\
\therefore a&=\frac{T}{Wg} ・・・(4)
\end{align*}$$

 

弛度の式の導出

$(3)$
$(4)$式を$(1)$式に代入すると、

$$Y=\frac{X^2}{2}\times\frac{Wg}{T}=\frac{WgX^2}{2T} ・・・(5)$$

 

支持点$B$の座標は$\left(D,\ \displaystyle{\frac{S}{2}}\right)$であるため、弛度$D[\mathrm{m}]$は$(5)$式より、

$$D=\frac{Wg}{2T}\times\left(\frac{S}{2}\right)^2=\frac{WgS^2}{8T}$$