直線状導体による正三角形面を通る磁束

本記事では、直線状導体がつくる磁束のうち正三角形面を通るものに関して、電験一種の旧制度の問題を通して取り上げる。





直線状導体による正三角形面を通る磁束:例題

出典:電験一種一次試験 昭和62年度問1
(問題文の記述を一部変更しています)

図1に示すように、真空中に澄かれた無線に長い直線状導体に電流$I[\mathrm{A}]$が流れている。

 

図1 直線状導体と正三角形

 

この導体と辺$\mathrm{AC}$が平行で、かつ、正三角形$\mathrm{ABC}$が導体と同一平面上にあるとき、正三角形$\mathrm{ABC}$の面を通る磁束を求めよ。

ただし、導体と$\mathrm{B}$及び$\mathrm{C}$との距離は、それぞれ$a[\mathrm{m}]$及び$\left(a+b\right)[\mathrm{m}]$とする。

 

直線状導体による正三角形面を通る磁束:解法

磁束が通る部分の面積

図1に各寸法を記載したものを図2に示す。

 

図2 直線状導体と正三角形(寸法記載)

 

図2において、網掛け部の面積$S$を通る磁束を考える。

ここで、直線状導体から網掛け部までの距離を$x$,網掛け部の幅を$dx$とする。

 

まず、$\mathrm{\triangle{ABC}}$の辺$\mathrm{AC}$の長さ$\overline{\mathrm{AC}}$は、$\mathrm{\triangle{ABC}}$が正三角形であるから、

$$\overline{\mathrm{AC}}=\frac{2}{\sqrt{3}}b$$

 

また、$\mathrm{\triangle{ABC}}$と$\mathrm{\triangle{DBE}}$は相似であることから、辺$\mathrm{DE}$の長さ$\overline{\mathrm{DE}}$は、

$$\overline{\mathrm{DE}}=\frac{2}{\sqrt{3}}\left(x-a\right)$$

 

したがって、網掛け部の面積$S$は、

$$S=\overline{\mathrm{DE}}\cdot dx=\frac{2}{\sqrt{3}}\left(x-a\right)dx$$

 

正三角形全体を通る磁束

直線状導体から距離$x$において、電流$\dot{I}$によって作り出される磁束密度の大きさ$B$は、真空の透磁率を$\mu_0$とすると、

$$B=\frac{\mu_0 I}{2\pi x}$$

 

したがって、網掛け部の面積$S$における磁束$d\Phi$は、

$$\begin{align*}
d\Phi&=B\cdot S\\\\
&=\frac{\mu_0 I}{2\pi x}\cdot\frac{2}{\sqrt{3}}\left(x-a\right)dx\\\\
&=\frac{\mu_0 I}{\sqrt{3}\pi}\left(1-\frac{a}{x}\right)dx
\end{align*}$$

 

以上より、$\mathrm{\triangle{ABC}}$全体を通る磁束$\Phi$は、$d\Phi$を$a\sim a+b$の範囲で積分して、

$$\begin{align*}
\Phi&=\int^{a+b}_{a}d\Phi\\\\
&=\frac{\mu_0 I}{\sqrt{3}\pi}\int^{a+b}_{a}\left(1-\frac{a}{x}\right)dx\\\\
&=\frac{\mu_0 I}{\sqrt{3}\pi}\left[x-a\ln x\right]^{a+b}_{a}\\\\
&=\frac{\mu_0 I}{\sqrt{3}\pi}\left[\left\{\left(a+b\right)-a\ln\left(a+b\right)\right\}-\left(a-a\ln a\right)\right]\\\\
&=\boldsymbol{\frac{\mu_0 I}{\sqrt{3}\pi}\left(b-\ln\frac{a+b}{a}\right)}
\end{align*}$$

 

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