本記事では、電技および解釈、電気工事士法、電気用品安全法といった電気法令において、電気工事士に必要である項目についてまとめる。
電圧の種別
電気設備の技術基準を定める省令 第2条では、電圧の種別を交流と直流により、表1のように規定している。
表1 電圧の種別
直流 | 交流 | |
---|---|---|
低圧 | $750\mathrm{V}$以下 | $600\mathrm{V}$以下 |
高圧 | 低圧を超え、$7000\mathrm{V}$以下のもの | |
特別高圧 | $7000\mathrm{V}$を超えるもの |
電気工事業者の義務
電気工事業の業務の適正化に関する法律により、電気工事業者の義務が下記のように定められている。
- 登録電気工事業者の登録の有効期間は5年で、有効期間満了後も引き続き電気工事業を営む場合は、更新の登録を受けなければならない。
- 一般用電気工事の業務を行う登録電気工事業者は、第一種電気工事士または3年以上の実務経験がある第二種電気工事士を、業務を行う営業所ごとに主任電気工事士として、置かなければならない。
- 一般用電気工事の業務を行う電気工事業者は、営業所ごとに、絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計を備えなければならない。
- 電気工事業者は、営業所ごとに帳簿を備え、注文者の氏名または名称、工事の種類、施工年月日、主任電気工事士等の作業者名、配線図及び盤結線図、検査結果を記載して5年間保存しなければならない。
- 電気工事業者は、営業所および電気工事の施工場所ごとに、見やすい場所に、氏名または名称、登録番号、その他の経済産業省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。
電気工事士の作業
第二種電気工事士の筆記試験で、電気工事士でなければ従事できない作業/電気工事士でなくてもできる軽微な工事を問われる問題が出題される。
電気工事士でなければ従事できない作業
電気工事士法施行規則第2条により、電気工事士でなければ従事できない作業が定められている。
- 電線相互を接続する作業。
- がいしに電線を取り付ける(または取り外す)作業。
- 電線を直接造営材などに取り付ける(または取り外す)作業。
- 電線管・線ぴ・ダクトなどに電線を収める作業。
- 配線器具を造営材などに取り付ける(または取り外す)/または配線器具に電線を接続する作業。
- 電線管の曲げやねじ切り・電線管相互の接続・電線管とボックスなどを接続する作業。
- 金属製のポックスを造営材などに取り付ける(または取り外す)作業。
- 電線・電線管・線ぴ・ダクトなどが造営材を貫通する部分に金属製の防護装置を取り付ける(または取り外す)作業。
- 金属製の電線管・線ぴ・ダクトなどを建造物のメタルラス張り/ワイヤラス張りまたは金属板張りの部分に取り付ける(または取り外す)作業。
- 配電盤を造営材に取り付ける(または取り外す)作業。
- 接地線を一般用電気工作物(または自家用電気工作物)に取り付け(または取り外し)/接地線相互または接地線と接地極とを接続/または接地極を地面に埋設する作業。
- 電圧$600\mathrm{V}$を越えて使用する電気機器に電線を接続する作業。
電気工事士でなくてもできる軽微な工事
電気工事士法施行令第1条により、電気工事士でなくてもできる軽微な工事について列挙されている。
- 電圧$600\mathrm{V}$以下で使用する接続器/または開閉器にキャプタイヤケーブルまたはコードを接続する工事。
- 電圧$600\mathrm{V}$以下で使用する電動機などの電気機器/または蓄電池の端子に電線をねじ止めする工事。
- 電圧$600\mathrm{V}$以下で使用する電力量計・電流制限器・ヒューズを取り付ける(または取り外す)工事。
- 電鈴・インターホン・火災感知器・豆電球などに使用する小型変圧器(二次電圧が$36\mathrm{V}$以下)の二次側の配線工事。
- 電線を支持する柱・腕木などを設置する(または変更する)工事。
- 地中電線用の暗きょ/または管を設置する(または変更する)工事。
竣工検査の項目
竣工検査は、一般用電気工作物が新置された場合、または増設等変更の工事が完了した場合に行われる検査である。
検査の項目について、表2に示す。
表2 竣工検査の項目
検査項目 | 検査内容 |
---|---|
目視点検 | 配線器具などが適切に設置されていることを確認する。 |
絶縁抵抗測定 | 絶縁抵抗を測定して、絶縁抵抗値が電気設備技術基準に適合していることを確認する。 |
接地抵抗測定 | 接地抵抗を測定して、接地抵抗値が電気設備技術基準に適合していることを確認する。 |
導通試験 | 回路が正しく接続されているか、回路計などを使用して確認する。 |
低圧電路の絶縁抵抗
電気設備の技術基準を定める省令 第58条により、電気使用場所における低圧電路の電線相互間、および電路と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器や遮断器で区切ることができる電路ごとに、表3の規定値以上の絶縁を保たなければならないとされている。
表3 低圧電路の絶縁抵抗
使用電圧の区分 | 絶縁抵抗[$\mathrm{M\Omega}$] | |
---|---|---|
$300\mathrm{V}$以下 | 対地電圧$150\mathrm{V}$以下 | $0.1$ |
その他 | $0.2$ | |
$300\mathrm{V}$を超えるもの | $0.4$ |
なお、絶縁抵抗測定が困難な場合、同電路区分ごとの漏洩電流が$1[\mathrm{mA}]$以下であればいいとされている。
高圧電路の絶縁性能
電気設備技術基準の解釈第15条により、特別高圧および高圧の各電路は、表4に示すような電圧の絶縁耐力試験に耐える絶縁性能を有することと定められている。
表4 高圧電路の絶縁性能
電路の電圧 | 印可する試験電圧 |
---|---|
最大使用電圧が$7000\mathrm{V}$以下の電路 | 最大使用電圧の$1.5$倍の電圧 |
最大使用電圧が$7000\mathrm{V}$を超え、$15000\mathrm{V}$以下の中性点接地電路 (中性線を有するものであって、その中性線を多重接地するものに限る) | 最大使用電圧の$0.92$倍の電圧 |
最大使用電圧が$7000\mathrm{V}$を超え、$60000\mathrm{V}$以下の中性点接地電路(上記を除く) | 最大使用電圧の$1.25$倍の電圧 ($10500\mathrm{V}$未満の場合は$10500\mathrm{V}$) |
電気用品安全法
電気用品安全法とは、電気用品による危険及び障害の発生の防止を目的とする法律であり、約450品目の電気用品を対象として指定し、製造・販売等を規制している。
電気用品について
同法第2条において、「電気用品」は次のように定義されている。
- 一般用電気工作物(電気事業法 (昭和39年法律第170号)第38条第1項に規定する一般用電気工作物をいう。) の部分となり、又はこれに接続して用いられる機械、器具又は材料であって、政令で定めるもの
- 携帯発電機であって、政令で定めるもの
- 蓄電池であって、政令で定めるもの
特定電気用品
特に安全上規制が必要なものとして「特定電気用品」が116品目指定されている(法第2条)。
特定電気用品とは、その構造又は使用方法等の使用状況により危険が生じるおそれの高いものとして、下記のものが指定されている。
- 長時間無監視で使用されるもの
- 社会的弱者が使用するもの
- 直接人体に触れて使用するもの
特定電気用品のマークを図1に示す。
図1 特定電気用品のマーク
特定電気用品以外の電気用品
特定電気用品以外の電気用品は、電気用品として指定された457品目から、特定電気用品として指定された116品目を除いた341品目が指定されている。
特定電気用品以外の電気用品のマークを図2に示す。
図2 特定電気用品以外の電気用品のマーク
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