放射性原子の放射崩壊に関する例題

本記事では、旧制度の電験一種「理論」科目でも出題された、放射性原子の放射崩壊に関する例題について取り上げる。





放射性原子の放射崩壊:例題

出典:電験一種筆記試験「理論」 昭和43年問1

放射性原子の放射崩壊をする割合が1秒間に$3.7\times10^{10}$個である場合の放射能を1キュリーという。

 

また,原子数$N$[個$/\mathrm{cm^3}$]が崩壊減少する時間的割合は、次式で示される。

$$-\frac{dN}{dt}=\lambda N$$

ただし、$\lambda$は比例定数、$t$は時間[秒]である。

 

ストロンチウム90(原子番号38, 質量数90, 半減期28年)の1 キュリーあたりの質量はいくらか。

 

比例定数λの算出

問題文の式より、

$$-\frac{dN}{dt}=\lambda N ・・・(1)$$

 

ここで原子数$N$を、

$$N=N_0e^{-Pt} ・・・(2)$$

とおく。ただし、$N_0$は時間$t=0$のときの原子数、$P$は定数である。

 

$(2)$を$(1)$に代入して、

$$\begin{align*}
PN_0e^{-Pt}&=\lambda N_0e^{-Pt}\\\\
\therefore P&=\lambda
\end{align*}$$

 

この結果を$(2)$に代入すると、

$$N=N_0e^{-\lambda t} ・・・(3)$$

 

ここで、半減期$T$を単位$[\mathrm{s}]$で表すと、

$$\begin{align*}
T=28\times365\times24\times3600=8.83\times10^{8}\mathrm{s}
\end{align*}$$

 

半減期とは、原子数$N$が初期原子数$N_0$の半分になる時間であるから、$(3)$式を用いて、

$$\begin{align*}
N=\frac{1}{2}N_0&=N_0e^{-\lambda T}\\\\
\lambda T&=\ln{2}\\\\
\therefore \lambda&=\frac{\ln{2}}{T}=7.8498\times10^{-10}
\end{align*}$$

 

 

質量の算出

求める1キュリーあたりの質量を$G[\mathrm{g}]$, 質量数を$A$とすると、1キュリーあたりのストロンチウムの原子数$N$は、アボガドロ数$6.02\times10^{23}$を用いて、

$$N=\frac{G}{A}\times6.02\times10^{23}=G\times\frac{6.02\times10^{23}}{90}$$

 

また、1キュリーの定義より、$G$を求めると、

$$\begin{align*}
\frac{dN}{dt}&=3.7\times10^{10}\\\\
&=\lambda\times N\\\\
&=7.8498\times10^{-10}\times G\times\frac{6.02\times 10^{23}}{90}\\\\\\
\therefore G&=\frac{3.7\times10^{10}\times90}{7.8498\times10^{-10}\times6.02\times 10^{23}}\\\\
&=7.0468\times10^{-3}\mathrm{g}\rightarrow \bf{7\mathrm{mg}}
\end{align*}$$





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