三相短絡故障計算の例題 その2

三相短絡時の故障計算の例題として、今回は電験二種の過去問を取り上げる。
三相短絡故障の計算においては、パーセントインピーダンスの計算が絡むことが多いため、どのように使用されるかをみていく。

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三相短絡故障計算:例題

出典:電験二種二次試験「電力・管理」H28問6

図1は、送電線から受電した$66\mathrm{kV}$を$20\mathrm{MVA}$変圧器で降圧して$6.6\mathrm{kV}$負荷回路に供給する回路である。
$Z_0$~$Z_3$ がそれぞれの送電線路、配電線路における区分ごとの合成インピーダンスを表すとき、次の問に答えよ。
ただし,上位系統の背後電圧を$66\mathrm{kV}$一定とし、負荷回路からの短絡電流供給はないものとする。

図1 $66\mathrm{kV}/6.6\mathrm{kV}$系統

$(1)$
$66\mathrm{kV}$CB3から見た電源側背後インピーダンスの大きさ$[\mathrm{\Omega}]$を求めよ。

$(2)$
$66\mathrm{kV}$CB3における三相短絡電流$[\mathrm{kA}]$を求めよ。

$(3)$
$6.6\mathrm{kV}$CB6における三相短絡電流$[\mathrm{kA}]$を求めよ。

$(4)$
$100\mathrm{MVA}$の発電機(初期過渡リアクタンス$Z_4=j12\%$)を図2のように$66\mathrm{kV}$母線に接続することとした。
CB2, CB3およびCB7の定格遮断電流が$20\mathrm{kA}$であるとき、$100\mathrm{MVA}$変圧器の自己容量基準パーセントインピーダンスの下限値$[\%]$を求めよ。

図2 $66\mathrm{kV}/6.6\mathrm{kV}$系統(発電機接続)

電源側背後インピーダンスの計算

$(1)$
$66\mathrm{kV},\ 100\mathrm{MVA}$基準におけるベースインピーダンスの大きさ$Z_B$は、

$$Z_B=\frac{(66\times10^3)^2}{100\times10^6}=43.56\Omega$$

したがって、CB3からみた電源側背後インピーダンスの大きさは、

$$Z_B\times(Z_0+Z_1)=43.56\times\displaystyle{\left(\frac{2.5}{100}+\frac{3.5}{100}\right)}=2.6136→\boldsymbol{\underline{2.61\Omega}}$$

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三相短絡電流の計算

$(2)$
三相短絡事故の場合、電源電圧および正相インピーダンスの値が分かれば、短絡電流の値を計算することができる。そして、特に断りがない場合、問題文に記述されるのは正相インピーダンスである。

三相短絡故障の解説についてはこちら↓

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単位をすべて$\mathrm{p.u.}$に統一すると、題意より、上位系統の背後電圧は$\displaystyle{\frac{66}{\sqrt{3}}}\mathrm{kV}$で$1.0\ \mathrm{p.u.}$、正相インピーダンスは$(1)$で求めたが、$\mathrm{p.u.}$表示のままとすることにより、三相短絡電流の大きさ$I_a[\mathrm{p.u.}]$は、

$$I_a=\frac{1.0}{0.025+0.035}=16.667\ \mathrm{p.u.}$$

$66\mathrm{kV},\ 100\mathrm{MVA}$基準におけるベース電流の大きさ$I_B[\mathrm{A}]$は、

$$I_B=\frac{100\times10^6}{\sqrt{3}\times66\times10^3}=874.77\mathrm{A}$$

したがって、三相短絡電流の大きさ$I_a[\mathrm{kA}]$は、

$$\begin{align*}
I_a[\mathrm{p.u.}]\times I_B\times10^{-3}&=16.667\times874.77\times10^{-3}\\&=14.580→\boldsymbol{\underline{14.6\mathrm{kA}}}
\end{align*}$$

$(3)$
「CB6からみた」なので、系統の全ての(正相)インピーダンス$Z_0$~$Z_3$を足し合わせる必要があるが、基準容量がバラバラなので、すべて$100\mathrm{MVA}$基準に統一する。

$100\mathrm{MVA}$に換算するのは$Z_2,\ Z_3$であり、

$$\begin{align*}
Z_2&=j0.088\times\frac{100}{20}=j0.44\ \mathrm{p.u.}\\
Z_3&=(0.05+j0.07)\times\frac{100}{10}=0.5+j0.7\ \mathrm{p.u.}
\end{align*}$$

$6.6\mathrm{kV},\ 100\mathrm{MVA}$基準におけるベース電流の大きさ$I_B[\mathrm{A}]$は、

$$I_B=\frac{100\times10^6}{\sqrt{3}\times6.6\times10^3}=8747.7\mathrm{A}$$

したがって、三相短絡電流$I’_a[\mathrm{kA}] $は、

$$\begin{align*}
I’_a&=\left|\frac{1.0}{j0.025+j0.035+j0.44+(0.5+j0.7)}\right|\times8747.7\times10^{-3}\\\\
&=\left|\frac{1.0}{0.5+j1.2}\right|\times8747.7\times10^{-3}\\\\
&=\frac{8747.7\times10^{-3}}{\sqrt{0.5^2+1.2^2}}\\\\
&=6.7290→\boldsymbol{\underline{6.73\mathrm{kA}}}
\end{align*}$$

発電機接続後の系統

$(4)$
$100\mathrm{MVA}$変圧器のインピーダンスの大きさを$Z_4[\mathrm{p.u.}]$とする。題意より、負荷回路からの短絡電流供給がないため、$100\mathrm{MVA}$の発電機を接続した場合に最も大きい短絡電流が流れるのは、上位系統からと発電機からの両方の流入の可能性があるCB3である。

$66\mathrm{kV},\ 100\mathrm{MVA}$基準における、上位系統からの流入分および発電機からの流入分をそれぞれ$I”_{a1},\ I”_{a2}[\mathrm{p.u.}$]とすると、

$$\begin{align*}
I”_{a1}&=\frac{1.0}{0.025+0.035}=16.667\ \mathrm{p.u.}\\\\
I”_{a2}&=\frac{1.0}{Z_4+0.12}\ \mathrm{p.u.}
\end{align*}$$

題意より、$I”_{a1},\ I”_{a2}$の合計がCB3の定格遮断電流$20\mathrm{kA}$以下であればよいので、$(2)$で求めたベース電流の大きさ$I_B$も利用すると、

$$I”_{a1}+I”_{a2}=\left(16.667+\frac{1.0}{Z_4+0.12}\right)\times874.77\leq20\times10^3\\\\
\therefore Z_4\geq0.04139\ \mathrm{p.u.}→\boldsymbol{\underline{4.14\ \%}}$$

 

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